Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

食物と日本人 樋口清之(講談社文庫)

2012年10月30日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 梅干先生、樋口清之博士が著した「日本人の歴史」の第2巻。バブル経済の熱狂にさらされる以前に発表され、歴史や文化に興味と誇りを感じていた時代の「庶民の教科書」ともいうべき歴史書といえたのか…
 平家没落を、公家と鎌倉武士の「食生活」の違いと喝破された下りは、現代の飽食と奢侈への警告として常に心しておくべきなのだろう…

○日本人が今日あるのは、数多い食物を臨機応変に食べてきたためだということができる
○馬も牛と同様、農耕の時代以降は大切にされ、時には聖なる捧げものとしてあつかわれ、原則として殺して食べることはタブーとられていたに違いない
○日本の歴史の上で、こうした極端な贅沢食が初めて行われたのは、平安時代である
○イエズス会・ジーンクラッセ:「日本人の食膳は常に清潔にして、かつ美をつくせり」(日本西教史)
○菜摘みは当時の庶民の娯楽でもあったのである(万葉集)
○うま味のもとであるグルタミン酸ソーダ:筋肉や頭脳の発育に効果 →天然の酵母の作用によってつくってきた(味噌、醤油、干魚、梅干し、漬物など)
○「醸す」は「噛む」-聖職や処女が口で噛む
○「天皇」賜杯-もともとは杯をおみやげに贈った風習からはじまった
○鎌倉武士の強さ:中世武士の日常食が簡素でありながら、栄養学的にみてもきわめて合理的だった →狩り-動物性蛋白質の食糧確保、新鮮な魚-食膳につける
○江戸時代に進んだ食生活:将軍は宮中の献立を踏襲(朝食・副食4品、昼食・副食6品、夕食・3品注文)
○頭がよくなる日本食:掛け算作用の利用-酵素、植物繊維(食物)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする