Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

プロフェッショナル広報戦略     世耕弘成(ゴマブックス株式会社)

2007年06月29日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 

 電電公社報道担当課長から自民党参議院議員、さらに幹事長補佐(広報担当)となった、広報のプロフェショナルが著した一冊。
 劇場政治の第二幕がいまだに続いているとしたら、この人の功罪は非常に大きいはずである・・・

 

○広報改革のポイントは、トップ周り
○組織のデザインが大事
○リーダーとしてプロジェクトチームの目標と戦略を最初に知ってもらいスタッフと共有する必要がある
(専門家として同じフラットな立場で議論する、愚問とか気にせず意見をぶつけ合う)
○一議席でも多く取るために、我々は何をすべきか、年齢や役職は一切関係なし
○プレスリリースにしろスローガンにしろ、何が目的で訴えたいのか、ポイントが明確になっていれば、必ずしも文章作成のプロでなくてもよい
○ジョンソン&ジョンソン社:「全部回収しました、消費者のみなさん心配しないでください」
→ 会長が株主や販売店、社員など幅広い関係者(ステークホルダー)の抵抗を抑え、最終的に消費者の不安解消を最重視して決断する
○エクソン社:「あれは子会社がやったこと、当社には関係ない」→マスコミ、消費者から袋叩き
○身体の半分が中、半分は外にある広報こそ、モニタリングの先頭に立たねばならない
○政治の本質とは結局のところ、行政という国の権力と国民との間、有権者との間のつなぎ役
○中身がきちんとした政策であるのは当然として、国民・社会とのコミュニケーションが政治の本質といって過言ではない
○どんなに立派な政策だろうが、それを国民に理解してもらい支持される作業が重要なのである。そして最終的には選挙を通して与党としての価値を得なければ、政策実現できないのだ

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逆風を生きぬく革命者たち    朝日新聞be編集部編(朝日新聞)

2007年06月19日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 

 朝日新聞土曜be連載「フロントランナー」を編集した一冊。時代の扉を拓いた人たちの一言には、耳を欹てて聞き入る「何か」が隠されているような・・・そんな気分にさせられる

 

○くろちく社長 黒竹節人:町屋の伝統である職住一体が欠かせない
 ・ハードを継承するために経済性を担保するソフトが必要
○サッポロビール社長 福田貞夫:ビール製造は装置産業ですから生産量が一定以上になると、どんどん利益が出ますが、その一定というハードルが高い
 ・シェアでは飯は食えません。利益をあげることが一番大切
○社会保険庁長官 村瀬清司:部下の気持ちの総和が仕事の品質
 ・「ご指導ありがとうございました」って言われる、「違う!一緒にやるんだ」
 ・「この人と一緒に仕事をやろう、助けてやろう」
○ゼロックス会長兼CEO:アン・マルケイヒー:米フォーチュン誌「最もパワフルな女性経営者」
 ・皆を巻き込み、問題点を正直に話し合い、変化に向けて具体的に力を出してもらう
 ・CCO:チーフ・コミュニケーション・オフィサー(最高意思疎通責任者)
○地域改革プロデューサー 上山信一:まちおこしを意気に感じる現場の役人や各ジャンルのプロを集めたドリームチーム。それとやるきのある首長
○松井証券社長 松井道夫:プラスとマイナスの決断マイナスの決断が成功
○森精機製作所社長 森雅彦:工作機械は大がかりな精巧な機械
 ・世界のどこでつくるかより、どう売るかの方が問題

 

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メディアの内と外       筑紫哲也他(岩波ブックレット)

2007年06月10日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 

 廃刊された朝日ジャーナルが、まだレフト側オピニオン誌だった'80年代の編集長が語る、「マスコミの良心」とは何か。
 実は、発信者でなく受信者の質が大いに問われると喝破しているが、その真意は如何なもの

 

○「良心的」≠「良心の発動」
○青少年社会環境対策基本法案、個人情報保護基本法案、人権救済機関設置構想
○刑務所の前の拍手:米国ジャーナリズムの生命線「情報源の隠匿」→ ジャーナリズムは共通の王国の市民(住民)→ 出所祝い
○「新聞はインテリがつくってやくざが売る」
○メディアの横の連携が恐ろしく失われている
○'99:国旗国歌法、盗聴法、住民基本台帳法
○健全なマスコミを守ると言いますが、社会に「守る」なんて何も無いわけで、戦うしかない
○まず味方だと思い、討論してゆく →まず話しあっていく姿勢
○1949:松川事件、下山事件、三鷹事件 →「民主主義をねじ曲げた夏」
○メディアから発せられる情報の読み解き方を市民が学ぶ →インターネット
○米国:信頼できるニュースソース →間違った情報だと知ったとき訂正するキャスター
○日本人:他人のせいにする、政府・学校・マスコミが悪いと文句を言う
○米国人:おかしいと思ったらまず自分で何かを行動する
○メディア自身、スタッフが「ひきこもり」→閉塞状況
○「地を這う取材」-足を運んで自分でも必ず現場で感じる
○自由なジャーナリズムがあるためには、自由な市民が一人ひとり自由な社会を作る努力 →他のだれも作ってくれない、自分の手でよくしなければならない

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IT革命のカラクリ         田原総一郎 月尾嘉男(アスキー)

2007年06月06日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 

 IT(ICT)に関する不安や疑問に対する解答がほぼ用意されていると感じる一冊。二人の筆者と出版社を見れば、「ふ~ん、なるほど!?」と言ってしまうのは、早合点かすぎるか?

 

○ITは直接民主主義を可能にするが、何を決めるにも自分で考え自己責任を負う
○三重県北川知事:県庁の職員はなるべき安く合理的にやる → 責任はとらない
○三重県大宮町:「作ってもいいけど、一人×××円です」
○1979 カーター大統領:「知的財産権」 → 1992 クリントン・ゴア:「IT戦略」
○中長期的情報戦略の背景:①1970~日本の追い上げ(鉄は国家なり)、②80年代 レーガン政権:双子の赤字(財政と貿易)、③ソ連崩壊、④1990 NTT VI&P戦略
○プロパテント戦略:①連邦が支援した研究を実業へ、②ベンチャー育成、③独禁法緩和、④知的財産権の保護強化
○包括通商法301条:スーパー301、スペシャル301
○インターネットの原理:アーパーネット(ARPANET)
○エシュロン(Echelon):三沢にもある!盗聴システム
○シュワルナゼロシア外相(国連総会演説'88):①社会主義経済の中にも環境問題が存在、②軍拡をやめ地球規模の環境問題へ
○米国戦略:①TC、②CFR、③アスペンインスティテュート
○戦後日本省庁予算比率は0.1%も動いてない
○「中間」は全てダメになる → IT革命の衝撃
○対象となる商品やマーケットはオールドエコノミーのままでいい。しかしビジネスの方法はニューエコノミーに準拠しないかぎり生き残るのは難しい

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