木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

悪しき風習

2008-02-11 19:33:13 | インポート
 大相撲で若手力士が惨殺された事件で、部屋の元親方
が逮捕されて数日が経つ。鍛えるという事とリンチは全
く違う。その違いが分からなくなった末の惨劇だと思う
し、概ね日本の組織に巣食う体質が如実に表れて悲劇に
至った事例だと私は思う。
 
 この数年、日本人力士がどうして上位に名を連ねない
のかはこのような風土と体質にあるのではないかと思っ
てしまう。科学的ではなく非科学的な精神論、根性主義
或いは「いじめ」としか思えないような無意味な儀式と
それを我慢することが努力とされる、間違った評価が多
くの人材の芽を摘んでいるように思えてならない。
 それはもはや事件や犯罪である、という行為には我慢
をする必要はない。むしろそれは我慢をしているという
事にはならない。
 純粋に相撲道を志して相撲部屋に入った力士が、陰湿
な実態と体質に嫌気がさしていわば脱走するように部屋
を出て行く実例があると聞くが、それは当然だろう。
 脱走しても街中で発見されて連れ戻され、逃げられた
親方は面目を失った屈辱から逆上し、腹いせに脱走した
若手力士をリンチする。瓶で頭を殴ったり熱湯をかけた
りと人間性を失った蛮行の果てに力士は死亡した。

 横綱か大関経験者でなければ相撲部屋を持つことがで
きない制度に改めてはどうだろうか。逮捕された元親方
は元小結だという。素人ながら感じるのは、小結で親方
になって部屋持ちというのはどうかと思う。中途半端な
実力の人ほど、その反動からかやたらと指導者になりた
がるし、指導者になったなら無意味な封建主義に走る傾
向が強いことは分野を問わず共通している。
 これでは日本人力士が育たないし羽ばたかない。
 私は昔は相撲を見るのが好きだったのでしばしばテレ
ビで観ていたが、いつしか魅力を失って最近ではほとん
ど相撲を見ることはなくなった。

 なるほど相撲は国技で長年の伝統がある。だからこそ
包み隠すのではなく、風通しよく、暗部にも光を当てる
べきだと思うのは大相撲が輝きを取り戻して欲しいと切
に願うからであり、更に飛躍発展して欲しいと思うから
である。
 伝統ある分野は伝統の上にあぐらをかいては廃れてい
く。伝統を連綿とつないでいくためにこそ、未来志向で
外に向かって気が発せらていくような躍動感がなければ
ならないと私は思う。

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