桒田三秀税理士

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ある男の話

2021-06-26 10:32:17 | 日記
 その男は、痛風持ちで足の指が巻き爪になっている。

 歯医者という仕事柄、患者相手に診療台から診療台へ移動するのも辛いという。

 私も痛風持ちで、かつて巻き爪にもなった。

 巻き爪を手術した話をしてやると,すごく怖がって「そんなんは絶対ヤダ」と子供のように拒否する。

 「でも、仕事に差し支えるし、痛いし、これから自分が手術してもらった病院に電話して予約してやろう」と言うと

 「そんなことしたら殺す」と言うのだ。

 かろうじて、私が持っている痛風の治療薬を分けてやることにした。

 それ以来、会うたびに「巻き爪の状態はどう?」と聞くのだが

 「うん、まあまあ」と言葉を濁す。

 医者に電話されたら堪らんという警戒心で、全身ハリネズミのようになっている。

 「お前はなあ、平気で患者の歯をゴリゴリ、キューンキューンしたり、

 親知らずをドバっと抜いたりしとるけど、自分がやられるのは怖いんか」と言うと

 「当り前じゃ」と言うのだ。

 なんて身勝手な奴なんだろう。