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全国市町村初 御坊市任命 認知症本人が発信 総活躍希望大使に山際裕三さん(ハーモニカ)塩路京さん(筆耕) 〈2021年2月13日〉

2021年02月13日 08時30分00秒 | 記事

 認知症支援施策で全国トップランナーの御坊市は10日、全国市町村に先駆けて創設した「あがらの総活躍希望大使」に山際裕三さん(81)=薗=、塩路京さん(94)=藤田町吉田=の2人を選んだ。認知症当事者がいきいきと暮らしている姿を発信し、地域に元気や希望を届ける「希望のリレー」をつなぎ、誰もが活躍できるまちづくりをめざす。17日午前10時から市役所で任命式を行い、三浦源吾市長が任命証を渡す。

 政府が一昨年とりまとめた認知症施策推進大綱で認知症当事者が認知症になっても希望を持って前向きに暮らす姿を積極的に発信する「認知症本人大使・希望大使」を創設。厚生労働省が若年性認知症当事者ら5人を大使に任命し、国が行う認知症の普及啓発活動等に参加。都道府県単位での任命も推奨し、静岡、香川両県が任命している。
 都道府県単位となると活動範囲が広く、本人の負担も大きいと予想されるため、御坊市は全国市町村単位で初めて任命することにした。認知症本人の視点に立った「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」を全国で初めて制定するなど「総活躍のまちづくり」を推進しており、名称を「あがらの総活躍希望大使」に決め、市内介護事業所等に推薦依頼し、山際さん、塩路さんが推薦され、10日に開いた認知症施策推進協議体会議で承認された。
 山際さんは郵便局を定年退職後、家庭菜園や日曜大工、音楽など多くの趣味を楽しむ。中でもハーモニカは今も続けており、楽譜があればどんな曲でも演奏でき、また知っている曲なら出始めのリズムを伝えると、楽譜がなくても吹ける腕前。学校での「ごぼう総活躍のまち講座」や介護家庭交流勉強会「ごぼうホッとサロン」、デイサービスなどで演奏を続ける。「人に呼ばれてハーモニカを吹きに行くのはうれしい」と、演奏を聴いてもらうことが生きがいになっている。
 塩路さんは農協職員として20年勤務。若いころから華道や茶道を習い、字を書くのが得意。今も毎朝、般若心経を写経し、その達筆さから施設や市からの依頼で賞状の筆耕などを依頼されることが多い。NHKの以来で「認知症とともに生きるまち大賞」の表彰状の筆耕を4年連続で引き受け、受賞団体ら関係者から喜ばれている。役割を持つことで生きがいを感じており「90年以上生きてきた人生で今が一番充実している」と常々話している。
 厚生労働省がホームページで2人を紹介したり、国や静岡、香川両県の希望大使とのコラボなども検討している。田中孝典介護福祉課長は「認知症になっても希望を持って日々暮らしている姿を発信し、見ていただくことで地域に勇気や希望を届けたい。普及活動を続けることで、新たな希望を生み出していく『希望のリレー』を全市的に展開し、次の希望大使誕生につなげていきたい」と話す。


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