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15年後見据え県立高校再編整備へ 県教委、紀中エリアでも懇談会 〈2020年10月9日〉

2020年10月09日 08時30分00秒 | 記事

紀中エリアの懇談会。答申では、15年後の紀中全体での必要学級数は25学級程度、うち普通科は18学級程度とされている


「これからの県立高校の在り方について~高校が地域とともに持続可能な存在であるために~」とのテーマで県教育委員会から諮問を受け、第6期きのくに教育審議会は去る8月、5回に渡る審議の末に答申を取りまとめた。内容は、県の高校教育の本質的課題を指摘し、今後15年間でなすべき方向性を示すもの。その答申をもとに県教委は先月27日から、今後の県立高校の在り方を広く説明し多方面から県民の意見を聞こうと、5エリアで地方別懇談会を順次開催している。7日夜は有田川町のきびドーム文化ホールで紀中エリア(日高・有田・海草地域)懇談会を開き、集まった各県立高校の同窓会やPTA、教員、地域の人ら100人から意見を聞いた。

 はじめに宮崎泉県教育長が「子ども一人一人が夢や希望、適性をもっと実現できる教育システムを備えた学校をつくっていかなければならない」とあいさつ。
 県教委の清水博行教育企画監は、答申の概要を説明した。▽4学級以下の県立高校は15年後には現在の10校(34%)から20校(69%)に倍増し、高校の活力や多様性引いては魅力が低下して生徒が地域外の高校へ流出。結果、地域と県立高校がともに疲弊していく懸念があること▽学校の活力や環境、条件の観点から、1学年6学級程度の学校規模での再編整備が必要なこと▽和歌山市周辺に普通科高校を4校と工業・商業・総合学科の拠点校を各1校、それ以外の地域では各市域に普通科高校を1校、工業・商業・農業が専門的に学べる学校は紀北・紀南に各1つとし、現在29校ある県立全日制高校が20校程度(およそ3分の2)になるイメージ▽紀中エリアでは普通科高校3校を各地域に整備し、ほかに普通科と専門学科の併設校や総合学科と専門学科の併設校に再編成すべき▽高等特別支援学校の新設と「学び直し」に特化した学級の設置-など解説。
 県教委では今後、この地方別懇談会ほか各県立学校長、団体等からの意見聴取を経て、年内にも再編整備実施プログラム案を作成。パブリックコメントで意見等を募った後、来年3月末を目標に再編実施プログラムを策定し、段階的に再編整備を実施していくスケジュールも示した。
 その上で懇談。会場からは「学校を存続させるとすれば、地域に協力者がどれほどいるかを把握したい」「再編の必要性は分かるが、地域に学校がなくなれば地域が衰退するのではと心配」「各校に今ある良い面を、再編の要素として取り入れてほしい」「地域の過疎対策としてぜひ分校の存続を」「私立高校との兼ね合いは?」「小規模校には小規模校なりの優れた点がある」など次々と意見や質問が出された。新型コロナウイルスの感染が拡大するなかまとめられた今回の答申は、ICTを駆使した教育の可能性にも言及していること等から「審議の時期が1年違えば提言内容が違ったと感じている」との声も。
 地方別懇談会は、これまでに紀南(東牟婁地域)、紀北(伊都・那賀地域)で開催。8日に紀南(西牟婁地域)。最終回和歌山市エリアは12日に行う。


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