需要減で価格が低迷しているバラ(がいなポートで)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、花の需要が急激に減り価格も低迷気味となっている。イベント自粛が相次ぎ、注文のキャンセルが出ていることが原因で、バラやガーベラなど洋花を中心に市場での取引価格が昨年の半値近くまで下落。全国的有数の花き産地・御坊市などでも影響は大きく、生産農家は「最も需要が見込める時期だけに本当に痛い。入学式の頃にはコロナの影響が少しでも落ち着いていれば」と話す。
御坊市はスターチスや宿根カスミソウが全国屈指の出荷量を誇るなど有数の花の産地。多くは名田町でハウス栽培され、バラやガーベラ、ダリアなども人気だ。地域の農家が手塩にかけて育てた花は、同町上野のJA紀州花き集出荷施設「がいなポート」を通じて広島から仙台までの市場に出荷。全国各地の消費者に届けられ喜ばれている。
3月は例年、結婚式をはじめ、学校の卒業式、職場の送迎会など各種イベントや彼岸などで生花の需要が高まる時期。しかし今年は、感染症拡大を受け全国的にイベントが自粛傾向。安倍首相がイベント中止、学校休校を要請した先月下旬からイベント取り止めに拍車がかかった。多くの学校で卒業式を取り止めたほか、結婚式も中止や規模縮小、延期が相次ぎ、その影響は花き市場を直撃。洋花を中心に需要減退が明白になった。消費の落ち込みで価格も低下した。
がいなポートの担当職員によると、先月下旬から東京など大市場を中心にイベントで利用される洋花の注文のキャンセルが相次ぎ、新たな注文も低迷。需要は昨年同時期に比べ50%ほど。価格も70センチサイズのバラは昨年140~150円の値が付いたが今年は80~90円、80センチサイズのダリアは昨年の200円に対し今年は100円。ガーベラやカスミソウなども半値近い価格だという。「毎年、この時期は多くの需要が見込めるが、動きがかなり鈍い。思っていた値段で売れていないし、日持ちしないので農家の方が丹精込めて育てた花がダメになるのが辛い。コロナの影響が終息に向かっているように見えないが、自粛ムードもいつまで続くかわからず先行きが不透明」と頭を抱え、「これから少しでも盛り返すことができれば」と期待を込める。ガーベラの生産農家は「年間の20%の収入を占めるこの時期だけに痛い。過去5年で一番の落ち込み。でもリーマンや東日本大震災など10年に1度はこんな年がある。卒業式や入学式もあるだろうし、延期となったブライダルもいつか開催するはずで需要は見込める。ガーベラはかわいらしく、バリエーションの豊かさが魅力。そんな花を皆さんに届けたい」と話した。
彼岸を控え、仏花のスターチスは昨年と比べやや安値だが、いまのところそれほど影響は出ていない。
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