新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、県内の病院や福祉施設で医療用マスクなどの不足を心配する声が聞かれる。業務に必要なマスクだが、急激な需要の高まりで今後の供給の見通しが立たないところも。一部の医療機関では医師や看護師らにマスクの使用を「1日1枚」に制限したり、「適切な使用」を呼びかけている。
北出病院を運営する御坊市湯川町財部の社会医療法人黎明会では2日、医師や看護師、理学療法士、技師ら全職員650人に「少しでも長い利用と無駄のない効果的な使用」を通達した。黎明会ではこの時期、病院ほか健診センター・キタデ、介護老人保健施設和佐の里などグループ全体で毎月1万3000枚ほど使用する。いまのところ在庫は3カ月分に当たる3万6000枚ほどあるが、それ以降の確保にめどは立っていない。いつも発注しているメーカーからは明確な返事はなく今後の供給は困難な状況。このためさまざまな方面で確保に尽くしている。メーカーによっては高額なところもあり、新型コロナウイルス感染拡大の動向や終息時期の分からない現状では、なかなか発注しづらいという。
担当者は「もう少し新型コロナウイルス感染の広がりの様子をみたい。向こう3カ月間は大丈夫だが、このような状況が続くと不足するかも知れないという心配がある」と危機感を抱く。
消毒液や医療用の防護服、手袋などの物品もいまのところ十分な在庫量を確保しているものの、供給が難しくなった。今後に一抹の不安を覚える。
開業医はより一層深刻だ。御坊市名田町野島のおおたにクリニックでは、大谷和正院長(68)が看護師らスタッフにマスクの使用について「1日1枚ペース。丁寧に大切に使ってほしい」と呼びかけた。クリニックでは大谷院長と7人のスタッフの計8人で毎月200枚ほど使用。新型コロナウイルス国内上陸前の1月初旬に3カ月分の600枚を発注し、その月の下旬から使い始め、残りはわずか250枚ほど。1カ月分の在庫は確保しているが、それ以降の供給の見通しは立っていない。先月、国内での感染拡大を受け卸業者に発注したが在庫はなく、卸業者からメーカーにも発注が届いていないのだという。消毒液など物品も卸業者に在庫はなく、卸業者を通じてメーカーに発注をかけているが供給については不透明だ。大谷院長は「一刻も早い終息を願うばかり。マスクはこれから1カ月間分はあるが、それ以降はどうすればいいのか。国や医師会など関係機関に供給をお願いしたり、効果は未知数ながらガーゼマスクを試したりして対応していくしかない」と嘆いた。
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