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国保日高総合病院が今後の指針示す 〈2015年10月21日〉

2015年10月21日 08時30分00秒 | 記事

経営指針を説明する曽和院長、小川事務長(右から)


 御坊市外5ヶ町病院経営事務組合が経営する国保日高総合病院(曽和正憲院長)が、19日の同組合議会閉会後に今後の経営に関する指針を示した。国が策定を義務付けた地域医療構想と新公立病院改革プランをとりまとめる上で現状と課題を上げており、特に「公共病院色の強化」と「許可病床の維持」を重点課題に、へき地医療の応援強化、口腔外科の開設、休床病床の早期再稼動などに取り組み、病院経営を縮小することなく維持拡大をめざす考え。

 国は医療法改正で平成27年度末までに都道府県医療構想と医療圏域ごとの地域医療構想、28年度中に病院経営健全化に向けた新公立病院改革プランの策定を義務付けている。約800万人と言われる団塊の世代が前期高齢者に達する「2025年問題」に対応するため、国は医療制度と介護保険制度を整合させる方針を示し、その中で医療費削減等から急性期病床の削減として、御坊医療圏域において4病院あわせて588床を100床削減の488床にするよう求めている。
 日高病院の許可病床数は一般病床300床、精神病床100床、感染病床4床。急性期病床にあたる一般病床300床のうち、52床を今年5月から在宅復帰を支援する地域包括ケア病棟に転換し、休床中の55床についても日高看護専門学校第1期生の卒業にあわせて回復期か療養病棟に転換して「完結型病院」をめざす考えを示し、病院の基本的立場として「許可病床数は縮減しない」方針を明確に打ち出した。
 この許可病床数を維持するために「公共病院色の強化」を重点課題に掲げ、5疾患(がん、脳卒中など)5事業(救急医療、災害時医療)の対応を強化。これまで取り組みの弱かった5事業の一つ、へき地医療は「寒川診療所(日高川町)の応援を強化する」としたほか、地域ニーズの高かった「口腔外科」を平成28年度中に開設することで県立医大と合意したことを報告した。
 専門医が不在の腎臓透析は「より安定した診療科態勢を整えるべく協議中」としたほか、従来の精神科訪問看護に加え、9月から医療保険訪問介護を開始。地域包括ケアシステムでは「積極的に関与する」とし、標榜科の充実では「患者数に対応する医師数が確保されていない診療科については医師、医療専門職など職員の適正確保に努める」とした。
 経営改革では赤字会計の健全化が最大の課題と位置づけ、収入の増加を図り、支出を抑えるため(1)患者の獲得(2)職員(医師)評価制度による経営貢献手当の新設など診療の活性化(3)医事機能のレベルアップ(4)デジタル経営情報の活用強化(5)購入・委託契約金額等の審査の強化-を挙げた。施設整備では築20年以上経過の一般病棟建て替えとその用地確保、精神科棟の修繕・改修、患者駐車場用地の確保、病院給食厨房や解剖室の改修などを課題に挙げた。

1億2千万円でCT更新
26年度決算は10億円赤字

 議会ではCT(コンピューター断層撮影装置)の更新、平成26年度事業会計決算など議案3件を原案通り可決し、認定した。CTは平成18年度導入で耐用年が過ぎたため、1億2312万円で最新式を購入する。
 決算は、一般病床休床による入院患者数の減少などで約10億円の赤字決算となった。このうち約2億円は地方公営企業会計制度変更によるものだが、前年度の約7億円に続く2年連続の大幅赤字で、累積赤字額は30億7000万円に膨らんだ。内部留保金が約18億円あるが、厳しい現状に変わりはない。


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