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御坊市が37年間継続のクロアワビ稚貝放流、混獲率40%台維持 〈2015年10月17日〉

2015年10月17日 08時30分00秒 | 記事

グリーンカラーのついたクロアワビ

漁協組合員らが漁船から稚貝を放流


 御坊市が昭和53年度から毎年、塩屋町、名田町沖で実施しているアワビ(主にクロアワビ)稚貝放流事業が、水揚げ量の減少幅を抑えるなど一定の成果を上げている。15日に開いた市議会平成26年度決算特別委員会で事業の成果を問われた農林水産課は、追跡調査で水揚げされたクロアワビのうち、放流貝の混獲率は40%台を維持しており「放流事業の費用対効果は出ている」と報告し、今後も稚貝放流を継続しながら水産資源の確保、漁獲高の向上につなげる考えを示した。

 アワビの稚貝放流事業はイサキ、ヒラメ、マダイ、クエなどの稚魚放流事業とともに水産資源の確保、漁獲高の向上をめざして実施している。アワビは昭和53年度から毎年度90万円、平成24年度から100万円に増額して実施。26年度は県栽培漁業協会が種苗生産したクロアワビ稚貝1万2800個(殻長平均3・9センチ)とシロアワビ稚貝5100個(同4・2センチ)を購入し、稚貝1個ずつに判別用のグリーンマークをつけて昨年12月に塩屋、名田沖に放流した。
 今年7月から8月にかけて紀州日高漁協の協力で塩屋漁港に水揚げされ、セリ前のクロアワビの中から放流貝を目視でカウントする混獲率調査では、調査した11日間トータルで調査個数1351個のうち、放流貝は42%の574個(殻長平均約10センチ)を占めていた。26年度調査では45%、20年度調査では47%と、過去の追跡調査からも40%台を維持していることが分かっている。
 水揚げ量は平成20年は2242キロあったが、年々減少し、26年は165キロまで激減したが、27年は273キロと増加に転じた。農林水産課は「毎年の水揚げは水温や台風等の気象条件に左右されるので一概には言えないが、水揚げ量が減っている中で、放流貝の混漁率は40%台を維持できており、事業の費用対効果は出ている。仮に放流しなければ水揚げがさらに減り、資源が枯渇する恐れがある。漁協も事業継続を喜んでくれており、引き続き事業は継続したい」とした。
 予算を増額し、放流貝を増やすことには「藻場が減っているため、放流貝の数を5倍にしたら、水揚げが5倍増えるということにはならないのではないか」とし、当面は今の年間100万円の予算を維持、継続する考えを示した。
 委員会審査は午前中に引き続き、一般会計決算歳出を審査。特定健診受診率は40歳以上の受診料を無料にしたことで24・4%と、前年度より5・1アップしたことが報告され、委員から「さらにPRに努めてもらいたい」との要望があった。がんの早期発見が期待できる「ペット検査」を国保日高総合病院に導入するよう求める意見もあった。


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