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kotoba日記                     小久保圭介

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すずめ

2016年12月11日 | 生活
昼間
二階へあがると
ベランダの壁の上に
すずめが一匹
7階のこんなところまで
目が合うと
すぐに飛んでいった
空のどこかへ

そうか
と思う
隣の部屋に
たくさんのアロエの鉢や
外に出してあった植物を
置いているからだ
その緑を見て
その形状を見て
すずめは
餌があるかもしれない

来たのだ

すずめが来てくれるという
うれしさ

空は鳥のものだった
人間はあとから侵入したのだ
海だってそう
川だってそう
先住民たちの生活を
めちゃくちゃにして
追いやって
人間は空も海も川も山も全部
侵入して
名前をつけ
お金で売買する

空は鳥のものだった
木が山から引っこ抜かれ
根を布で巻かれ
船に乗せられ(『載せられ』ではない)
見たことも
聞いたこともない
土地に連れてゆかれ
ビルの脇に植えられ
深さ一メートルぐらいしか土はない
その下は堅牢なコンクリートだ
根が上に張らないように
人が根で転ばないように
脇の道路に
根が伸びないように
鉄の枠で首輪をされ
木は逃げることができない
都合で切られ
引っこ抜かれ
全部なかったことになる
切られる時
「ああかわいそう」
と人間は思い 言い
5分後から24時間後には
「ああかわいそう」
はすっかり忘れ
電飾を巻き付けれた
木を見て
きれい
と言う

その木がどこから連れてこられ
どうな状態で船で運ばれ
どんなふうに根を張らずして
地上だけが整っているふうに
細工されていることなんて
誰も興味ない

人間のすることを見ていよう
そして
いつか
帰った時
話しながら
泣いているかもしれない