kotoba日記                     小久保圭介

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雨の夜の横断者

2013年10月25日 | 生活


朝の虹を
空に見つけたその直後
鳴る
メールの着信音
読んでみると
「吉増剛造、文化功労賞です。」
と朝刊を読んですぐに
知らせてくれた友の朝
まだ5時半だというのに
うれしさの勢いが
まっすぐに刺さる朝

わたしたちは
吉増剛造にわずかに
接触しているものだから

---

鳥たちは学習センターの
屋根にとまり

数日前
雨の夜の
横断歩道を
盲人が杖をついて
点字ブロックの上を
歩いていた
盲学校の近くだから
歩行者用信号から
音は鳴っていたのだけれど

雨の夜に
帰宅せねばならぬ
音が鳴っているにせよ
渡らねばならぬ横断歩道
白杖は
強い雨のアスファルトを叩いていた
けれど
雨の強さで
杖の音は聞こえません

彼の内側へ入ってゆけば
おそらく
「浮「」のただ中であっただろう

夜の雨の横断歩道
自転車のスピードをゆるめ
横断者が渡り終えるまで
沿ってはいたが
声をかけて
腕を出し
沿えばよかったと
悔いが残る

夜の雨の
ヘッドライトに照らされた
雨粒の中の
横断者
雨はわたしの顔を打つ
カッパを着ても
雨は打つ
おそらく
彼の顔にも
雨は打っていたに
違いないです
冷たい雨で打たれた顔が
せめて
地下鉄の中の暖房で
温まり
気を良くしてくれたなら
暖房に
文化功労賞

コメント
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