kotoba日記                     小久保圭介

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helpless

2012年01月17日 | 原発事故
彼と彼が
言い争う
僕は傷つく
彼が揶揄する
僕は傷つく
空と海が汚れる
僕は傷つく
彼が嘘をつき
「隠すな」
と彼が言い返す
僕は傷つく
川上弘美が
「神様2011」
を出版しなくてはいけない心情がある
僕は傷つく
高橋源一郎が
「恋する原発」
を執筆して出版にこぎつける
僕は傷つく

彼らも傷ついている
それを知って
僕は傷つく
知らないうちに
僕は傷つく
彼らはみんな
傷ついているのだ

がっかりする
草を見て
花を見て
がっかりする

福島は一つにならなくてはいけない
と誰かが言う
僕は傷つく
責任を持って対処いたします
と役人が言う
僕は傷つく

僕は自分が
傷ついているとは
知らなかったので
みんなが
傷ついていると知るまで
僕自身も傷ついているとは
判らなかったので

外部評が一番正しいという原則を知らないのですか
と内田樹が事故後に言った
だから僕らは日々見るのだ
外国の放射能拡散予測を
利害関係のない外国のメディアを
家族に不始末があれば
僕は隠します
会社に不始末があれば
僕は隠します
国に不始末があれば
僕はそれを隠します
それが当然だから
誰が好きこのんで
自分の不始末をおおやけにしますか
するもんですか

福島の原発事故のデータを
世界中がとっている
貴重なデータだから
それが外部である
こうなったらこうなる
教訓にする
冷静だ

故郷を追われたひとたち
その心情を理解できない
けれど
もし福島ではなく
名古屋だったら
僕は避難できるだろうか
そんなお金があるだろうか
仕事は
新しい環境で
かかりつけの医者はどこ
お人形さんを胸に抱えて
僕は出かけるのか

気にしたってしょうがない
そうかも
そうかもそうかもそうかも

ニールヤングとパティスミスが
「ヘルプレス」という歌を歌っている
ヘルプレス
歌詞は判らないけれど
僕は石が積まれた囲いの中で
上を見て
青い空を見る
どれだけ希望を失っても
必ず
小さな光はあるんだ
それはわずかな笑顔であったとしても
必ず
小さな希望の光は
やってくる
見つける目を持てば
必ず
見つけられる
傷は血小板によって治され
血は止まる

僕らは
なんとしても
生きてゆくのだ
悲しみに
苦しみに
思いのボールを投げてはいけない
返ってくるから

僕らは
まったくもって
傷ついてしまっているけれど
必ず希望があることを
希望を失ってはいけないことを
僕は教えられた
ニールヤングとパティスミスの
演奏と声と表情から


コメント
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