kotoba日記                     小久保圭介

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映画ですから

2008年06月07日 | 文学
映画「バッシング」を観ました。
去年の今頃、初めて観て、
小林作品を最近続けて観て、
どうしても「バッシング」をもう一度観たかった。
DVDの特典映像で、
監督が上映前に、
弾き語りで3曲歌っています。

女優さん達が、上映前に、
「楽しんで」と言って、すぐ言いよどみ、
「観てください」と言い直すニュアンスがあります。
最後に、監督が、
「シリアスな映画ですけど、映画ですから楽しんでください」
と言いました。
「映画ですから」という言葉が、
重要だと思いました。

夜、久しぶりにフェリーの人達と飲食し、
蟹工船(小林多喜二)の話になりました。
作者は、蟹工船に乗っていないのに、何で書けるんだ?
という話になり、
僕はジョンレノンが豪邸で「イマジン」を作ったりしたことを、
ぼんやり思っていました。

文学の話に熱が帯びるたび、
ああ、真面目なんだなあ僕らは、
と思いました。
でも、僕らは「蟹工船」を読んでいないのに、
どうして話せるのだろう、とマジでヘンな気がしました。
だからといって、読む気はありませんけど、
最近、「蟹工船」がブームで読まれているらしいです。

先日、
「クワイエットルームにようこそ」と、
「めがね」という映画を観ました。
両方とも、根は同じで、
現代のストレス社会から生じる、
行き道を描いています。
このような映画が必要でない社会が、
くればいいなあと思います。

街を歩いていても、
妙なオーラを人々が発している気がします。
先日、ミニシアターの前に椅子とテーブルがあり、
ひとつ空いていました。
友人が、隣の人に、
「いいですか?」
と訊きました。
隣の人は無言で、本を読んでいました。
友人は、もう一度、
「ここ、いいですか」
と訊きましたけど、
隣の人は無言でした。
人と人が、
変になってきていると思っています。


夜道を歩きながら、
いろんなことを考えていました。
こうしたい、ああしたい、こうなったらいいのにな、
という楽しい欲望や希望ををたくさん思い浮かべていたら、
そこに小説のテーマが見つかりそうでした。
津島佑子の言葉も思い出しながら。
言葉を持たない人の代わりに、
僕は書こうと思った。
僕は言葉を持っているのだから。

シンディの歌が胸で鳴り、
夜の木の下を歩いて帰りました。

日付が変わって、
窓の外を見ると、
雨が来ました。
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