ジジババのたわごと

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中国こけたら日本もこける

2020年11月19日 | Weblog

中国通を自認する学者や識者の中に「中国は間もなく衰退する」とか「崩壊する」と主張するものがいる。

理由は「中国が発表するデータは虚偽だ」ということだ。

データは嘘で、中国経済はこの先も沈んだままだというわけである。

 

もう一つは、「米中経済戦争で中国が体力を消耗しきっている」に代表される見方である。

関税の引き上げ、ファーウエイ製品の排除や主要部品の調達制限で締めあげられている。

追い打ちをかけるように「香港のドルペッグ取引」を米国が禁止したらひとたまりもなく中国はこけてしまうと主張する。

 

香港やウイグル族への弾圧、そして国内の民主派の締め付けが海外から非難を浴びている。

 

香港では、「国家安全維持法」で民主派を次々に逮捕している。民主派議員の資格が剥奪された。

香港の「一国二制度」と民主主義は完全に破壊され、息の根が止められた。

 

ウイグルでは、民族浄化政策と呼べるような、不妊手術、集団虐殺、強制収容所監禁が行われている。

 

南シナ海では、人工島を軍事基地化して領土を主張して周辺国と対立している。

「一帯一路」で、インフラ投資の名目で中国から多額の融資を受けたが返済不能になり、港湾が没収(長期使用契約)される事例が起き、「借金の罠」への反発と警戒が出ている。

嫌中派の彼らは、このような中国が世界から孤立していると主張している。

 

だが彼らは、中国だけがつまずいていくのを、高みで見物しているような錯覚に陥っているのではないか。

自身の願望を述べるために、都合よい偏った観測だけを拾いだしている印象である。 

中国嫌いに凝り固まって己の身辺に起きている基本的な事実を無視する論調はいただけない。

それこそ「総合的・俯瞰的?」に見てほしいものである。

訳知り顔で述べているのか。それとも、中国がこけたら日本はどうなるか、という事実から意図的に目を逸らせているのか。

 

中国を経済的に孤立化させ切り離す「デカップリング」を主張するものもいる。

しかし冷戦時の旧ソ連とは異なり、米中は深く結びついている。共倒れになるので「ドル取引禁止」などできることではない。

 

中国の第3四半期(7~9月)のGDPが前年比4.9%成長と発表された。まさにV字回復である。

だが、「中国はデータを改ざんしている」という声が聞こえる。鉛筆を舐めて数字を嵩上げしているのではないか、というわけだ。

たしかに古くから、中国の発表する数値は疑いを持たれてきた。数値は信用できないので傾向を判断する材料に用いるなどと言われてきた。

「李克強指数」は今も話題に上る。李克強首相が遼寧省の党書記であったころ、省が発表するGDP成長率は信頼できないので「鉄道貨物輸送量、銀行融資残高、電力消費の推移」によって省の経済状況を判断していると語ったとされる。

しかし最近は、中国政府の発表がおおむね正確になったと見られている。

 

国際通貨基金(IMF)が公表した今年の世界経済予測では、主要先進7カ国(G7)は軒並みマイナス成長に陥る。ブラジル・ロシア・インドなど主要新興国もマイナス成長の見込みだ。

そんな中で、中国だけが前年比1.9%増の成長率が予想されている。

 

中国は新型コロナ制圧のために大都市封鎖(ロックダウン)など、強引な手段を用いて感染抑制を成し遂げた。

そのあと、地方のインフラ整備に積極的な投資を行い、経済対策や減税さらに補助金支給などで内需を活発にさせた。

コロナ関連で海外からのマスクや防護服、テレワークに伴うパソコンや電子機器の需要も旺盛であった。

 

興味深いのは、アメリカなど海外から中国への投資が増えていることである。中国の国債、株式への資金流入が旺盛と伝えられている。

 

一方で注目すべきは、コロナ感染防止のために、国が個人の「行動履歴情報」を把握し、必要とあれば行動を制限できるシステムを形成したことである。

コロナに名を借りて、独裁国家が個人の行動を逐一管理し、自由を奪うシステムに恐ろしさを感じる。

 

 

中国でビジネスを展開する日本企業は30,000社を超える。

日本の大企業のほとんどが中国と取引しているという現実を認識しなければならない。一般市民が知っている有名な会社は例外なく中国と深い結びついていると考えてよい。

 

日本の貿易の相手国第1位は中国である。輸出入総額の21%を占める。アメリカが第2位で15%である。 

ちなみにアメリカの貿易相手第1位は中国である。

日米ともに中国が最大の貿易相手国なのだ。

最大の貿易相手である中国経済がこけたら、日本もこけてしまうということである。

 

嫌中派の彼らは、日本の大手企業が軒並み中国と密接な関係にあることを知らないはずはない。自民党の中にも中国を擁護する議員がいる。

中国や韓国に理解を示す発言をするものに対して、「反日」行為だと抗議する彼らが、大企業や中国擁護の議員に抗議の声を上げないのはなぜか不思議である。

 

アメリカ大統領がトランプからバイデンに代わると、人権問題や海洋進出に対して中国を牽制する姿勢を強めると観測されているが、経済政策は大きく変わらないと見られている。

 

日本でもアメリカでも経済界にとって、中国は利益を上げる協力者なのである。経済界には「中国を敵対する空気」は無い。

 

先日、RCEP(東アジア地域包括経済連携)に16か国が署名した。中国・韓国・日本の3国が加入する初めての経済連携協定である。

世界の人口とGDPのおよそ3割を占める巨大な自由貿易圏が生まれる。

緩やかな経済協定だが、中国にとっては徐々に存在感を発揮していくチャンスとなる。

中国は短期的にも長期的にも懸念材料に事欠かない。

国営企業の過剰な債務が不良債権化して、バブルが弾ける不安が深刻な状況になっていると言われる。

 

相手国のコロナ禍が収まらないので、当面は輸出の急回復が期待できない。

国内消費を喚起して内需をけん引する政策をとると見られるが、そのためにカギとなる雇用の回復が遅れている。

とりわけ農民工の失業率が高いことが不安材料となっている。

貧富の差が拡大していることも懸案である。

根本は都市と農村の戸籍の問題である。

 

そうではあるが、中国はさらに発展して、存在感を今以上に高めていくと予想する。

そして、内外に向かって強引な手法で威圧していくことだろう。



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