国民年金へ切り替える手続きをしなかった専業主婦が大勢いることがわかった。
年金制度をよく知らなくて切り替え手続きしなかった人のために、厚生労働省は救済策を打ち出した。
ところがこれがまた不評で、実施を留保した。
夫がサラリーマンで妻が専業主婦の場合、妻は単独で年金に加入しなくて良い。もちろん妻の分として保険料を払うことはしない。
夫が加入している「厚生年金」の団体が、妻の「基礎年金(国民年金に相当)」分を負担しているからだ。
夫が自営業などへ転職した場合は、「国民年金」に切り替わるので手続きが必要になる。
国民年金は妻の分を負担する制度になっていないので、専業主婦の妻も国民年金に切り替えなければならない。つまり妻は新たに単独で「国民年金」に加入する手続きをしなければならない。
厚労省が出した主婦の救済策は、「過去2年分の保険料を納付すれば、さかのぼって国民年金を支払う」という内容である。
ところが、「継続して保険料を払ってきた人と比較して不公平だ」という批判が沸き起こった。
慌てた厚労省は、この救済策の実施を一時停止すると発表した。
まったくお粗末としか言いようがない。
今回の救済策は極端に不公平になってしまうから、あちこちから不満が噴出するのは目に見えていた。
ある程度だけ救済するという解決策を、それほど難しくなく出せたと思う。
おそらく厚労省は、「必要な手続きを加入者に十分に周知してこなかった」と非難されることを恐れたのだろう。
消えた年金で非難を浴びた厚労省が、今回の手続き漏れが明るみに出てきて、またまた自分たちに火の粉が飛んこないようにと、先回りして追及逃れに走ったのではないだろうか。
どちらにもいい顔をしたい民主党の八方美人型政治の一面とも言えそうだ。
先の「消えた年金問題」にしても、大事になるまで放置され続けたのは、「本人から申告してきたら給付してやるのだ」という役所的姿勢にあったと言ってよい。
加入者の立場を考えて、転職などで年金が変るときに本人に通知を出すことは、本気でやる気になればそれほど難しいことではない。
加入しているお客へ、情報を通知するという発想が役所には欠落している。
年金の仕組みや手続きについては誰も教えてくれない。
学校でも教えないので、年金について知らない人、特にサラリーマン家庭の主婦には、転職したときに年金手続きが必要だと認識していない人がいる。
日本の年金制度は複雑で、職業が変ると年金も変るという根本的な欠陥があるのだが、それが表面に浮き上がってきたと言える。
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