ナマコ食べますか？

ジジの知り合いから電話があった。

ジジは留守だったからババが出た。

「なまこを食べますか？」と言う。

なまこ？　なめこ？　

ババは海のなまこだと確信して、「食べます」と答えた。

聞こえたはずなのに相手はもう一度ババに聞き返した。

 

しばらくして、新聞包みをもってやってきた。

１匹か２匹くらいだろうと思っていたババは、たくさん入っていそうな包み具合いを見て一瞬ギョッ・・・。 

今じゃなまこは高級珍味だという。

スーパーのなまこの酢の物だってしばらく食べてないババだ。

ジジの知り合いは、「うちの奴は苦手なんで・・・」と苦笑いしながら帰って行った。

 

袋を開けたらなまこがゴジャゴジャ。

数えたら７匹も入っていた。

ジジは少ししか食べないだろうし、ババだって限界がある。

姉に電話した。歯がたたないし、食べないと断られた。

近所の奥さんに電話した。やはり、食べないと断られた。申し訳なさそうに断ったのがおかしかった。

 

そこで近くのもう一人の奥さん宅では、海に親戚がいたはず・・・と思い出した。

親戚から送られてくる海産物を、たまにおすそ分けしてくれる。

聞きに行くと「なまこ？　大好き！」と予想通りの答え。

さっそく４匹もらってもらった。無駄にならなくて良かった！

それにしてもなまこが大好きというのはめったに聞かない。

 

なまこの頭と尻を切り取ってから内臓をだして洗い、塩でもんでから湯引きした。

薄く切って用意しておいた二杯酢の中に漬け込んだ。これで夕飯時はビールと一緒だ。

 

それにしても生きたなまこに触るのはいつ以来だろう。そして、なんてグロテスクなんだろう。

最初に食べた人はすごい勇気のある人だったろうなぁ・・・なんて考えてしまった。

かなり久しぶりのなまこだったが美味しかった。また頂けたら遠慮なく頂こうと思う。