総裁不在マスコミの騒ぎすぎ

日銀総裁が空席になった。衆参で与野党が逆転している今の国会を象徴的に物語る出来事である。
しかし、総裁不在を空前の大事件のようにあおりたてているマスコミ報道は、異常とさえ写る。
総裁が決まらなかったからといって、日銀の金融政策に大きな違いが出るとは思えない。

内部を知らないで勝手なことを言うといわれそうだが、現実的にさほど支障は出るとは考えにくい。
無数にあるいろいろの組織でトップが空席になったときを想像してみても、よほどワンマンだったトップが抜けた場合でない限り、大勢に影響はないのではないか。
白川副総裁を総裁代行に正式に指名したことだし、重要な政策は「政策決定会合」で審議委員が合議で決めるというルールを決めているのだから、普通に考えればことさらに大騒ぎすることでない。

総裁が決まらないということは心理的には、落ち着かない雰囲気が生まれる。関係者にとっては体面上のことも大きいのだと思う。
それが政局のゴタゴタから生じているということが、象徴的なこととしてなんとなく不安感を誘うのだろう。
しかし現実問題として考えると、マスコミが騒ぎ立てているほど、深刻な事態ではないはずだ。

同じ政局の混乱でも、「道路特定財源」と「暫定税率」は、まさに何十年かに一度の超重量級課題だと思う。
この案件がどんな方向で決着するかは、政治と行政すべてに影響する、まさに日本の行く末を決める分水嶺になると言ってもよい。