竹と遊ぼう。伊藤千章の日記、

小平市と掛川市の山村を往復して暮らし、マラソン、草花の写真、竹細工、クラフトテープのかご、紙塑人形の写真があります

近代文明の破壊力とフットパス。

2009-09-01 04:19:13 | 歴史と人類学
これは前日の日記に対してmixiの友人が書いたコメントに対する返事です。
 
Yayoiさん、お答えが長くなるので、日記にしちゃいます。というより勝手に長くしちゃった。
ごめんなさい。
 
私が歩いたのはウェールズ海岸、コッツウオルズ、湖水地方だけですが、温帯ですから自然はよく似ています。でも植物相は日本の方が豊かです。
 
湖水地方の道、農道?
 
資本主義が古くから発達した国ですから、全ての土地は私有財産で、畑も柵でしっかり囲んであります。
 
そんな国だからフットパス運動が生まれた。つまり私有財産を通行する許可を得た、その繋がりがフットパスなんです。だから麦畑の中の一畝、牧場のふみ跡がフットパスなんです。
 
 
トラスト運動も自然は全て私有財産なので、経済的利益のためにどんどん破壊されてゆく、それに対して自然を守るためには、トラストが土地を所有して守っていくしか手が無かったんですね。
 
フランスのフォンテンブローの森をレンタサイクルで走りましたが、立派な森林の木がほぼ同じ太さなんです。堂々たる森林の訳は、かって全部伐られちゃった、それを19世紀末あたりから植林したんですね。だから同じ太さの木が並んでいる。
 
イギリスの森は王立財産の狐狩りの森が残されているのです。それ以外は一時期みんな伐られちゃった。
 
近代文明を生み出したことで、イギリスは一時世界を支配した、でも本国は荒れ果てて行った、それを19世紀末から復興させようとしてすごい努力をしてきたようです。
 
近代が荒らしたのは自然だけじゃなく、自然と結びついた伝統的な生活文化もそうです。近代初頭を血塗らせた魔女狩りも、自然と一緒に暮らしていた地方の伝統的な知恵を持った女性達が槍玉に上がった。
 
あの時代キリスト教が純化されて、原理主義みたいになりました。プロテスタントが生まれ、近代合理主義が誕生したんだけれど、それから外れた伝統的な自然の知恵を持った人たちが、悪魔の支配下にあるとして魔女裁判にかけられ、火あぶりにされたんです。その数数十万ともいう。
 
魔法使いのお婆さんって、深い森の中で大鍋で何かをぐつぐつ煮てるでしょ?あれは民間治療薬の薬草なんです。それで病気の治療にあたる、そんな人なんです。
 
ヨーロッパの歴史や自然をたどると、そのすごさに驚きます。        
 
彼らが支配したどこでも、弱小民族は抹殺されたり、徹底的に排除されます。
アフリカでも、オーストラリアでも、アメリカ大陸でも。
 
日本も近代化のために、明治以降伝統文化を無視して、ヨーロッパのものをいち早く取り入れました。そして植民地獲得競争に加わりました、遅れて参加したために、かなりスマートになった英米よりも、初期の植民地主義の荒々しさを保ったままで。おまけに中国や朝鮮という高い文明を持った国に対して。
 
それに敗れた今も近代日本の行為は周囲の国々に対してだけじゃなく、私たちの心に深い傷を残しました。
 
近代日本は少数民族のアイヌ文化を否定しただけじゃなく、日本の伝統的な生活文化も無視しました。暦でさえもキリスト教暦に変わっちゃいました。    
 
 
隣の牧場へ。
                                             続く