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共産法の体系(連載第12回)

2020-02-22 | 〆共産法の体系[新訂版]

第2章 民衆会議憲章

(5)民衆会議憲章の内容③
 民衆会議憲章は根本的には世界共同体(世共)憲章の形で表現される条約としての性質を有する民際法であるが、第二次的に領域圏内部の憲章としても表現される。すなわち領域圏憲章である。これは、世共を構成する各領域圏の域内で適用される言わば領域圏の「憲法」である。
 その意味では、現行の国家憲法(国憲)に匹敵する地位を持つ基本法であるが、国家主権に基づく国憲の内容がまさに国によりまちまちであり、言わば国連の憲法である国連憲章も加盟国の憲法に対して何ら制約的な地位を持たないのに対し、領域圏憲章は世共憲章の範囲内で成立する支分憲章であって、世共憲章の具体化法という派生的な地位を持つ。
 従って、先に指摘した世共憲章の三大原則(民衆主権・恒久平和・普遍的人権)に反する内容を領域圏憲法に盛り込むことはできない。その結果、各領域圏憲章は民衆会議制・軍の不保持・人権保障を共通項として共有し合うことになる。
 この点で、世共を構成する各領域圏の政体は、自由と平和を共有しつつ民衆会議を基軸とする会議体共和制に収斂していくため、君主制から共和制まで様々な政体を持つ主権国家の集合体である現行国連に比べて、はるかに均質性の高い共同体として機能するだろう。
 ただし、領域圏憲章は世共憲章に反しない限りで独自の内容を盛り込むことができるから、世共憲章よりもいっそう先進的な規定を設けることは何ら差し支えない。しかし、逆に、世共憲章の内容を後退させるような規定を盛ることは認められない。
 また独自の成文法としての領域圏憲章をあえて持たない不文法主義を採用してもよいが、この場合は世共憲章がそのまま領域圏憲章として自動適用され、その範囲内で実質的な憲章に相当する種々の基本法が制定されることになる。
 ところで、連邦型の連合領域圏における準領域圏や領域圏内の地方自治体も、それぞれの権限事項に関して固有の憲章を持つことができるということが民衆会議憲章体系の大きな特色であるが、それらも世共憲章及び領域圏憲章に沿った内容でなければならないことは当然である。

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