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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第34回)

2024-06-17 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

五 汎ヨーロッパ‐シベリア域圏

汎ヨーロッパ‐シベリア域圏は、現在の欧州連合領域を超えて、欧州大陸及び大西洋上の島嶼域(現スペイン及びポルトガル領)に、シベリアにまたがる現ロシア連邦の領域も包摂する汎域圏である。ただし、ロシア連邦の東端に当たる極東地方はロシアから分立した極東ユーラシア領域圏として汎東方アジア‐オセアニア域圏に包摂される。また、欧州諸国が南太平洋及びカリブ海域に保持する海外領土はすべて分立し、当汎域圏には包摂されない。汎域圏全体の政治代表都市はチェコ領域圏のプラハに置かれる。

包摂領域圏:
ヘラス、アルバニア‐コソヴォ、バルカン合同、ダキア中央ヨーロッパ合同イタリア‐サンマリノ、西地中海合同イベリア合同フランス、ブリティッシュ‐チャンネル諸島合同ベネルクス、ジャーマニー北部ヨーロッパ合同、ポーランド‐ウクライナ合同ルーシ、南コーカサス合同

 

(1)ヘラス

(ア)成立経緯
主権国家ギリシャを基本的に継承する領域圏。ただし、トルコとの協定に基づき北部の北キプロスから分割された南キプロスが編入される。南キプロスは準領域圏として高度の自治権が保障されるため、複合領域圏となる。また、現在のギリシャ領内の特殊な宗教自治体であるアトス自治修道士共和国はヘラスから分離され、世界共同体との協定に基づく独立宗教自治域となる(後述)。

(イ)社会経済状況
資本主義時代のギリシャは、債務危機に陥るなど財政面での問題国家であったが、共産化により貨幣経済が廃されると、財政問題からも解放され、ギリシャは一転、バルカン地域での模範領域圏となる。農業が主産業であるが、資本主義時代に盛んだった海運業も、環境的持続可能性に配慮したグローバルな共産化に伴い、新たな形で中枢産業となる。豊富な遺跡を資源とする観光は、共産化による商業活動の廃止に伴い、「産業」ではなくなるが、欧州方面の文化的観光地としてイタリアと並ぶ中心地であり続ける。

(ウ)政治制度
全土民衆会議にはコソボに人口割合に応じた優先議席枠が配分される。

(エ)特記
ヘラスとはヘレニズムという用語にも残るギリシャの古代名称に由来する。ギリシャ系ながら現在は独立国家である南キプロスが包摂されることに伴う名称変更である。

☆別の可能性
南キプロスが完全に統合され、全体として統合領域圏となる可能性もなくはない。また、可能性は高くないが、南北キプロスが統合され、汎ヨーロッパ‐シベリア域圏に包摂される可能性もなくはない。

 

(2)アルバニア‐コソヴォ

(ア)成立経緯
主権国家アルバニアと、セルビアから分離して事実上の独立国家となっていたアルバニア系のコソヴォが合併して成立する領域圏。コソヴォは準領域圏として高度の自治権が保障されるため、複合領域圏となる。バルカン合同領域圏の招聘領域圏でもある。

(イ)社会経済状況
統合されたコソヴォ地域を含め、農業が主産業である。しかし、旧社会主義体制時代のアルバニアで試みられた集団農場制の経験を活用しつつ、計画的な持続可能的農業が発達する。市場経済化の時代に蔓延した汚職やマフィアは、貨幣経済の廃止により撲滅される。

(ウ)政治制度
全土民衆会議にはコソヴォに人口割合に応じた優先議席枠が配分される。

(エ)特記
旧版ではコソヴォを完全に統合した統一アルバニアを想定していたが、コソヴォの独自性とアルバニアの膨張を志向する「大アルバニア主義」への懸念に配慮し、複合名称を持つ複合領域圏とした。

☆別の可能性
旧版どおり、統一アルバニアとして統合領域圏となる可能性もなくはない。また、コソヴォが単立の統合領域圏となったうえ、バルカン合同領域圏に加入する可能性もなくはない。


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