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共産教育論(連載第36回)

2019-02-12 | 〆共産教育論

Ⅶ 専門教育制度

(2)高度専門職学院の概要
 生涯教育制度の一環としての高度専門職学院の設置主体は、公私両様である。公的な設置主体としては、領域圏立のものと広域自治体立のもの、大都市立のものがある。また私立もあるが、いずれであれ、法令上の設置基準を満たしていることが高度専門職学院の標榜基準となる。
 高度専門職学院での教育目標は、その名のとおり、各種専門職となるうえで必要不可欠な素養及び技能を集中的に修得することにある。そのため、既存の大学とは異なり、一般教養科目はなく、一年次からすべてが実習を含む専門科目で構成される。
 修学年限は学院の種別ごとに差異があってよいと思われるが、高度専門職に必要な基礎的素養及び技能を修得するうえで、少なくとも3年は必要であろう。しかし、4年を越えるのは生涯教育課程における集中的な専門教育という観点からは長すぎ、4年制が最長限度かと思われる。
 ちなみに、資本主義社会においてはとかく高額な学費が進学の障壁となる高度専門職教育であるが、貨幣経済が廃される共産主義社会では私立系のものも含め、すべて無償であるから、そもそも学費自体が発生しない。結果、その門戸は大幅に拡大されることになる。
 高度専門職はその専門技術性と社会的責任性の高さゆえに、ほとんどの職域において資格制または免許制が採られ、それらの取得には学科試験が課せられる。しかし、高度専門職学院が受験準備のための予備校と化さないためにも、資格/免許試験は高度専門職学院の学生であれば、90パーセント以上が70パーセント以上の正答率で合格できる基礎的な内容とする。
 高度専門職は、その関門となる資格/免許の取得そのものよりも、取得後の継続的研鑽のほうがはるかに重要性が高いので、専門職資格/免許はおおむね10年程度の有効期限を持たせた更新制を採るべきであり、専門職学院はそうした継続的研鑽を目的とする一年の短期必修プログラムを提供する。
 従って、例えば医師免許取得者は10年の有効期限経過前に、免許更新に備えて一時休職し、再びいずれかの医学院の継続研鑽課程に入学し、研鑽教育を受けたうえで、免許更新試験に合格しなければ、有効期限切れとともに医師免許を喪失することになる。

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