NATURAL SOUND

音楽の話を中心に、日々のできごと‥

GRAFARPOGN

2013年10月30日 23時52分19秒 | ブログ
Photo原題が英語ではないので正確に表記できませんが、邦題は「緑衣の女」。傑作です。A・インドリダソンは昨年「湿地」も好評でしたが、今回はさらに強力。翻訳者がその強烈な暴力描写のため邦訳を躊躇。わざわざアイスランドまで作者に会いに行ったといういわくつきです。映画だったらまず見ていられないようなシーンもあります。物語は捜査を担当する刑事の家庭内の問題(関係なさそうで実は重要)や発見された白骨死体の謎、70年も前の物語、そして緑衣の女などが重なり合う見事な構成。前作同様、翻訳も上手い。間違いなくベストテン級。




GRAND CANYON SUITE

2013年10月29日 22時54分14秒 | ブログ
P1080641個人的には「描写音楽」にはあまり興味がありませんが、この作品は「山道~」がジャズで頻繁に取り上げられるということで、「オケで聴いてみるか」と思い買いました。フィードラー~ボストン・ポップスの演奏はなかなか上出来で、聴いていて楽しい。こういうところはアメリカのオーケストラだな。グローフェという作曲家は、もともとシンフォニック・ジャズのアレンジで活躍した人で、ほぼこの一曲しか世に知られていませんね。カプリングされた「パリのアメリカ人」も好演。そう、グローフェはガーシュインの「ラプソディ~」をアレンジした人なのでした。




FINESSE

2013年10月28日 23時26分09秒 | ブログ
P1080638秋吉敏子は1929年生まれですから、この録音の時は49歳。トシコ~タバキン・バンド結成後の録音です。彼女はビッグバンドの活動と並行しながら結構な数のトリオ演奏を続けていますが、この作品はかなり人気を博したものです。パートナーはM・バドウィックとJ・ハナという気心の知れた人たちで、演奏も素晴らしい。油ののりきった頃のトシコのピアノが楽しめます。コンコルド・ジャズ・レーベルの録音も良く、トシコのピアノ・トリオと言えば最右翼に挙げられる一枚だと思います。




THE DOUBLE SIX OF PARIS

2013年10月27日 22時07分05秒 | ブログ
P1080640「ダブル・シックス・オブ・パリ」はフランスのコーラス・グループです。本作は1960年の録音で、驚くほどジャジーな仕上がり。それもそのはず全編Q・ジョーンズのアレンジ。ジャズ・コーラス・アルバムの傑作と言えるでしょう。メンバーの中には、のちにスゥイングル・シンガーズを結成するW・スゥイングルやC・ルグラン(ミシェルの妹)などが在籍していました。実は彼らにはフィリップスにもう一枚傑作があるのですが、こちらはなかなか手に入りません。




TUSK

2013年10月21日 22時36分04秒 | ブログ
Tuskこのアルバムが発表されたのは79年です。この頃仙台で一人暮らしをしていて、FMから聞こえてきた「セーラ」のライヴ・バージョンがあまりにカッコ良かったので買った「Fleetwood Mac Live」というアルバムが、実は「TUSK TOUR」の記録。つまりオリジナル・アルバムが後の入手という訳です。このアルバムは二枚組で、前作「Rumours」ほど売れなかったそうです。もっとも「Rumours」が大ヒットだったので、これも止むを得ないところでしょう。全体としてとても水準の高い作品ですが、凝りすぎた感もややあり、かな。




SYMPHONY NO.8 in C Minor

2013年10月20日 21時58分21秒 | ブログ
P1080634ブルックナーは苦手でした。なにしろ長い。この8番なんか1時間半くらいかかります。しかも「原典版」「ハース版」「ノヴァーク版」「改訂版」‥ととにかく何度も書き直しているのでややこしいです。しかし年とともに心惹かれるものを感じています。CD時代になってからの名演としてこのカラヤン盤がありますが、CDのメリットというか、私は二枚目だけをよく聴きます。第三楽章と第四楽章ですね。全部聴くと長いし‥。カラヤンはこの曲を70年代にベルリン・フィルと録音していますが、晩年のカラヤン(これは死の一年前の録音)はウィーン・フィル。このあたりも、この曲らしいですね。




BEST OF DJANGO REINHARDT

2013年10月19日 20時19分49秒 | ブログ
P1080637音楽を聴いていて、リズム、フレーズ、ハーモニー、テクニックとどれをとっても非の打ちどころがないのに、さほど吃驚しないということはよくあります。たとえば「煌めき」とか「輝き」とかいうもの。言葉では説明できないポイントです。ジャンゴの演奏はそういう意味でも「ジニアス」という言葉にふさわしいものです。たとえば一曲目のお馴染み「MINOR SWING」。彼自身の多くの録音を聴いてみてもほとんど同じフレーズが出てきません。本レコードはすべて1947年の録音。天才ジプシー、ジャンゴの圧倒的名演集です。




TSUME TO ME

2013年10月15日 20時27分25秒 | ブログ
P1080631最初の仕掛け「あなた」と「わたし」の視点について成功しているかしていないかという議論があるようですが、ちょっと注意深く読めば別に「仕掛け」というほどのものでもないような気がします。それほど長い作品でもないのでそこを乗り越えてしまえば、最後までスイスイと読めますね。近年の芥川賞から考えると、水準以上だと思いました。ただこの人のこれまでの作品は読んでいないので、これが最高と言われると「そうなの?」と思います。この人はまだまだ先があるような気がする、そんな作品でした。




COMIN' HOME BABY

2013年10月14日 21時39分15秒 | ブログ
MelM・トーメの傑作というとまずこのアルバムの名前を挙げる人は少ないでしょうが、ヒット作といえばこれでしょう。とにかく売れたので硬派のジャズファンはあまり評価しませんが、一曲目のタイトル曲はなかなかカッコいいです。本アルバムはこの一曲目と最後の「Right Now」がC・オーガーマンのアレンジで発売されたシングル盤。その他はS・ロジャーズのアレンジによるジャズのスタンダードです。つまり頭とラストナンバーが異なる性格なのは当然と言えば当然なのですね。




DIE ZAUBERFLOTE

2013年10月13日 00時03分34秒 | ブログ
Imageよこすか芸術劇場でのプラハ国立歌劇場は二回目。今回は「魔笛」とあってはずせません。席はいまひとつでしたが、素晴らしい公演で大満足。一番印象に残ったのはパパゲーノのD・チャプコヴィチ。声も良かったですが動きがコミカルで、ブッファとしての「魔笛」にぴったり。J・シベラは小柄でしたが堂々たる夜の女王でした。それから合唱が劇場付の合唱団で力強く、流石。柔らかい弦の響きも魅力的で、実に楽しい素晴らしい夜。隣の席で一人で見ていた老婦人から「楽しかったわね!」と声をかけられ、にこにこしながら劇場を後に。今更ながら「魔笛」は特別なオペラだと感じました。