D・ガレスピーがL・モーガンやB・ゴルソン、W・ケリーといった信じられないようなメンバーの揃ったビッグバンドでニューポートに出演したのは1957年。変な帽子をかぶって客席(?)でカメラを構えるジャケット写真で有名なレコードです。ここでの「チュニジアの夜」は、ガレスピーのユーモラスなスピーチで始まります。L・モーガンは、ブラウニーの演奏を引き合いに出したり、グローフェの「グランドキャニオン」や「ジェリコの戦い」などを織り交ぜ、かなり長いソロを聴かせます。これが素晴らしい。ベースのP・ウエスト、あまり知られていない人ですが、かなり雄弁なソロを聴かせます。「ガレスピーの音楽が発散するワイルドな、一種ヴードゥー的な狂乱性は、ほかの誰にも真似のできないとくべつなものだった。(村上春樹:Portrait in Jazz)」