プレスティッジの7000番台でも屈指の名盤です。数あるハードバップのアルバムの中でも、個人的に聴くことがとても多いレコード。「CAPRI」「BLUE LIGHT」あたりがベスト・トラックという人も多いと思いますが、どのトラックも素晴らしい演奏。ファーマーとグライスの相性が抜群です。ここにH・シルヴァーを持ってきたところが、このアルバムの成功の秘密のような気がしますね。シルヴァーが焚きつけるので「クールな二人が熱い」というあたりが聴きどころでしょうか。この曲はA面の一曲目。それにしてもこのジャケットいいなぁ。
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YouTube: Art Farmer & Gigi Gryce Quintet - A Night at Tony's
スチーブンソンの「宝島」は、フリント船長が隠した宝をめぐる物語ですが、このタイトルはまさにそのフリント船長のこと。この小説にはフリント船長は出てきませんが、それにしても良くこのタイトルを思いついたな。舞台はアメリカ北西部、アラスカでのカニ漁で生計を立てているある港町です。これといって血なまぐさい事件も起きないまま、話がどんどん進んでいきますが、読ませます。そしてビックリの結末。著者のN・ダイベックはこれがデビュー作だそうですが、なかなかの力量です。主人公の少年カルの母親ドナは、音楽の趣味がハンパではなく、音楽好きの人はきっと楽しめます。ちょっと青春ミステリっぽいので好みは分かれるところでしょうが、とても心に残る素晴らしい物語でした。