MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.124 「犬神家の一族」 (2006年 日本 135分 ビスタ)

2006-12-18 01:21:55 | 2006年劇場鑑賞
監督 市川崑
出演 石坂浩二
    松嶋菜々子
    富司純子



30年前に角川春樹事務所第1回作品として公開された「犬神家の一族」。
横溝正史の文庫が当時ベストセラーとなり、映画&小説で一大横溝ブームが到来しました。
1976年当時は何気に映画ファンだった小学5年生の私は、大阪の難波に住んでいて自宅から少しいくと大阪ミナミの大盛り場だった。
期間限定で越境通学だった当時の私は近所には友達がいなく、独りで毎日のように高島屋なんかの玩具売り場で戦艦や戦闘機のプラモデルを眺めに(ほしいと指をくわえて見てるだけだが・・・)行き、帰りには高島屋の向かえにある南街会館という映画館が5館入ってるビルに寄り、映画の看板やポスター、劇場前に設置されたモニターで次回作などの予告を見て楽しんでいたもんでした。
その南街会館の地下にある「なんば東宝」で上映されていたのが「犬神家の一族」だった。

現在のように入れ替え制や指定席制などは限られた劇場のみあるだけで、ほとんどの劇場は入れ替えなしの自由席でした。
当然ながら{立ち見}という現在では珍しくなりつつある現象が頻繁に起こっておりました。
ある日なんば東宝の前で立ってると、館内は満員らしく立ち見でドアが閉まらないのかして少しドアが半開きになっていたので背伸びして覗くとドアの隙間からスクリーンが見えた!
調度、珠世がボートで遭難するシーンだったんですが、少しだけだったけど徳した気分でしたね~

その後、兄に頼み込んでなんば東宝に連れてってもらいついに「犬神家の一族」を目にする事になりました。
スケキヨの不気味な仮面と形相にビビリ、残酷な殺人シーンに戦慄!加藤武の珍推理に笑ったもんでした・・・しかし何と言っても石坂浩二の金田一耕介が印象深かったですね。
風采の上がらないダサい出で立ちなんだが、それが子供心にかっこよく写りましたよ。

30年の時を越え何故かリメイクとして製作され公開された今回の「犬神家の一族」ですが、監督も同じで金田一も石坂浩二が演じていて、私事ながら見に行った劇場も30年前に旧作の「犬神家の一族」を見たなんば東宝のあった南街会館跡に建ったレジャービルにあるシネコンのTOHOシネマズなんば!
劇場の形こそ違え30年前と同じ場所で見たので感慨深いものが少しありましたね。

(あらすじ)

信州の犬神財閥の創始者である犬神佐兵衛(仲代達矢)は、腹違いの3人の娘とその息子たち、佐兵衛の大恩人の孫娘、野々宮珠世(松嶋菜々子)らを残してこの世を去る。巨額の遺産が一族の争いの元凶となることを予期した法律事務所の若林は金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼するが、ほどなく一族間で次々と殺人事件が発生する。

今回リメイク作の前にオリジナル版をDVDで見て改めて作品の完成度の高さに感動したもんでしたが、今回のリメイク版は旧作の脚本をなぞったような感じで展開やセリフも場面の構図やカット割もほとんど旧作と同じで、予想はしてたけど「やはりそうだったか・・・」て感じで旧作をリアルタイムで知るものとしては複雑ですね。
カス・ヴァン・サント監督のリメイク版「サイコ」もほとんど同じ展開やカット割で作られたヒッチコックの模倣作品だったが、今回も監督自らが旧作を模倣したかのような感じだった。

旧作のような重厚な雰囲気は感じられず、少し軽~い感じになったよう思いますね。
同じオールスターキャストでも旧作の方が役者的には上のような気がしますし、さすが石坂金田一も前のようなハツラツとした感じはなく、年齢的な事もあるんだろうけどイマイチ元気が無いように思えた。
御馴染みの走ったりする場面や身のこなし方などの動きが何となく鈍ってるような気がするのは仕方ないかな?

警察署長の加藤武も髪の毛を黒く染め、眉毛を書いて再登板していたが、御馴染みの決めセリフ「よし!わかった」も旧作当時や以後のシリーズは館内爆笑だったが、今回は静かなモンでしたわ~
「ここで笑わな~」と思っても観客無反応でしたね(寂しい)
血マナくさい話だけにこのシリーズは結構笑わせる場面も多いんですが、ギャグも旧作当時のままで客席は無反応でした。

ヒロインの野々宮珠世役の松嶋菜々子も旧作の島田陽子さんの方は断然いい!
この役をするにはもう少し若い女優を探した方がよかったかな?
松嶋菜々子ではチョイ歳が行き過ぎてるかな~ やはり野々村珠世は島田陽子でないとね・・・

旧作を知らない新しい観客にはどう映るのかな?
旧作を知るものとしては、前と同じのを作ってもなぁ~と言う気もするし、逆に全然イメージの違うものが出来上がっても嫌やしな~と思いますけどね。

そっくりそのままリメイクはまるで芝居の再演を見てる感覚に陥りましたよ・・・でもエピローグだけは旧作と違いましたね。
これも個人的には旧作の方が好きだけど、より金田一耕介を神格化したような感じで旧作以上に金田一の存在にこだわりを持ち、あくまで金田一が主人公・・・て言う思いを感じますね。
市川崑監督は「金田一耕介は天使のような存在」と以前から言ってるように、まさにそれにこだわったようなラストでしたね~
いずれにしても・・・今作が大ヒットしても、もうリメイクしないでね~ もうええで・・・



★★★ 2006.12.17(日) TOHOシネマズなんば スクリーン5 18:00 G-20