MOVIE KINGDOM Ⅱ

映画に関する話題やライブ&イベント、ローカルなグルメ情報など色々話題を広げて行きます
ポイントは★~★★★★★★

No.127  「いのちの食べかた」 (2005年 豪/独 92分 ビスタ)

2007-12-30 03:05:32 | 2007年劇場鑑賞
監督 ニコラウス・ゲイハルター



いよいよ2007年も最後の映画鑑賞となりました。
今年最後に見るのはドキュメンタリー映画「いのちの食べかた」
見る劇場が初めて見にいく十三の第七藝術劇場。
ここは中々個性的な作品を上映している劇場ですが、今までなかなか行く機会がなかったんです。
しかも十三で映画と言えば子供の頃に親に連れていってもらって十三弥生座という名画座で「チャップリンのキッド」「ドラゴンへの道」「デアボリカ」の3本立てを見て以来ですね。
そしてこの作品で久々に足を踏み入れることになりました。
ちなみにここ十三はかのスティーブン・セガールが道場を開いていた土地でもあります。

(あらすじ)

誰もが毎日のように食べている大量の食品は、どのような過程をへて消費者の手に届くのか? 現代人の命を支えながらも、ほとんど知られていない食料生産の現場に密着。
ベルトコンベヤーに注ぎ込まれるヒヨコの群れ、自動車工場のように無駄なく解体される牛など、大規模な機械化により生産・管理された現場の実態が映し出される。

この映画は秋の大阪ヨーロッパ映画祭で1日だけ公開された作品ですが、その頃から興味がありました。
普段当たり前のように食べてる牛肉や豚肉、鳥や魚・・・我々の口に入るまでは生きていたこの生き物がどう言う風に生産され管理されやがて我々のお腹の中に入っていくのか・・・漠然と判ってても実際に現場や実情などはなかなか知ることもない。
そんな心のどこかに持っていた疑問や興味に答えてくれそうな作品だと思いました。

しかしいざ蓋を開けて見るとこの映画はナレーションは一切なし、しかも音楽もなし・・・場面に対して何の説明もない・・・淡々と見せてくれる収穫される果物や野菜、そしてさばかれる豚や牛・・・音楽に替わり聞こえてくるのはその現場の空気の音・・・無機質なまでの解体工場での機械の音や空調の音は下手な音楽よりもより臨場感が見てるものに伝わります。

左右対称なシンメトリーな画角で描かれる映像は実に美しく、また人物を真ん中に配置し、正面から捉えた人物の描写はまさに観客に正面からこの現場に向き合わせてくれてるかのようです。

ピッチングマシンのような機械でポンポンと弾かれていくひよこ、回転するローラーのようなもので機械に取り込まれていくニワトリ・・・事務的に淡々と解体される豚や牛・・・それはもう生き物というよりモノとしての感覚ですね。
見る人が見れば不快に感じるかもしれないけど、でもその作業する人たちに取っては仕事であり、日常当たり前の光景なんですね。
ただその日常の光景を大半の人々は知らないから余計にある意味ショックであり、新鮮でもあります。

見慣れない人からすればある意味衝撃映像だったりするんですね。
ベルトコンベア-で運ばれる豚が機械の中に入るや否や反対からグッタリとして出てくる。
そのまま逆さ釣りにされ機械で腹を裂かれ内蔵が飛び出てくる・・・その後さらに別のセクションでは豚の足を大きなハサミで切り落としていく人がいて、完全に合理的な分業システムに見てて呆気に取られるほど簡単に出際よく作業が進んでいきます。

更に牛の場合は短い棒のようなモノを頭に当てると一撃で牛が崩れ落ちます。
そのまま釣るされ、ナイフで切り込みを入れられるや大量の血と体液が流れ落ちる!
そして機械で皮を巻き取るように剥がされていく・・・音楽もナレーションもない分、ある意味、見る側にいろんなことを考えさせられる。

生き物の命を食べることは自分自身が生きるために必要不可欠なことと言う当たり前に思ってたことを改めて考えさせられますね。
命を頂いて我々は生かされてる(食べられる生き物も何かしらの命を頂いて生きてたんだけどね)という宗教法話を聞いたことがありますが、この作品はそこまで崇高なことさえも感じてしまいます。
“食”の安全が何かと議論された今年にタイムリーな公開となりましたが、そんな今だからこそ見ておきたい作品です。

映画終って劇場の外に出ると目の前に吉野家が・・・松屋が、マクドが・・・命の加工品が今日も当たり前のようにあります。
これが現実だし、また必要なものなんですね~そんなことを再認識させてくれる良質なドキュメンタリー映画でした。



☆☆☆☆ 2007.12.29(土) 第七藝術劇場 10:30 4列目 左端

No.126 「アイ・アム・レジェンド」 (2007年 米 100分 シネスコ)

2007-12-29 08:57:11 | 2007年劇場鑑賞
監督 フランシス・ローレンス
出演 ウィル・スミス
    アリシー・ブラガ
    ダッシュ・ミホク



年末休暇の映画鑑賞2本目はこの正月映画の中でも期待度の高い「アイ・アム・レジェンド」!
ウィル・スミス主演ですが、この方「幸せのちから」のような作品も出てるかと思うと「メン・イン・ブラック」で宇宙人と戦ったり、「アイ、ロボット」ではロボットを追いついめる刑事だったり、または「バッドボーイズ」ではハチャメチャな刑事だったり・・・とにかく派手な映画が多いですね~

そして今回の作品では地球に生き残った最後の男として孤独と戦いながら、何とか人類を救をうとする主人公を演じてますが、当然派手にドンパチやらかしてくれます・・・今度の相手はゾンビ!?

(あらすじ)

2012年、人類が死滅してしまった地球でたった1人、有能な科学者のロバート・ネビル(ウィル・スミス)だけが生き残る。
彼は究極の孤独と闘いながら愛犬サムとともに3年間もの間、ほかの生存者の存在を信じて無線で交信を続け、人類再生の道を探ってきたが、彼に謎の敵が迫っていた。

有名な原作が元となり過去にビンセント・プライズ主演で「地球最後の男」として映画化され、さらに70年代にはチャ-ルトン・ヘストン主演で「地球最後の男 オメガマン」として2度目の映画化をされました。
原作を読んでないので比べることは出来ないですが、SF映画というよりホラー映画風だった「地球最後の男」のような雰囲気とも違うし、小気味いいアクション映画になってたチャ-ルトン・ヘストン主演の「地球最後の男 オメガマン」ともまた雰囲気が違いますね。

人間は主人公独りだが、ライオンやカモシカなど動物はかろうじて生き残ってるようで、オープニングのシーンで銃を片手にカモシカの群れを廃墟となったニューヨークの街を追いかける場面はまるで猛獣がカモシカを追うような感じでしたね。
無人のビデオレンタル店でマネキン人形相手に挨拶したり、声をかけて世間話をしたりするシーンは旧作でも出てきたけど、主人公の孤独感がよく表現されたシーンですね。

また襲いかかってくる感染者達は人間離れした怪物と化してますが、過去2作は言葉を話し、一定の知能も残ってたたりして、特に「地球最後の男 オメガマン」では怪物というより“感染者”としての悲しみなどが色濃く出ていました。
しかしこちらの作品では感染者なんだけど、言葉を話すこともなく悪役としての怪物的な扱いで、その辺は過去2作の方がよく出来てたかな?

前半から中盤まではゆっくりとしたテンポで、後半は一気にテンポも変わってアクションホラー風の展開になっていきますが、題名の“レジェンド”感は「地球最後の男 オメガマン」の方がありますね。
やはりこの辺は襲い掛かってくる感染者たち側にもスポットを当てた「地球最後の男 オメガマン」と感染者というより怪物という悪役的な扱いとしてか描かれていない今回の作品の方が意味合い的には弱いですね。
たしかに進化した技術で感染犬やスピーディに動く感染者などの描写は前2作よりは格段に迫力はありますが・・・



☆☆☆ 2007.12.28(金) アポロシネマ8 スクリーン1 20:45 K-5

No.125 「ベオウルフ/呪われし勇者」 (2007年 米 114分 シネスコ )

2007-12-29 00:49:31 | 2007年劇場鑑賞
監督 ロバート・ゼメキス
出演 レイ・ウィンストン
    アンソニー・ホプキンス
    アンジェリーナ・ジョリー



いよいよ今年もカウントダウンに入りました。
毎年思いますがクリスマスが終ると年明けるのが早いですね~
一足早く年末休みの初日に見に行った作品が「べオウルフ」と言う映画。
早々と公開が始まってたのに中々見に行けなかったですが、何となく年明けると早々に終わりそうなので慌てて年内の鑑賞です。

ベオウルフと言うタイトルを聞いた時は随分前に天六ユウラク座で見たクリストファー・ランバート主演の「ベオウルフ」と言う映画を思い出しますしたが、あれは天六の映画にしては意外と面白かった・・・と思ったら同じストーリーの映画なんですね。
クリストファー・ランバート版は全然B級映画でしたが今回は監督がロバートゼメキスで、しかもほぼフルCGでの贅沢な映像。
とにかくどこまで実写でどこまでCGなのかよくわからない。
「300」でも筋骨隆々のマッチョ軍団をCGで描いてたけどこの映画はまるで役者の顔までCGで書かれてるん違うん?と言う程まるでアニメ見たいな映像ですね。

(あらすじ)

伝説的な英雄たちの時代。
気高き最高の戦士べオウルフ(レイ・ウィンストン)は、町を襲う忌まわしき“悪魔”、グレンデル(クリスピン・グローバー)を撃退。
そのため、冷酷で魅惑的なグレンデルの母親(アンジェリーナ・ジョリー)の怒りを買い、壮絶な戦いを繰り広げることになる。

怪物グレンデルに悩まされる王国に現れた戦士べオウルフ。
巨大怪物との対決は大スクリーンならではの迫力ですが、今更特に驚く場面は無し。
それよりも普通のシーンでのCGがどうしてもアニメ見たいで違和感あり!
パフォーマンス・キャプチャーという技術のようですが、まぁ神話のような世界の物語だから良しとしましょうか・・・アンジェリーナ・ジョリーなど顔しか出演してないがな(笑)

神話のような世界だが、色と欲望に眩んで悪魔と契約を交わして得た地位の代償がとんでもない形で払わされる。
しかしそれに向き合い自ら落とし前をつける勇者の姿にアニメ見たいな映像ながら人間味を感じさせる。

あまり多大な期待していなかった事もありソコソコ楽しめましたですね。
でも今後こんな映像はますます増えてくるんでしょうな~
ま、作品の内容とその技術が合ってればいいですけどね~



☆☆☆ 2007.12.27(木) アポロシネマ8 スクリーン2 18:40 L-5





   

No.124 「エンドゲーム 大統領最期の日」 (2006年 米 96分 ビスタ)

2007-12-25 00:50:36 | 2007年劇場鑑賞
監督 アンディ・チェン
出演 キューバ・グッディング・Jr
    ジェームズ・ウッズ
    アンジー・ハーモン



今年最後の天六シネ5ビルでの鑑賞です・・・多分
「ホステル」や「シーノー・イ-ブル 肉鉤のいけにえ」と言ったホラー映画の佳作からスタートしたけど、春頃は少しご無沙汰になったりして「今年は天六は見にいく映画がないなぁ~」と思ったけどスティーブン・セガールのズッコケ映画祭で見事盛り上げてくれました。

そんな天六シネ5ビルのメイン館であるユウラク座でのお正月番組がこの「エンドゲーム 大統領最期の日」です。
主演がオスカー俳優とはいえキューバ・グッディング・Jrと地味なとこが天六らしくていいがな。

(あらすじ)

シークレット・サービスのアレックス(キューバ・グッディング・Jr)の目前で、式典に出席した米国大統領が凶弾に倒れる。
狙撃者はその場で射殺され、大統領夫人(アン・アーチャー)はすぐに避難して無事だったが、大統領は間もなく息を引き取る。
事件後アレックスは休職し、大統領を守りきれなかったという自責の念にとらわれていた。

冒頭から大統領暗殺というシーンからスタートとなるこの作品。
一言で言えば“天六らしからぬ”という感じの作品で、先日までここで上映されてたズッコケおやじの映画祭で公開されたどの作品よりもテンポも良く、見るものを画面に惹きつけてくれます。

キューバ・グッディング・Jr扮するシークレットサービスのアレックスは超人的なスーパーマンではないし、「ボディガード」のケビンコスナーのようなカリスマ性がある訳でもなく、ごく普通のシークレットサービス。
大統領を守れず失意のどん底にいるそんな彼に次々と謎の組織の魔の手が伸びる・・・
爆弾で吹っ飛ばされたり銃撃を受けたり、かと思えば派手にカーアクションを展開し、やがて事態は思わぬ方向へ!そしてアッと驚く結末へ・・・ってまるで「24」のようなスピーディな展開(勿論24時間では解決しません)に96分間一気に見せてくれます。

また役者もジェームズ・ウッズ、バート・レイノルズ、アン・アーチゃーとこれまた天六らしからぬ俳優陣で、特にジェームズ・ウッズとバート・レイノルズが出て来ただけで怪しさが充満しますね。

それにしてもバート・レイノルズの今回の顔が・・・頭はヅラっぽいし、顔のメイクも何か絵に描いたみたいで不自然な印象だったのは気のせいかな?(顔面崩壊?)
かつてのセックスシンボルも今や寂しい姿に・・・

天六のみでの上映が惜しまれる小気味いいサスペンスアクションの佳作です。



☆☆☆ 2007.12.22(土) 天六ユウラク座 0:25 中央通路前

No.123 「ディスタービア」 (2007年 米 104分 ビスタ)

2007-12-24 00:34:12 | 2007年劇場鑑賞
監督 D・J・カルーソー
出演 シャイア・ラブーフ
    キャリー=アン・モス
    デヴィッド・モース



久々に天王寺アポロで映画鑑賞した後は本日の二本目の作品を見るために場所の移動・・・次の劇場がこの時間には珍しく天六シネ5ビル!
たいていここには深夜見に行くことが多いんですが他の映画との兼ね合いからここで「ディスタービア」を鑑賞するんですが19時と言う早い時間はどんな客層かな?
いつもなら居眠り客に囲まれての深夜鑑賞だが・・・

ホクテン座2に着くや否や観客がさすが普通に見に来てる人ばかりですね~中には女性同士で来られてる方もいらっしいます。
当たり前と言えば当たり前だが いつも寝てるオッサンばかりの館内に見慣れてるせいもあって新鮮な感じですな。
上映もほぼ定刻通りの二分遅れでスタート!さすが日中はキッチリしてるね。

この「ディスタービア」は先日までロードショー系のシネコンなどで公開されてたんですが中々タイミングが合わず鑑賞を諦めてただけに、場所が変わりホクテン座での続映は有り難いです。

(あらすじ)

交通事故で父親を亡くしたケール(シャイア・ラブーフ)は自分を見失い、学校で教師を殴り3か月の自宅軟禁処分を受ける。
時間を持て余した彼は、退屈しのぎに近所ののぞき見を開始。
彼の親友のロニー(アーロン・ヨー)と、隣に引っ越してきたアシュリー(サラ・ローマー)も巻き込み、3人はスパイ活動に熱中していく・・・

この作品を見て連想するのがヒッチコックの「裏窓」ですね。
ブライアン・デ・パルマ監督の「ボディ・ダブル」に代表されるようによく扱われるネタですが、そのへんを結構期待して見たんですが前フリがチト長すぎたかな~?
「裏窓」デイストなドキドキハラハラ感は後半にあるけど少し物足りなかったように思います。
でも足に付けられた監視用のセンサーが実に効果的に活用されてたのは良かったですね。
そのセンサーにより限られた行動範囲でボンクラ同級生と隣の美少女ともども向えのサイコ犯をパソコンや携帯電話でスパイしていくのはまさに現代風「裏窓」ではあります。

キャリー=アン・モスが出てますが、またまた母親役・・・「ゾンビーノ」でも母親役でしたね~ 「マトリックス」のトリニティも落ち着いたもんだ・・・
デヴィッド・モースごとき鶴の拳の一撃で倒してもよさそうなもんだがね(笑)



☆☆☆ 2007.12.20(木) ホクテンザ2 19:00 最後列中央





No.122 「椿三十郎」 (2007年 日本 119分)

2007-12-22 00:56:22 | 2007年劇場鑑賞
監督 森田芳光
出演 織田裕二
    豊川悦司
    松山ケンイチ



いよいよ2008年の正月映画を鑑賞しはじめるんですが、今年は超目玉作品というのが無いように思いますがね。
久々の地元阿倍野での映画鑑賞・・・アポロシネマ8もしばらくご無沙汰でしたね。
危うく会員カードの期限が切れるとこでしたわ~
ここで今日見る映画が「椿三十郎」 またまた角川春樹が製作総指揮を取り、監督が森田芳光で主演が織田裕二・・・そしてオリジナルは黒澤明監督の傑作時代劇!
正直製作のニュースを知った時「カンベンしろよ~」と思ってしまった。
黒澤作品の中でも1番好きな作品だけに余計なリメイクなどしてほしくなかったのです。そしてその完成したリメイク版「椿三十郎」を見るときが・・・

(あらすじ)

とある社殿の中で井坂伊織(松山ケンイチ)をはじめ、9人の若侍たちが上役である次席家老黒藤(小林稔侍)らの汚職について密談していると、椿三十郎(織田裕二)という浪人が現れる。
密談を盗み聞きしていた三十郎は陰謀の黒幕を見抜き、室戸半兵衛(豊川悦司)率いる悪者の手先から若侍たちを逃がす。

当時の脚本をそのまま使ったそうですが、たしかにオリジナル版とまったくと言っていいほど展開がそのままです。
カス・ヴァン・サント監督版「サイコ」ほどではないにしても、あまりにもそのまんま過ぎてオリジナルを知ってるだけに不満もなければ喜びもない感じですね。
元々この作品(オリジナル版)はストーリーとしては良く出来てるし、セリフなども面白くてドンドン映画に引き込まれていきます。
はじめてみた時はさすが世界に誇る名匠黒澤明・・・とおもったもんすね。

まず織田裕二扮する三十郎ですが、これまたオリジナルの三船敏郎の物まねを見るかのような芝居で、セルフ回しなど結構三船敏郎を意識してる感じですね。
三十郎の豪傑な感じを出そうと思うとあんな感じになってしまうのかも知れないけど、もう少し織田裕二らしさのような物があっても良かったんではないでしょうか?

また仲代達也がかつて演じた室戸半兵衛をトヨエツが演じているけど、眼光鋭い剣豪って感じだった仲代達也と比べるとトヨエツ半兵衛は軽々しい感じでイマイチですね。

意外と良かったのが松山ケンイチ率いる若侍たちで、若手俳優を起用してるけど中々良い味があったと思います。(オリジナルは加山雄三とか田中邦衛が出てたな)
それと中村玉緒扮する奥方さまもオリジナルの入り江たか子に引けをとらないオトボケぶりで、さすが中村玉緒のユニークなキャラを生かしたキャスティングですね。

そして「椿三十郎」といえば何と言ってもラストの決闘シーンですね。
今回はあの血飛沫が飛ぶ出すのは、このご時世ではR指定が確実になってしまうので。変更されたようです。
でもあの一瞬で決まる瞬殺こそ、真の決闘と言える名場面がよりによって変更されたのは残念かも知れないけど、考えようによってはあれこそオリジナル版でしか出来ない門外不出の名場面かもしれないですね・・・そう考えると織田三十郎とトヨエツ半兵衛にやらせなくてよかったな。
また冒頭の三十郎と若侍らが出会う寺のシーンではオリジナル版ではシネマスコープの横に広い画面サイズを実に有効に使ってたのが印象的で、三十郎と9人の侍たちがシネスコ画面に見事1:9で配置されて収まってたけど、今回は特に印象はなし・・・これも黒澤版オリジナルならではと言った感じですかね。

ほぼ完璧にオリジナル版にそった展開だから面白い映画だと思いますが、それはこの織田裕二版「椿三十郎」が面白いのでなく黒澤版の「椿三十郎」が面白いんですね。
ホント少しはオリジナリティなものもあれば良かったと思いましたよ。
まんまリメイクするんなら、オリジナルが燦然と輝く日本映画の名作としてあるんだから、最初から作る必要は無いと思うけどなぁ~?

聞くところによると黒澤明監督の息子である黒澤久雄氏は相当リメイク件を売りたがってるらしい・・・



☆☆☆ 2007.12.20(木) アポロシネマ8 スクリーン6 15:55 E-4

No.121 「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 (2007年 日本 146分 シネスコ)

2007-12-18 00:45:57 | 2007年劇場鑑賞
監督 山崎貴
出演 吉岡秀隆
    堤真一
    小雪



本日二本目の作品はこれまた邦画「「ALWAYS 続 三丁目の夕日」
前作はその懐かしい風情についつい涙腺が刺激され堂々のベストテン入りでしたが、まぁ今回は泣く事はないでしょう。

(あらすじ)

昭和34年、東京オリンピックの開催が決定し、日本では高度経済成長期が始まろうとしていた。
黙って去ったヒロミ(小雪)を思い続けながら淳之介(須賀健太)と暮らす茶川(吉岡秀隆)のもとに、実父が再び淳之介を連れ戻しに来た。

開巻早々に出てくるTOHOスコープの文字・・・これまた前作同様ですね。
何とゴジラが東京タワーを破壊するシーンから始まります!せっかく前作のラストで完成したのに・・・でもこのシーン本家のゴジラよりよく出来てたりする(笑)

今回は吉岡秀隆演じる茶川竜之介が芥川賞を目指す物語を主軸に三丁目界隈の主要メンバーたちの細かいエピソードをちりばめた構成です。

鈴木家が破産した親戚の女の子を預かりちょっとしたイザコザがあったり、堀北真希演じる六ちゃんの同郷の青年とのエピソードや、何と薬師丸ひろ子扮するお母さんの初恋の人との再会などなどそれぞれに見せ場があります。

特に前作でも後半登場した小日向文世扮する淳之介の実父が淳之介を引き取ろうとするのを阻止するために竜之介が芥川賞を目指す本筋は今回の映画での見所で、貧困ながらも実父以上の愛情で育てようとするが、裕福な生活で成功者である実父は恵まれた環境で自分の後継者を育てようとする・・・そんな2人の対照的な姿は当時の変わり行く日本を象徴してるかのようです。
小日向文世は一見悪役扱い的だけど、彼らの言い分も間違ってる訳ではないんだけどね・・・

嫌みな実父の小日向文世が高度成長して行く日本と日本人の象徴的なキャラのようなイメージを持ってしまいます。
対象的に三丁目の面々はまだ人の情や義理を重んじる人々・・・それを古い人とは言わないが、急激に高度成長して行く日本をこの小日向文世と三丁目の住人との関係に感じとれる気がしました。

それとこの作品はやはりCGふんだんに使った昭和の町並が一つの見所で、今回は後ろの背景の通行人もCG合成のようで(多分) 映画館から出て来る人波や東京タワー内のシーンなど実際の俳優との合成がハッキリ判るものの、よく出来てると思います。
ちなみに堀北真希たちが映画館で見るのが日活映画「嵐を呼ぶ男」・・・東宝映画じゃないんやね。
この時代は東宝映画よりやっぱり石原裕次郎何やね~ 敢えて無理矢理東宝映画にしなかったのはリアルでよかったね。

全体的に昔懐かしいホームドラマ見てるようで そういえば昔テレビではこんなドラマが多かったですね そんな懐かしさも込み上げてきました。



☆☆☆☆ 2007.12.13(木) 布施ラインシネマ10 北館 シネマ7 19:30 H-3

   

No.120 「ミッドナイト イーグル」 (2007年 日本 131分 シネスコ)

2007-12-17 01:13:41 | 2007年劇場鑑賞
監督 小林武史
出演 大沢たかお
    竹内結子
    玉木宏



ここしばらくブログも放置気味でしたね。
忘年会続きで、作品は見てるんですが書く間がなくて・・・
なんとか落ち着いて来たんでそろそろと更新しょうと思いますが。

シネコンのいいところそれぞれ独自のサービスディやキャンペーンが定期的にあったりする所ですね。
今日鑑賞する布施ラインシネマ10は10周年記念キャンペーンと言うことで今週一杯は会員はダブルポイントサービスデーでしかもこの日は誰でも1000円で見れるスペシャルデー! いい日に休日が当たったもんだ。
今日二本見るからスタンプを四個押して貰うことになります。

さて本日の最初の作品は「ミッドナイトイーグル」と言う日本映画が今だ1番苦手なスケールの大きいパニックサスペンス!

(あらすじ)

ある晩、米軍の戦略爆撃機“ミッドナイトイーグル”が、北アルプスの上空で消息を絶った。
そのころ、ちょうど北アルプスで撮影をしていた元戦場カメラマンの西崎(大沢たかお)は、偶然にも墜落する赤い光を撮影する。
西崎と新聞記者の落合(玉木宏)は北アルプスへと向かうが、2人がそこで見たものは真っ白に武装した自衛隊の行軍だった。

冒頭からトントン拍子にことが運んでいって快調なテンポで見せてくれるんですが、あまりにも猛吹雪の雪山の割には苦難な感じが感じられずあっさりした感じですね。
映画は雪山での西崎と落合の行動と政府の対策本部の描写、そして竹内結子扮する新聞記者有沢たちの無茶な行動と大まかにこの三ヵ所が同時進行で描かれていきますが、何かイマイチ緊迫感が感じられないように思います。

雪山でのアクションといっても、銃撃戦があるくらいで大半は雪の中で墜落したステルス戦闘機を探しに右往左往するシーンに費やされてますし、政府の対策本部でも藤竜也扮する総理大臣は刻々と事態が深刻になるにつれ苦虫をつぶした顔で苦悩するだけ・・・(でも苦渋の決断に迫られた時に子供に「おっちゃんの顔よう覚えときや・・・」て大阪弁で言うシーンはお堅い総理大臣の中での人間味が感じられます)竹内結子扮する新聞記者は事件の鍵を握る瀕死の工作員カップルを匿い派手にドンパチやらかす・・・何故か竹内結子のシーンが一番動きが派手だったりする。

やはり日本映画ではまだまだこう言う作品は何か中途半端な感じで、派手なアクションやスペクタクルを見せるか、あるいはドラマ的な部分を強調するかによって印象は変わると思いますがどうしても前者ではややまだ物足りない部分があるのは致し方ないのかな~?

そうそう編集長役の石黒賢の妙なテンションの芝居は浮いてました・・・



☆☆☆ 2007.12.13(木) 布施ラインシネマ10 北館 シネマ2 16:30 K-6



No.119 「ロンリーハート」 (2006年 米 107分 シネスコ)

2007-12-11 01:01:16 | 2007年劇場鑑賞
監督 トッド・ロビンソン
出演 ジョン・トラヴォルタ
    ジェームズ・ガンドルフィーニ
    ジャレッド・レト



本日初日であるこの「ロンリーハート」をホクテン座1にて鑑賞。
ここ天六シネ5ビルで公開される映画にしては割りと豪華キャストの作品ですが、こういうシリアスな普通(?) の映画からいかにもB級な作品までなかなか幅の広いラインアップがここの特長の一つでもあります。
しかし今日は異臭がヒドイなぁ・・・

「ヘアスプレー」で見事なまでの女装&巨漢メイクで華麗なダンスまで披露してくれたジョン・トラヴォルタが180度イメージを変えた役柄で挑む実録サスペンス。
今年公開されたデビッド・フィンチャー監督の「ゾディアック」同様、実際アメリカで起こった連続殺人をドキュメンタリータッチで描いた作品なんですが、監督のマニアックなこだわりを感じた「ゾディアック」とはまた違い、こちらは監督のトッド・ロビンソン が実際の事件を担当したジョン・トラヴォルタ演じるロビンソン刑事の孫にあたるという事で身内ならでは(?)のリアリズムで迫る作品。

(あらすじ)

1951年3月8日。ニューヨークのシンシン刑務所で、アメリカを震撼(しんかん)させた凶悪な殺人犯、レイモンド・フェルナンデス(ジャレッド・レト)とその恋人マーサ・ベック(サルマ・ハエック)の死刑が執行されようとしていた。
しかし、彼らを逮捕した張本人であるエルマー・C・ロビンソン刑事(ジョン・トラヴォルタ)は、浮かない顔で執行を見つめていた。

死刑執行のシーンから始まり、過去にフラッシュバックしていく手法で描かれていくのですが、事件そのもを淡々と追うのでなく、殺人犯である2人組カップル、レイモンドとマーザの行動とそれを執念で追うロビンソン刑事の姿を相棒のチャールズ刑事のナレーションを時折挿入する事により観客を第3者的な立場から映画の中に入っていけるようになっています。

それでも大きな派手な見せ場は皆無で、映画としてはこれと言った盛り上がりどころはありません。
でもそれがかえって実録物のドラマらしい雰囲気が出ていますね。
それに「ヘアスプレー」のジョン・トラヴォルタとは打って変わっての演技が印象的で、派手さはないけど渋い雰囲気が良かったですね。

また相棒役でドラマの狂言回し的立場であるジェームズ・ガンドルフィーニがいつもの悪役とは違い、今回はエエ人の役で登場して良い味を出しています(でも相変わらずの悪党ヅラは健在!)

そして犯人である殺人カップルを演じるジャレッド・レトとサルマ・ハエックですが、実際の犯人はハゲ男とデブ女・・・そういう意味ではジャレッド・レトとサルマ・ハエックは全然イメージが異なってしまいますね。
ジャレッド・レトなどは地毛を抜いてまで実際の殺人鬼を演じてますが、それでも美男美女である事には変わりないですね・・・
この犯人像が実際同様の風貌に描かれてたならコンプレックスからくる殺意の一旦が垣間見れたかも知れずやや残念でした。

ま、いずれにしても出会い系は今も昔もコワイ、コワイ・・・



☆☆☆ 2007.12.8(土) ホクテン座1 23:30 3列目中央

No.118 「SAW4」 (2007年 米 93分 ビスタ)

2007-12-08 01:34:21 | 2007年劇場鑑賞
監督 ダーレン・リン・バウズマン
出演 トビン・ベル
    ベッツィ・ラッセル
    コスタス・マンディロア



秋と言えばここ数年は「ソウ」の季節ですね。
日米ほぼ同時公開のせいもあるんでしょうが、段々と風物詩見たいになってきました。
でもこれだけの人気シリーズながら公開する劇場は相変わらず少ないんですよね~
今回の「ソウ4」も大阪市内でも数館のみの上映です。

公開から一ヶ月近く経つのでスクリーンもやや小振りな所でやってます。平日ながらそこそこ入ってます。
若いカップルが目立ちますね。今日は前作の後半を自宅で見てきたんで予習もバッチリです。

(あらすじ)

ジグソウ(トビン・ベル)と弟子のアマンダが死に、ホフマン刑事(コスタス・マンディロア)はジグソウ最後のゲーム現場でパズルを解こうと必死になっていた。
そのころ、ジグソウにかかわり唯一生き残ったSWATのリグス指揮官(リリク・ベント)が、新たなゲームに強制参加させられ、90分以内にわなをクリアしなければ旧友の命はないと告げられる。

前作でジグソウが死に、実質実行犯でもあったアマンダも死んでしまった。
この4作目はいったい誰が変わりをするのか?
まずはこの部分がこの映画を鑑賞する前の焦点でした。
しかし始まりと同時に出て来たシーンがジグソウの遺体解剖のシーン!
とりあえずこの時点でジグソウは生きていた・・・的な展開がまず無くなりました。
観客に新たなニュービギニングにシリーズは突入していくのを暗示してるかのようですね。(またジグソウの死顔のむくんだ感じがいかにも遺体って感じなんですね)

でもこの解剖シーンのりアルなまでのゴア描写は前作の脳外科手術のシーンを上回るほどのショッキングな場面ではありますね。
見ていた気持ちいいぐらいの手際良さで身体を解体していく場面が執拗に淡々と見せてくれるんですが、何故にそこまでジグソウの解剖を見せるかと言うとこの場面こそ、この4作目の大きな起点となる場面だったりします。

細かく書くとネタバレになるんで詳細は書けないんですが、「SAW3」でジグソウやアマンダが死んだ後のこの「SAW4」はどういう展開になるのか?また誰がこの殺人ゲームを引き継ぐのか?そんな疑問を早いカット割や絶妙な場面転換と巧みな編集により見事に観客を混乱させて行く手法はなかなか見事でしたね。
また過去のシリーズと微妙かつ重大な部分で繋がってるので、この映画からSAWシリーズを見た人は何のこっちゃさっぱり判らんでしょうな~

残酷シーンは「SAW2」「SAW3」あたりと比べると冒頭の解剖シーン以外は大人しいめでしたね。
その分この映画は前作もそうだったけどジグソウの過去に触れていきます。
彼の悲しい過去が少しづつ明かされていくに従い、この殺人鬼も元々はごく普通の男だったんやね~と思ってしまいましたね。

次は当然5作目はあるんでしょうが、シリーズも5作目もなると作品の質が相当に低下してもおかしくないハズですね。(4作目でも大抵はもうアカンけど、今回は堪えましたね)
ストーリー的にも次作あたりが正念場となると思うので、来年の秋(?)に新たな展開となる予感の「SAW5」に注目したいと思います(個人的には質が低下してシリーズを終えるよりは高い水準をまだ保ってるうちにシリーズを終えて欲しいと思うのだが・・・)



☆☆☆☆ 2007.12.6(木) なんばTOHOシネマズ スクリーン3 17:15 C-2