ビュッシの『彼女のいない飛行機』を読みました。
イスタンブール発パロ行きのトルコ航空機がフランスの山中に墜落しました。乗員乗客は全員死亡かと思われた現場で3ヶ月の赤ちゃんが奇跡的に救出されました。名簿には2人の赤ちゃんが記載されていました。DNA鑑定が無かった時代、血液型も同じ2人の赤ちゃんの家族は自分の家の子だと主張し、裁判で争われました。
小説は、この子の調査を依頼された私立探偵のノートを、それを手に入れた赤ちゃんの兄マルクが読んでいくという展開で描かれて行きます。当人である赤ちゃんリリーは18歳の誕生日にマルクの前から姿を消してしまいます。マルクはリリーを探しながらも、このノートを読んで手がかりを見つけようと駆け回ります。
リリーが何者であるかが、この小説の最大の謎です。いわゆる普通のミステリーとは違った手法で話が展開して行きます。最後の謎解き部分はいささか唐突な印象もありますが、グイグイ引っ張って行かれます。読んでいて2回電車を乗り過ごしそうになりました。傑作です。
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