黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『煙とサクランボ』松尾由美(光文社)

2011-12-14 | 読了本(小説、エッセイ等)
ひょんなことから言葉を交わすようになった、自称早期退職者の紳士・炭津と、榛名ルナという名で漫画家をしている会社員・立石晴奈。ふたりは、炭津が馴染みにしている小さなバーで、たびたび語らうように。
しかし炭津は実は幽霊。十四年前に交通事故に遭い、亡くなっているのだが、この世に心残りがあり、留まっている。店のバーテンダーの柳井は、幽霊と出会った場合、それと見抜く能力を持つ人物で、ある事件をきっかけに炭津と知り合ったのだった。
晴奈には長年抱き続けている謎があった。幼い頃、北海道に住んでいた彼女の自宅が、一家が旅行に出かけている間に、何者かに放火されたのだが、その現場から見知らぬ女性が写った写真が見つかったのだという。
柳井の勧めにより、その一件を炭津に相談することにしたのだが……

兼業漫画家の女の子と、幽霊(見た目50代半ばのおじさん)、そしてバーデンダーが織り成すちょっと切ない、ファンタジックなミステリ。
この作品内では、死者と面識がないか、その人物が死んでいるという事実を知らなければ見えるし、言葉も交わせる…行動には制限あるけれど…という設定(柳井のみ例外で、相手が死者だと認識していても、見えるし相手も消えない)。
ある程度、途中で火事の謎についてはわかってしまうのですが、それでもやはり、物語設定が絶妙。

<11/12/13,14>