黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『夏燕ノ道 居眠り磐音 江戸双紙』佐伯泰英(双葉社)

2010-08-12 | 読了本(小説、エッセイ等)
安永五年卯月十三日、十代将軍家治は、江戸城を出立して日光社参に向かうことに。坂崎磐音は便宜上、勘定奉行太田播磨守正房の家来として、ついて行くことになり、それに先立ち各方面に挨拶まわり。
金兵衛からはおこんの新たな見合い話を聞かされる。しかしおこんがそれに対してどのような剣突を食らわすか、彼のその後の消沈を今から気にする磐音。
今津屋に出かけた磐音は、彼らが江戸から発った後、店の警備が手薄になるのではないかと心配。いつもの品川柳次郎と竹村武左衛門の他に、佐々木道場の面々の手を借りては、と提案する。さらにその話をしに道場へ出かけた磐音は、速水左近からこの度の社参に於いて、御側衆の最側近として随身方に抜擢されたと聞く。
そんな慌しい中、今津屋で四方山話をしていると、旗本森川安左衛門が現れ、十五になる娘お満喜を形に、日光随行の金子五百両を貸せと強談判にやって来て……“第一章 卯月の風”、
家治の江戸出立を二日後に控え、今津屋の警護の準備に追われる磐音。
他藩から日光社参の供の話をすでに受けてしまっていた武左衛門が、そちらを放り出してやってきた。今津屋警護の話を聞き、仕事を乗り換えるつもりでやってきたが、磐音らに説得されてあきらめる。
慌しい中、佐々木玲圓より呼び出しがかかり、道場に出かけると速水がいた。過日話しあったことが当たったという速水。そして玲圓はその夜、道場から消えた。
そして先遣隊が出立。今津屋の奉公人・新三郎とともに見送った磐音は、その帰りに、神田明神に社参の無事を祈願しようと立ち寄ると、そこにはかつて売られて転々とする奈緒を追った折に、道中を共にした越中富山の薬売り・弥助が、追手に襲われている場面に遭遇、彼を助ける。どうやら彼は御庭番であるらしい。
そんな弥助に、将軍の世子のことで力を貸して欲しいと頼む磐音……“第二章 出立前夜”、
そして四月十三日当日。家治が日光社参に出立した。そこには世子である大納言家基を密かに同道させていた。玲圓や弥助が秘密裏に動いていたのは、家基を守る為だった。帯同させた理由は、家治が側で将軍としての帝王学を学ばせることを望んだ為と、江戸に残している間に、聡明な家基の存在を邪魔に思う、老中田沼意次らに暗殺される危惧もある為だった。
由蔵にはその事実を告げ、家基を守る役目に重点を置くことになった磐音。
そして家基と合流した磐音は、その自然に備わる天下を治める力量に感嘆する……“第三章 若武者と隼”、
古河城下を弥助の案内で進みながら、由蔵の直面する問題を聞く磐音。
どうやら武家方の出納組頭伊沖参左衛門が、熱を出したことを理由に籠っており、手続きが迂遠になり、支払いを受ける武家方は大行列をなしているという。しかし、伊沖の熱は仮病。町方主導で進められることに腹を立てたことから、嫌がらせをしているらしい。磐音は、一芝居打ち、その問題を解決。
一方、道中を共にする中で、家基からさまざまな質問を投げかけられた磐音は、自分が旧藩を離れることになったいきさつを話す。そんな中、思川を通る一行を先導する御鷹匠組頭の野口三郎助老人の放った隼の飛翔に目を奪われ面々。ところが、その隼が何かを見つけて降下して……“第四章 思川の刺客”、
十六日の八つ過ぎに、今市宿の如来寺に到着した家治。
一方、家基の命を狙う下忍集団雑賀衆。その動きを探っていた弥助は、女忍びの霧子に見つかり、彼女を捕らえて戻る。家基の判断で彼女の命は助けることとなり、雑賀衆は家基の命を狙い、決戦を挑んできた……“第五章 女狐おてん”を収録。

シリーズ第十四弾。今津屋の後見として、日光社参に出かける将軍の一行に加わることになった磐音は、結局世継である家基の護衛の一行に加わることになり、その道中のお話。
素直で賢い少年で、将来を期待される家基の反応が好印象でした♪

<10/8/12>