黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『和菓子のアン』坂木司(光文社)

2010-05-01 | 読了本(小説、エッセイ等)
高校卒業後やることが見つからずにいた、太めの体型の女の子・梅本杏子。
百貨店で見かけた和菓子舗・みつ屋の求人を見て、面接を受けてみたところ採用され、働くことに。
一緒に働く人たちは、有能な店長・椿はるか、同い年で先輩アルバイトの桜井、そして職人希望だというイケメン男性社員・立花早太郎。
和菓子の知識や慣れない接客などに戸惑いつつも、がんばる杏子。
そんな中、社用で和菓子を買いに来たらしい女性の、菓子のセレクトに疑問を持ち……『和菓子のアン』、
夏。みつ屋の菓子は七夕を題材としたものに。七月に七夕のお菓子『星合』を買いに来た女性が、旧暦の七夕である八月にも『鵲』を買いに来た。しかし持ち歩きに六時間かかるという彼女の言葉から、飛行機に乗ることを言い当てる椿。
一方、店員たちの中でアイドル的存在である客の老婦人・杉山。彼女が松風を買いにやってきたのだが、何故か椿はそれを止めて……『一年に一度のデート』、
店にヤクザ風の中年男がやってきた。彼の応対に当たった杏子だったが、最中の試食をした彼は“菓子が泣く、売り物にならない”と言いつつ去っていった。その後、再びやって来た彼は、またしても不思議な注文をして……『萩と牡丹』、
十二月。大学のサークル活動やらで忙しい桜井に代わり、杏子が遅番に。これまでとは違う百貨店の様子を知る。
そんな中、同じフロアにある洋菓子店・金の林檎の派遣社員・桂沢が、自分のところのケーキをたくさん箱に詰めているのを見かけ、声をかける。しかし彼女は、自分がそれを欲しいのではなく兄だという……『甘露家』、
正月。店で売っていた正月菓子・辻占(薄いせんべいの中に、くじが入っている)に、白紙が紛れ込み、ひと騒動。
さらにその後、おかしな図形の描かれた紙が入っていたと、女性がやって来た。しかしそれは彼女が買ったものではなく、人からもらったものだという。しかもこの店で買われたものではない様子。
その紙に描かれた図形の意味を考える杏子たちだったが……『辻占の行方』の5編収録の連作短編集。

百貨店内の和菓子屋で働くことなった女の子の遭遇する、日常と謎。
お店の人たちが一癖も二癖もある人たちばかりで楽しいです。そして、とても和菓子が食べたくなること請け合い(笑)。

<10/5/1>