美人だが、口を開けばバリバリの関西弁で口が悪い、母より7つ下の叔母・美知恵は、“天使”だった。
34年前。事情があってしばらく東京に住むことになったという彼女は、住む場所が見つかるまで、“僕”(=司)の家に滞在することに。そんなある日、泣いている僕の妹・千尋をなだめる為、ある“魔法”を見せてくれたのだが……『あした咲く蕾』、
小学生の頃、超能力者だった“私”(=弘美)。
4年前に両親が離婚してから母と二人暮らしだったが、そこへ同じ病院で働く男性・中田を連れてきた。
彼の存在を受け入れることのできない私が、ある日、雨の公園で座っていると、何処からともなくいろんな声が聞こえてきた。しかもそれは何故か寂しいものばかりで……『雨つぶ通信』、
20年ほど前。役者を夢見て劇団に所属していた“俺”が、落ち込んでいる時にたまたま入った、中華料理屋・関々軒。
中華鍋を大きな音で打ち鳴らしてチャーハンを作る、豪快な中国人の女主人・雷麗君は“この鍋で作ったものを食べると元気が出る。元気をあげるチカラがある”と言う……『カンカン軒怪異譚』、
“私”(=リエ)が、ムーミンに出てくるスニフに似た彼・笹本と出会ったのは、小学5年の春。
少しずつ意識し始め、中学3年の運動会をきっかけにとしまえんに出かけ、告白されて付き合い始めた2人は、そのまま、昭和62年の24歳の時に結婚。ところが、私のお腹に赤ちゃんがいる時に、その誕生を楽しみにしていた彼は、交通事故に遭い……『空のひと』、
父が愛人を作って、家を出て行ってから、母は常軌を逸した精神状態に。さらに黙って父や愛人と会ったことがばれ、母から罵られ、“私”は孤独に。さらに友人にも裏切られた私は、暴力で人を制すことを覚えていた。
小学4年の夏休み。軽度の知的障害を持つ少女・渡部薫子が苛められているのを助けた後、何故かチョコレートを食べる人々の夢を見るようになり……『虹とのら犬』、
私(=睦美)は、母の4つ下の妹・明恵おばちゃまが大好きだった。
小学2年の秋、母が交通事故に遭い、意識不明に。おばちゃまの所に泊まることになった私に、湯呑の中につかまえたお月さまが願いを叶えてくれると教えてくれた。
その後、母は快復したものの。人が変わったようにおばちゃまを遠ざけ、私に会わないようにと禁じて……『湯呑の月』、
腐れ縁の幼馴染である宮本貴明から、入院していると知らせる電話が入った。
病院に出かけた“俺”に、彼は、自分は末期がんだが、家族は彼がその事実を知らないと思っていると告げる。
昔から嘘ばかりついて“フカシマン”とあだ名された彼だったが、“これだけはウソだと思われたくないから秘密”と言っていたことがあった。
それは、大学生の頃、俺のアパートに彼が転がり込んでいた25年前の頃。近所に住んでいた“トッカンババァ”のこと……『花、散ったあと』の7編収録の短編集。
(主に昭和40年代あたりを振り返る)ノスタルジックで、ちょっとせつなくほのぼの~な作品集。
やはり朱川さんの作品は、この辺のテイストが好みですvv
『関々軒~』がお気に入り♪
<09/9/26>