黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『小さき花々』吉屋信子(国書刊行会)

2009-09-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
女学校2年の春に引っ越してきた少女・圭子は、家族と出かけたお城の天守閣で弟を連れた美少女に出会う。
そして4月の始業式に父に連れられ行った登校した女学校で、先の彼女・松井しづ子に再会。同じクラスになり、彼女のことが気になる圭子は、話しかけたいと思っているが所属しているグループが違い、なかなか話しかけることができずにいた……『忘れぬ眉目』、
大阪の教会の日曜学校で知り合った、クリスチャンの少女・みつると教会の隣に住む少女・栄ちゃん。
クリスチャンではない栄ちゃんだが、「天国にはお金がいらなくて暮らせる」という話を羨む彼女。
やがて栄ちゃんは家庭の事情で、進学をあきらめ、舞妓の道を歩むことに。そんなある日、東京からやってきた従姉を案内していたみつるは彼女に再会して…… 『天国と舞妓』、
7歳年の離れた美しい姉に、幼い頃やんちゃな意地悪してばかりいた妹・紀子。
その後、若くして他界した彼女が、実は異母姉妹だったことを知る。
そして女学校に入った春、紀子は祭の見世物小屋で見た蛇体娘に、姉の面影を見て……『姉の幻影』、
地主で裕福な家ながら趣味が垢抜けない少女・ふじと、大学教授の娘・まち子。
ませていたまち子はどこか冷めた考え方をする子供だったが、ふじは素直な心の子だった。
やがて、女学校に進学した彼女たちは別の学校に進学。しばらくは会ったが、やがてふじを疎ましく思うようになったまち子は、彼女を遠ざける。
やがて、ふじの父が身を持ち崩し、彼女は引っ越してしまう。
それからしばらくして、まち子が学校の友人と出かけた浅草の映画館で、働くふじと再会したが……『素直な心のひと』、
少年時代を田舎で送ったが、現在は都会で暮らす父と、ずっと都会暮らしのその妻子。
たびたび田舎から“小豆一升”(小豆一升などを持参してやってくる)な親戚がやってきては泊まるので、その存在にうんざりしていた。
そんな中、田舎で先祖の法事が行なわれることになり、出かけることになった父と娘・慶子。
そこで心づくしの歓待を受け……『田舎の親類』、
新進劇作家だった父は千恵子が赤ちゃんの時になくなり、母と兄・進の3人暮らし。
わがままな性格が亡き父にそっくりの兄は、暴君。千恵子は、密かに兄を“小さい父さん”というあだ名で呼ぶ。
ある日、兄が壊した金魚鉢を買いに出かけた金魚屋で、“父”というものの優しさを見た妹は、父がいれば…というが……『小さい父さん』、
裕福な家に生まれた兄妹たち…兄・睦、2人の妹、満壽子と靖子。
睦兄様が、めったに歩くことなどない満壽子と靖子をハイキングに連れていこうという。しかし途中で疲れてしまった彼女達は、道中で老婆と幼い少女に出会う。さっさとバスに乗ろうとする満壽子たちに引き換え、老婆たちはお金がなくてバスに乗れないようだった……『考える子』、
14歳で伊牟田という独逸帰りの医学博士の家に奉公に出た、たま。彼の妻であるイルマ夫人に生まれた萬里子の世話をすることに。
やがてわがままを言い出した彼女は、たびたびたまをいじめるが、それにも負けずに世話をする日々。
奉公して12年。彼女は大工の家に嫁ぐことが決まり、仕事を辞めることに。
それから7年が過ぎ、萬里子がピアニストになったことを知ったたまは……『たまの話』、
外国の少女小説のはなし。
ニュージイランドの田舎の村、裕福な家で生活している3姉妹…イサベル、ロティ、キイジア。
ある時、姉妹の伯母から精巧に作られた人形の家をプレゼントされた。学校の友達にも見せ大人気になるが、学校の中で2人だけ仲間はずれにされていた姉妹、リルとエルスがいた。
気立ての良い末妹・キイジアは、彼女たちにも見せてあげたらというが……『人形の家』、
ずる休みに憧れていた“私”。クラスメイトの少女・赤木を誘い、決行したのだが……『女の子』の10編収録。

『花物語』の続編。
『花物語』は読もうと思いつつ、まだ読めてませんが、先に読んだ『女中譚』(中島京子)に元ネタになっている『たまの話』を読みたくて、手に取ってみました(笑)。
時代の所為(昭和初期なので)でしょうが、後半からだんだん道徳的な話が多くなっているような気が。

<09/9/3>