黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『brother sun 早坂家のこと』小路幸也(徳間書店)

2009-09-09 | 読了本(小説、エッセイ等)
早坂家の三姉妹…長女・あんず、次女・かりん、三女・なつめは、早くに母・美幸を病で亡くし、父親・陽一に育てられた。そんな彼女たちが住んでいるのは、築50年も過ぎた母の実家。
3年前、父は年若い女性・真里奈と再婚したことを機に家を出て近所に暮らし始め、2年前彼らの間には異母弟・陽が誕生した。
ほどほどの距離感を保ちながら、彼らの関係はいたって良好。
そして7月20日…2人の結婚記念日。結婚式も挙げず、新婚旅行にも出かけなかった父たちの為に、陽の世話を引き受け、1週間の旅行をプレゼントすることにした三姉妹。
陽の彼女たちの元に、ひとりの男性が現れた。
母が亡くなったことを知らず、ショックを受けた様子の彼は、20年来音信不通で、彼女たちが存在も知らなかった父の兄・太一だという。それから1週間家に通って、陽の相手をしてくれた彼だったが、父と確執があるらしく自分の事は言わないようにと彼女たちに口止めし、その後は姿を見せなくなった。
しかしある日、かりんが見ていた美術雑誌に、彼が載っているのを発見。最近有名な賞を受賞した画家だという。彼と父の間に何があったのか、気になる三姉妹だったが……

存在すら知らなかった伯父が現れたのをきっかけに、いろいろと早坂家周辺で起こる事柄を、三姉妹それぞれの視点で語る家族小説。
『東京バンドワゴン』とは似ていながらもちょっと違う感じ。
最後の章だけ、成長した陽の視点で語られる後日譚ですが、ちょっとした波乱があったりで、ほろ苦かなぁ(その後の話は、この1冊の中に入れず、続編か何かとしてじっくり読みたかったかも……すごく駆け足な感じでもったいない感が;)。

<09/09/09>