黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『凍りのくじら』辻村深月(講談社)

2006-09-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
5年前、末期癌の身体で失踪した有名カメラマン・芦沢光。病魔に侵され余命いくばくもない母・汐子と共に残された娘・理帆子は、進学校F高に通う高校2年生。藤子・F・不二雄をこよなく愛していた父の影響を受け、無類のドラえもん好きで読書家である彼女は、それ故に達観したところがあり、『SF』を『少し・不思議』と言った藤子氏の言葉になぞらえ、『少し・なんとか』という言葉で、周囲の人々を評していた。
そんなある日、上級生・別所あきらから写真のモデルになって欲しいと声をかけられる。
そして昔付き合っていた司法浪人生・若尾大紀も再びアプローチ。肥大なプライドを抱えた彼の個性は『少し・腐敗』へと変化していた……。

ドラえもんの道具が、表現の中に効果的使われていて、とてもおもしろい作品でした。……でも理帆子風にいうならば、“少し・リアル”で“少し・イタイ”作品ですね(あらゆる意味において/笑)。
そして若尾の壊れっぷりがとても怖いです……;現代日本ではその辺にいそうな人物像なだけに。

<06/9/24>