CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】地面師たち ファイナル・ベッツ

2024-10-16 21:05:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
地面師たち ファイナル・ベッツ  作:新庄耕

なんか、ドラマが流行ってるそうだが、見ることがかなわないので
とりあえず小説を読もうと最新作を読んだのでありました

ある地面師が、新たなチームを作って、
次の詐欺を始めるというお話だったのだけども
個人的にはちょっと消化不良というか、気になるところが
置き去りになってしまったように感じて、もやっとしたんだが
全体的には、結構はらはらして、大変楽しめたのでありました

今作のある意味主人公といえるであろう
元Jリーガーのギャンブル狂いの男というのが面白くて、
この男が地面師のチームに入って、その仕事に手を染めていくと
まぁそういう話ではあるのだが、
その知能犯的なそれを割とそつなくこなしつつも、
生来のギャンブラー気質がよくない方向に発揮されそうになったり、
なんというか、この危うさというのが、見ていて大変楽しいのでありました

そのぎりぎりをなんとかくぐりぬけて、
それがまた、彼をギャンブルに駆り立てるみたいなことが
なんとなく、読んでいて手に取るようにわかるのも楽しくて
ラストシーンとか、いかにもそういう舞台だなという
ちょっと、さすがにそれはどうかと思うみたいなオチになるんだけど
それはそれとして、一貫してるなと思わされるキャラクタで見事だったと感心したのであった

金を稼ぐという方法や手段としての地面師だと思ったが、
登場人物の大半が、金というよりも、そのスリルを楽しむためにやっているような
大変不純な危険さをもっているのが魅力的で、
おいかける警察方面も、地道な捜査で追い詰めていくという
実によい仕事をしているけど、それをあざ笑うでもなく、
追いかけられているのを知って、なんとか逃げながら、でも、
獲物からは離れないという、とっとと逃げればいいのにそれはしないという危うさが
また、なんだかんだ楽しくさせられるのでありました

オチというか、まぁだいたいこんなところに落ち着きそうだなと
そういう感じで実際落ち着いた物語ではあったんだが、
不審死が多すぎるのと、あの人その後どうなったのというのが
何人か投げっぱなしになってるのがものすごく気になってしまい
たぶん今後補完されることもないだろうし、そのオチだけ知りたいなと思ったりしたんだが
まぁ、とりあえず、楽しんで読み終えたので、よい小説だったと
メモっておきたい

【映画】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版

2024-10-15 20:57:54 | ドラマ映画テレビ感想
随分評判が良かったからか、補完されて再上映となったものらしく
初見だったのでそのすごさはわからないけど
なかなかに楽しんでみたのでありました
仕事終わりに見たからか、子供はいないんだけど
なんか、やたら女性が多かったんだが、そういう人気がある作品だったんだろうか

内容としては、鬼太郎誕生にまつわる、
目玉のおやじがちゃんとひと型してた頃のお話で、
テイストとしてはオカルトミステリで、
なんというか、横溝正史のそれを見てるかのような
古い村の因習とかも絡みつつ、戦争帰りの悲惨さもありつつと
おどろおどろしく面白い映画だったのである

冒頭で、鬼太郎と猫娘が出てきたんだが、
猫娘がものすごいスマートで脚の長いお姉さんになってるのに
驚きすぎたんだけども、最新の鬼太郎はそれなのか、
そこにつながるといった構成になっていて、序盤で廃村みたいなところで、
かつ、廃病院に侵入するみたいなおぞましいというか、
昭和オカルトにありそうな恐ろしさを楽しめたと思ったら
それこそが、謎につながるものだったという感じで面白かったのである

主人公の一人が、南方の戦争帰りで、
そのフラッシュバックが何回も起きたり、そして、
殺人事件が起きるというあたり、それが祟りだといわれもするのだが、
鬼太郎世界だから、祟りも当たり前と思いつつの、その実はという感じで
結構凝ったミステリになってるのが面白かった
まぁ、最終的にはやっぱり妖怪の仕業になってしまうわけだが
そりゃそうだと思いつつも、ひねりがきいてて面白かったのである

物語としては、悲しさもありながらも
よくできていて、子供向けではないなというシリアスさが
非常に心地よく見られたわけだけども
いかにもな横溝正史っぽさといったらいいか、
見終わってから、自分は当然のようにその当時の人たち、世間を知らないのだけど、
横溝正史の物語として見たことがあるそれと似ているなんていう、
グロテスクな見方しかできてないのかと気づいて、
なんというか、本筋と関係ないところで慄いてしまったのである

戦争帰りという人種がいなくなって、
本当の意味での、水木さんなる男の気持ちや行動が理解できなくなっているというか、
そこにあるはずのリアリティを感じることができなくなっているのに衝撃を受け、
それなのによくできているかのように錯覚してしまっている、
ある種偽歴史のようなものを想定して、そこへの肉薄を見ているみたいなのが
物語としてよくできていたし、面白かったという感想を抱いたその根幹にある
何かが間違っていそうだと思わされたりしたわけだけども
妖怪たちのいう、人間は変わらない、不思議な生き物だというそれに
なっているんだろうかとか、
何書いてんだかわからなくなったんだが、映画はとても面白かったし
よい感動があったので、見てよかったとメモっておくのである

【読書】谷から来た女

2024-10-14 21:05:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
谷から来た女  作:桜木紫乃

アイヌを扱った現代小説
アイヌにルーツを持つ少女が、
伝統素材をリメイクしたオリジナルのアート作品で注目を集めつつある、
その周辺や過去の話しが連作短編になっていて、
一言では言い表せない強いメッセージ性のある物語になってて、とてもよかった

ありていな言葉にしてしまうと、
アイヌという出自においての被差別という問題を扱っているんだが、
そういう「問題」とした取り上げ方が、そもそも、シサム(アイヌの言葉での本土人)の言い分や、
その地位からの言葉でしかないということを喝破しつつ、
作られた被差別みたいなのではない、出自と関係なくあるものを信じる
そういう強さを描いていた
まぁ、この強さという言葉もまた、どこか立場が違う人間の言葉でしかないと
随分ばっさりやられてしまうけども、
確かにそうだよなと、いわゆる被差別というものを語るときは、
当事者以外は全員が他人事で、それぞれの思惑のこもった
事実と異なることをうたうものだなと気づかされるのでありました

まぁ、そんな難しい話しを書いているというよりは、
ただの現代恋愛小説みたいな雰囲気で、実際そういう色恋があり、
惚れた晴れた、逃げた追ったみたいな話しが続くのだけど
その背景というか、気づくと、上述したような問題が
静かに近づいてくるといった感じで、押しつけがましくなく、しっかりと問題をとらえていて
凄い小説だと舌を巻いたのでありました

問題はあるが、その根幹がどこにあるか、
何がそうなのかを見極めて語ることの難しさ、
他人ごとを自身のように騙ることの愚かさというか
気づかぬ刃があると気づく物語であった
凄くよい小説だ

光る君へ  とだえぬ絆

2024-10-13 22:18:11 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了していました
かなり尺を割いての弟話で、大変よかった、
大きな物語として、弟の存在はイベントをどうこうするのではなく、
ただただ、姉を支えた、心のどこかに余裕をもたせていた弟であったと
そう思わされて、なんというか、実によい姉弟物語だったなと
人情話として受け入れていたのである
しかし、従五位の下とは、出世したもんだよなと改めて思うばかり
立派に貴族となってたのかと感慨深いというか、
また、それを待っていた「いと」の心持と、あれこれは
大変よかったと思うのである

その弟の死因というか、死があまりに唐突であったし
苦悶のそれであったのが、
同じく死んだ伊周との対比として、むしろあちらの方が安らかに死んでいるなんて
なかなか悲しいものだと思わされたわけだけども、
まひろの一家と、道長周りというものの対比で
逆転ではあるが、まひろ側が悲惨であるというのは
何かの因縁を描いていたのか、わからんが、切なく感じたのである

さておき、結局道長は賢子のことは知らぬままといった感じだが
これはひょっとするとミスリードで、とうの昔に知っていたとか
そんなことになったりしないかしらと思うけども
それだと、あまりにも興味がなさすぎるかと
物語の落としどころというか、面白さというのの匙加減が難しいなと感じるのである
とはいえ、父上の実に素の受け答えというか、
あれに伴う一連の不審が大変よろしく、嘘のつけないというか、
もう、なんかあったら、すぐわかる人なんだなと
それをまた、まひろが、しっかりと言いつけておきますなんて言うあたりも含めて
あり得ない感じの会話なんだろうけど、大変面白いなと感じ入ったのである
このドラマの、こういうところが凄く好きだ
細やかな嘘というか、面白さがよいわ

結局、道長も人の親で、あれこれとなっている姿の面白さもあるし、
それがまた、物語と現実をごっちゃにしているという
結構現代でもよく見るそれになってしまっているのもまた
いとをかしといった具合で、冷めてみているまひろの姿もよいし
関係性が輻輳しているように見えて
とても好きだなと思うばかりであった

ともかく、今回はあまりに悲しい別れというのが大きなものを〆たけども
静かに、道長体制の地ならしが始まったという予感もあり
帝もさっさと片付きそうな感じが
不穏でまた、大変楽しそうであるなと思うのであった

【読書】クスノキの女神

2024-10-12 20:55:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
クスノキの女神  作:東野圭吾

想いを預けることのできる、不思議なクスノキがある神社を舞台に
いくつかの想いをつなげる物語になっていた
ラストシーンが切なすぎて、思わず泣いてしまったわけだが
一定以上年を食うとこれはきくなと
しみじみ、いつか来るかもしれない未来として
それを読んだのでありました
ただ、この本のテーマというか、ある種の主張に沿うなら
そういうことはおいといて、今、現在というのを大切にしようと思う

そんなわけで、ストーリーとしては2つ、3つくらいが
同時進行しているといった感じではあるんだが
登場人物がそれぞれ、何かしらそれはどうかしらと思わせる行動をとったり
ある意味人間くさいけども、自分が偏狭なのか、
特に主人公のそういう部分が、気になるというか
赦せないとまではいわないが、よくないなと思うところが多いのだけど
それこそが人間だというキャラクタ作りなんだろうか
ともかく、物語を進めるために、盗み聞きみたいなことをいくつかやるので
どうもよくないという気持ちで読んだのである

ある事件が起きるのだけど、その犯人もかばった人物も
なんか、それぞれよくないところもあってという感じで、
一見美談みたいな感じにも見えなくもないといった感覚になるが
どう考えても、よくない、これまた、赦されないのではないかと
思ったりしてしまうのだが、それについては
一応の決着を見るので、まぁいいかと、なんかやっぱり心がささくれるような
そんな気分になってしまったのである

と、まぁ、そんな事件や人物たちをのらりくらり読んでいたわけだが
最終的には、神社のオーナーというでもないが、
主人公が頼りしきりの叔母の状況が変わってくることによって
その姿と、そのありようが、なんというか感動的すぎる
いや、ただただ生きているというそれなわけだが
主張にあったような、今をというものとものすごくリンクして
また、そこに至るまでに一人の少年のこともあったりして
「想い」というものについて深く考えさせられる
凄くいいフィナーレを迎えたなと思わされたのでありました

最終的には、よかったなという印象で終わってしまうので
ちょろい読者だと思ってしまうところでもあるけど
ミステリという部分ではなく、人間の生き方という部分について
はっきりと別れて描かれていて、
そして、生き方の方が、とても印象に残る小説だったと思うのである

【ドラマ】虎に翼

2024-10-10 21:15:13 | ドラマ映画テレビ感想
NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」
視聴完了していました
主演の伊藤 沙莉が上手すぎるなと思っていたけども、
今回は今までのとだいぶ違って、いつも通りの部分もあるけど
ちゃんと丁寧に主演をやってて凄いと改めて感心したのである

率直な感想を書いてしまうと
個人的には、新潟行ったくらいまでが大変楽しかったというイメージで
そのあとは、ちょっと難しくなりすぎたというか、
寅子の話しではなく、法律とそれを取り巻く世間の話しになってしまったので
いまいち面白くないとか思ってしまったところ
朝ドラに何を求めるのかということでもないはずだが、
見ていて、唐突に思想的な内容へのあれこれを議論する物語になってしまったのが
なんというかとてつもなく残念に感じてしまったのである
大切ではあったろうと思うのだが、もうちょっと整理して、
あれもこれもやるんじゃない方が、寅子の法律のドラマという感じになって
収まり良かったんじゃないかしらとか思うのである

と、まぁそんな感想を抱いてしまったので
そもそも本作は、寅子ではなく、それを含めた6人の女性の物語でもあったわけでと
色々思うところはいっぱいあったという話しになってしまうのだが
ヨネさんの尖りっぷりとかも好きだったし、
あれが寅子と対になっているという展開をずっと期待していたんだが
その対立軸がちょっとあやふやといってはなんだが、
寅子が寄り添いすぎているようで、ヨネさんの方が気を使って離れたりとか
なんか、そうじゃないなと思いつつも、熱い友情を見たとも思えて
なかなか楽しかったのでありました

まぁ、なんだかんだ序盤のコメディ調が抜群によくて、
お父ちゃんの懺悔のあたりとか、花江ちゃんのかわいらしさとか、
お兄さんの「俺にはわかる」が歴代するあたりとか、
ああいうのがすごく楽しかったなと思うのだけども
それらをなんもかんも持っていってしまった戦争の悲惨さというか
猪爪家を襲った悲劇と戦争というのは、
凄くドラマとして印象的だったなと思うのである

そのあと、あと沿いとして出てきたのが、岡田将生で
これがまた、男前すぎるだろうと
前々から思っていたのが、いよいよ、完成されてしまったと言っても過言ではない
凄まじい男前っぷりに驚いてしまったわけだが、
そのなれそめというか、なんか、別姓にしてどうのと言い出してから
なんかおかしくなったようにも思ったりして、
あのあたり、桂場が諫めたりしているところがいいラインだったなと思うのだけど
なんだかんだ、ちょっと当時にしてもファンタジーすぎる思い切りが目立ってしまっていたと
感じたのでありました

とはいえ、半年みっちり楽しんで見られたので
よいドラマだったとも思えるし、話題になって、現在入ることもままならないほどの
名古屋の裁判所後も見に行って、あの法服見たりして感動したりと
しっかり堪能できたので、とてもよいドラマを楽しめたと
メモっておきたいところである
俳優さんはみんなよかったのだが、余貴美子さんが上手すぎて、
なんか妙なポジションやってるなと思ってたら、
あの認知症演技が、まぁ、朝から見るには辛すぎるレベルだったのもよい思い出である
すげぇ女優さんだと改めて思い知ったのであった

【読書】なんで死体がスタジオに!?

2024-10-09 21:05:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
なんで死体がスタジオに!?   作:森 バジル

テレビ放送を扱ったミステリ小説
テレビで人狼ゲームの生放送を放映するのだが、
その裏で、殺人事件が起きていて…といった感じで、
生放送に無理やりのっけて、かつ、人狼ゲームと殺人犯人あてゲームとかが
いくつか絡み合って進んでいくので、
あれやこれやと考えるとなかなか楽しいトリックを味わえたのでありました
ミステリとして謎解きが、
人狼ゲームのそれとリンクしているのも楽しいわけだが、
それはそれとして、生放送ならではの、各出演者の読みあいや、リアクションも楽しく
本当にこんな放送あったら、面白そうだなと思いながら見たのである
割と犯人はわかりやすい感じだったけど、
それはそれとして、この番組どうなるんだという興味に
ぐいぐい引っ張られた感じだった

テレビがオワコン化してきている昨今だが、
そこに何か可能性がないかを書いた本とも読めなくもないが、
実際はこんなにうまくいかないだろうし、
みんなが見てて、わくわくするというそれが、
今は起こし得ないものになってんだなという寂しさもありつつ、
テレビで育った世代としては、大変面白く読めた物語だった

事件の真相自体はさほどの話しでもなかったのだが、
最終的にそれでいいの?という終わり方だと読んでしまったんだが
まぁ、色々達成したし、それでいいのかと妙な納得をして
あまり深く考えず、プロデューサーとしてこの放送を成立させる知恵と
実際に行われるゲームの人狼探しと、本当に起きてしまった殺人犯探しが
なんだかんだ忙しく絡み合って
読んでいて楽しい小説だったとメモっておくのでありました

実際に放送するには、人狼というゲーム自体がニッチすぎて
ゴールデンにはやれないだろうなと夢もなにもないことを思ってしまったんだが
それぞれの思惑がぶつかりあうテレビという現場が
なかなか楽しく描かれていてとてもよかったと思うのである

【ドラマ】家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

2024-10-08 21:05:54 | ドラマ映画テレビ感想
もともとBSでやってたやつの地上波放送を見たのでした
表題作のエッセーは読んでいたので、なんとなし面白そうな
前向きになる痛快コメディとか期待したんだが
まぁ、確かにそういう雰囲気もありつつも
結構重めに人間ドラマをしていて、不思議要素もありつつ
面白いドラマになっていました
ドラマ内で小説を書けと言われていたそれが、ひょっとすると本作にあたるのか?
そういう入れ子構造はわからんけども、
役者の演技もよく、演出も妙な感じがマッチしてて
滑ってる感じじゃなかったのがとてもよかった
夢シーンとか、ひたすら、にゃーとか、割と雑なファンシーさを混ぜてくるとか、
お母さんが奇跡を起こしたように見せかけて特になんでもない時に、
物凄くわざとらしくスポット当てるとか
ああいうの好き…

と、まぁ、そういう小ネタみたいな笑いを強引に挟んでくるところが
凄い原作っぽさというか、あの文章のテンションとテンポを
映像化という方法に落とし込んでいたんじゃないかと
かっこいい感想を書いてしまうわけだけども、重めのテーマを
割とあっさりと描いていて、凄くよかったと思うばかり
劇中でインタビュー受けて、インタビュアーの方が泣いてるシーンがあったけど
実際、言葉だけ並べるとかなり壮絶な人生よなと思うのである
それを面白い感じの文章にしてしまえた、才能というか悲劇というか喜劇というか
凄いなと思うばかりであった

個人的に、ドラマオリジナル要素だったと思われる
マルチなる友人のキャラクタと、その関わり合いが凄いよくて
諸々の諸事情に加えて、マルチ商法の家庭に育ってしまった友人とか
ハードパンチすぎやしないかと思っていたけど
あの役者さんのこれまた軽妙な演技が、
まぁ二人ともすごく軽妙でありながら真面目で、おかしいのが滑ってないという
稀有な感じになってたところが凄いと感心したわけだが
ともかくよかった、言葉遣いとセリフ回し、唐突に英語とポルスキを喋るとか
素っ頓狂な設定も含めて、全部いい、すごく素敵、大好きと思えたキャラクタだった

あの見せかけかもしれない友情という、
話しとして案外重そうで、そうでもない、なんともいえない
雑に扱ってそうで、とても大切なという
滅茶苦茶な感じが、このドラマというか、主人公の人生そのものを顕してるみたいで
凄くいいなぁと、あのくだり全部好きだわと思ってみていたのである
ドラマとしては、彼女が退場でもないが、割と色々整理してしまった前後で
認知症のおばあちゃんの部分が重すぎて、
あまりにも認知症演技が上手すぎると衝撃を受けて、かつ、
同時期くらいに朝ドラの方でも、認知症の余さんの演技にあてられていて
身近に二人も違うパターンの認知症患者がおると錯覚するほどになって
ダメージを受けてしまうほどだったんだが
その重さを抜けて、お父さんへの気持ちとかが描かれて
お母さんの想いとか、あれこれ、決して弟が主人公にはならない位置だけど
いないといけない、そういう家族だという愛が描かれていたようで
大変よかったと思うのでありました

ドラマ見て、はじめて、この著者の人が割とアレな感じというか
天才的になんでもできるんじゃなく、割と滅茶苦茶でノリと勢いと元気で
なんとかしてた人なんだなと知れたようでもあり
文章だけでは伝わらない人間ドラマを見た気がしますと
書いておくのである

まぁこれもまた、ドラマを通しているので本人とは異なるものなんだろうが
構成する一部であろうと思っておくのであった
ともあれ、楽しかった

ああ、あと、林遣都が相変わらずぶっ飛ばしてる感じで最高によかった
本当好きな役者だわ、真面目に面白い感じが出るというのが凄すぎる
滲み出るいいひとっぽさとか、わかってなさみたいなのとかの
雰囲気作りが天才すぎると思うのである、もっと見たい役者だ

【読書】黄昏のために

2024-10-07 21:05:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
黄昏のために  作:北方謙三

久しぶりの北方御大の小説であります
短編集?短編連作?わからないまま読んだのだが
ある画家の話しで、その画家が描こうとしているもの、
その抽象を文章で表現しているといっていいのか、
もっと単純に、ただかっこいい、やっぱりハードボイルドなそれだったということか
自分ではよくわからないままに、でも、かっこいい雰囲気に酔いながら読んだのでありました
酒と女が出てきて、それをどうするか、
そこに男の選択が、言い訳のような言いざまとともに描かれる
やっぱりこれが、ハードボイルドというやつなんだろう

命のないものを描くことで、逆に命を描くことになるのでは
そんな、ありそうな題材で絵を描いているという描写で、
ある時は無生物を描き、ある時は動物の骨を描きとしつつ
何をもって生きたものを描いているといえるかと
そんな哲学めいたことも考えつつ
それと同時に、そういうものを商売として金にかえようというブローカーがいて、
でも、それを求めてもいるし、嫌ってもいるという状態にたゆたい
行きずりの女と関係をもったり、持たなかったりして
ただ漫然と生きて、時折絵を描いている、そういう情景が続く

結局、それも途中でしかないというのか、
そのあと、唐突に何かに出会ったようにして描くというシーンが二度ほどあって、
狂気とも異なる、集中、想起、没頭といったものがあって、
とてもよい絵が生まれたと、その描写だけで満足できそうな楽しさというのか、
読んでいて、満たされるといった感情を抱けるものだった

結局、何を書いていて、何が書かれていたか
そのあたりはさっぱり理解できなかったけど、
いい雰囲気をずっと読んでいる間感じられる、浸ることができる
そういう小説だと思った
多分、読み手の俺がハードボイルドをちゃんと読んでないから
入口が見当たらないという感想なのかもしれない

光る君へ  まぶしき闇

2024-10-06 20:47:24 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
前触れもなく道長が、父親そっくりになってきたのが
衝撃的というか、本当、ああいう感じまで含めてそっくりだな
大政治家といっていいのだろう、藤原道長が見られそうで
大変楽しみである

さて、伊周がどうなるかと思ったら、あんな感じかと
こっちもまた唐突に呪詛返しが決まった感じになってしまっていて
精神になにかをきたしたというやつだったんだろうなと
現代にも割とありそうなそれだと、また、呪いの正体がわかったというか見えたような
そんな気分である、呪詛というのは結局メンタル攻撃による
精神疾患のあれこれなわけだなと腑に落ちてしまうんだが
いやいや、本当にそうなのかとも思ったりなんだったりである

のっけは、清少納言とバトル開始かと思いきや
案外いい感じからの、やっぱり敵情視察みたいな感じで
気が抜けないのは確かというか、しっかり爪痕を残していった感じだが
あの後、伊周と会って、こりゃあかんという感じになって
さらに、東宮問題でどうなってしまうか
こちらも目が離せないと思うばかりである
別に、東宮なれなくても殺されたりしないと思うんだが
それでは納得しないというか、いや、坊主にさせられたら死んだも同じだから
やっぱり悲しみ、そして、まひろを恨むんだろうか
毒舌化したまひろを見たかった気がするけど、本作ではそうならなそうで
ちょっと残念ではある、まぁ、そもそも清少納言側から紫式部をどうしたとは
出てない気がするから、これでいいのか

和泉式部もさらっと参戦してきて、
しかも、いきなり魅惑魔法でもかけたみたいになってるのが
天才的すぎるだろうと衝撃的だったんだが、
いわゆる高級サロンというやつは、あんな感じなのかしらと
ぼけらったと観ながら、すげーなーと素人感嘆を見舞うばかりでありました
そして、道長の妾も本妻も、それぞれが躍動するかのように蠢いていて
なんというか、いかにも平安時代という感じが
大変楽しいと思ったのでありました
次回もまた楽しみだが、どこに向かっていくんだろう、この物語わ

終幕後の紀行の方で、呪詛の証拠が披露されてたけど
さらっと、平安時代のああいうものがでてくるというあたり
京都という土地のすごみというか、何か本当すげぇなと
感心させられたのでありました、呪詛も考古学の前にはただの展示物というのが
グロテスクというでもないが、凄いことだな

【読書】国道沿いで、だいじょうぶ100回

2024-10-05 20:55:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
国道沿いで、だいじょうぶ100回  著:岸田奈美

相変わらずの楽しいコラム集であった
先日NHKのドラマも見たので懐かしくなっていたところ
新刊が出るというので早速読んだわけだが
他愛なく面白おかしく、日々のことを楽しく書いていて
いいなと思って読んだのであった

ドラマのエピソードとリンクしているような部分もあったりして、
実話をもとにしたドラマだから当たり前だけど、
なんとなしタイムリーに読めたという感じもあって楽しく、
弟さんがグループホームで暮らすようになった変化だとか、
お母さんが入院していたところの描写とか、
リアルの方の大変さと、それでも面白く楽しくの精神が生きた文章がよくて
なるほどなぁ、大変やなーと思いつつ読めるのである

電撃的な面白おかしいことは少なくなっているのかと思いきや、
同じような間違いとかを犯していることも相当あるようで、
前回読んだとき、このお姉ちゃんはちゃんとした人なのかと思ってしまっていたけど、
ドラマで見た通り、結構危ういというか、なかなかの困った人物であるなと
そういう感じのエピソードが多くて、より理解が進んだというか
そんなもん進める必要ないんだけど、わかったような気分になってしまうのであった
色々抜けてるところが多い様子だわ
本で読む分には楽しいし、実際すごく楽しそうな生き方でもあるが、
近くにいると、なんかイライラしてしまいそうだと思うのである

とりあえずなんも考えず、なんかできそうだというところには
すぐに賭けるというか、投資とも違う、お金と労力を惜しまないという
曲がらないスタンスが見事で、それによって、
様々な問題というか、混乱を巻き起こしているので
まま楽しそうに見えるけど、相当大変だよなと
素人で、苦労とばかりが集まる免許や資格の試験をほいほい受けに行く
フットワークの軽さは、尊敬と恐怖が入り混じるばかりである
そういうものを畏敬と呼ぶようだが、なんか違うな

とはいえ、当然のように難儀も多いようで
「だいじょうぶ」100回は自分へのエールでもあるようだし、
なんも大丈夫ではないけど、がんばりや、という気持ちを奮い立たせるというか
無理やりそう思い込むための呪文のようでもあり
強さなのかなと思ったりして、笑いながらも考えさせられるのであった

ともかくパワフルに生きていただきたいと思っていたら
ドラマのおかげなのかしらんが、
出てきた赤い車に乗ってるとのことで、
あんな旧式のVOLVO大丈夫かと不安で仕方ないのだが
まぁ、楽しそうだしいいかと思うのであった、すでにボコボコになってそうだな

【ドラマ】星新一の不思議な不思議な短編ドラマ2024夏

2024-10-03 21:05:52 | ドラマ映画テレビ感想
3週にわたって再放送だと思ってのんびり、夜ドラを見ていたら、
最終週は見たことない気がすると釘付けになってしまったので
とりあえずメモっておこうと書くのである

とりあえず再放送については、前回見た中でも一等好きだった見失った表情があったので
それだけでも満足と思いつつ、そうか、この女優さん代理母の役の人だったかと
今更気づいて衝撃を受けたのである
この女優さんの演技好きなんだな俺、気づかされてしまったと思うばかり

さておき、地上波初めてだったんじゃないかと思うのだが
新作3編、鍵、買収に応じます、処刑と、硬軟多彩な感じで大変よかった
相変わらず俳優が豪華だなというのもあったけど
それぞれが短編で大変面白かった
本シリーズはちょっと映像に力を入れすぎてて、前衛作品みたいな感じがして
あんまりなーとか思ってしまっていたんだが、
それが「処刑」で見事に昇華されていて、作品の雰囲気がどうあれ
そういう物語だったなと説得されるみたいな、映像暴力を浴びた感じで
大変よかったと思ったのでありました
狂気と、割とわかりやすい寓話とでもいうような、水を飲むという行為に短絡化された人生という
こういうわかりやすいのがいいなと思いつつも、そのわかりやすさの破壊力をあげる
退廃がすぎる映像と、ここで窪塚もってくるんだというキャストの良さもあいまって
実に素晴らしかったと感動したのでありました
直線的で、深く考えすぎない、その鋭さが星新一だよなと、勝手なことを相変わらず思ってしまうが
とてもよかったなと思うのである

鍵の方もしんみりした話しだけど、これもまたよくできていて
いかにも童話のようなショートショートだなと思えて満足だったし
買収に応じますについては、LIFE味が強すぎるとか思ってみてたけど
滑稽劇として完成度が高すぎるので、これも正解だなと
役者がボケそうでボケているようで、ぼけていないけど
話しが笑わせるという、何重になってる何かもわからん感じが好きだった

と、三編の新作というか、初めて見たやつにいたく感激して
見てよかったなと満足したとメモっておくのでありました

【読書】利休の茶杓

2024-10-02 21:05:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
利休の茶杓  作:山本兼一

幕末頃の古道具屋さんを舞台にした人情話し
落語の演目にでもありそうなやりとりと筋なんだけども、
様々な骨董や道具が出てきて面白かった

ただの骨董話しなら、それだけで済むのだけど
剣呑な時代の京都を舞台にしているので、お客で新選組が出てきたり
勤皇浪士がでてきたりとあやしからんところもあるんだが
政治向きの話しはまるでなく、さりとて、京都の市中では
実際こんな感じで、普通の人が志士とすれ違ってたのかしらんと
思ったりもしながら読めるのでありました

鉄細工やら、茶碗やらもでてくるのだが、
楽家代々の茶碗を展示していたら、どんどんと筋のよい客が寄ってくるようになったと
まぁ、当たり前といえばそうなんだが、道具が人を呼ぶという話しそのものが
丁寧に書かれていて、なんとなし、そういう世界が見えるようでよかった
実際よいものがあると見に行きたくなるし、それで商売の幅がでてくるというのは
骨董ではポピュラーな手法なんだろうが、その茶碗の豪華さというか、
物としての強さというのが軸に語られているので
古道具好きとしてはよい小説だなとにやにやしながら読むのであった

表題作が〆の一本になっていて、
道具箪笥の中に大量の茶杓が入っていて、
そのうちの一本だけが利休のそれなんだが、その行方を追いかけると
そんなお話で、芹沢鴨が出てきたり、なんだかんだと
ばたばたしながら面白く物語が進んで、
なるほどというオチがまた、とても座りがよくて楽しかったのでありました
結局、気に入らないと物を壊すということをする人がいて
そういう人が本当の物をわかるものかというでもないのだが、
その順位への反感と打算というものが、
人によって、物への価値、品というものに転嫁、算段されるものだなと
改めて思うのである

随分高価なという話しもあるが、
結局それを買いたいという人がいてこその相場だし、
その値段には意味がないともいえるなと、不思議な業界だよなと思いつつ
まぁ、そんなことはさておいて、よいものを愛でるということが
気持ちよいという感覚だけ教えてくれるような、やさしい物語にほっとしたのである

【映画】侍タイムスリッパー

2024-10-01 21:00:32 | ドラマ映画テレビ感想
話題作とは、言い過ぎかもしれないが
なんかやたら評判よいとのことで、近所の封切二日目に見てきたのである
いやー面白かった、久しぶりに時代劇っぽいもんを見た

時代劇を扱っているというだけで、
実際は時代劇ではないし、ある種の楽屋落ち話しのようでもあるなと思ったけど
変にあれこれと考えさせられるようなこともなく、
幕末の侍がタイムスリップしてきて、現代で時代劇の切られ役をやってて、
なんとか生きていくという姿を見た
と、まぁそんな感じで、斜陽である時代劇への悲しみもあるんだが
それがメインというわけでもなく、ほどほどのコメディといったらいいか、
往年の邦画によくある笑いのシーンというのがいくつもあって、
ほのぼのとみられる大変良い映画でありました
なによりも、主役というか、主題が殺陣なのがとてもよかった

見ている層もかなり年齢高めだったからか、
館内で笑いが割と起きるというのも、視聴環境としてよかった気がする

主演の山口馬木也さんは、個人的にはとても好きな俳優さんで、
かつては、剣客商売で大治郎やってただけあって、殺陣はお手の物と
わくわくしながら見ていたわけだけども、流石にあれから年齢を重ねているからか
佇まいが素晴らしいと思うものの、やや迫力にかけるなとか思ったのであったが後述、
渋みのあるいい殺陣だし、殺陣を学ぶシーンによって、殺陣と剣術の違いがわかりやすい
八相に構えてからの上段が振りかぶりではなく、天を突くようにするという
後ろの役者さんに配慮するそれであるとか、素人にも優しい解説が
これまた物語としてもキーというか、ある種の象徴になってて大変よかった
ネタバレというほどでもないと信じるが、後半、その殺陣ではない上段を振るシーンがあって
この対比が見事だなと感激したのである
あとは、細かな部分でも、刀の重さが伝わる演技というか動作だとか、
切っ先の振れをいかになくして、竹光を本物のように見せるかというあたりが
凄くよいなと感激したのである、このあたりも昔は当たり前だったんだろうけど
今となっては、ロストした技術なのかもしれんな

笑いのシーンにも、殺陣をやたら使っていてというか、
わかりやすいギャグが用意されていて、
切られ役のオーディションというか、試験なのに気づくと切ってしまっているみたいな
天丼が相当数のパターンで披露されるのが、テンポいいギャグでもあるし、
あんだけのバリエーションの殺陣も大変だなとも思うしと
かなり面白く笑わせてもらったのであった、秀逸だったわ

最終的にその殺陣をめぐって、大型映画の最終シーンに秘策というか、
ある提案がなされて、そこからの緊張感と、入れ子式になった
殺陣を見ているのに、殺陣とは思えないようなシーンを映画として見るという
不思議なそれがすごくよかった
このあたり、撮り方というか、手法としてベタだなと思うんだが、
それこそが演出と殺陣というものだよなと思い知らされるようで
実に面白くて楽しかったのである
クライマックスも見事だったが、そのあとのオチに向かうシーンも
小気味のよい笑いで〆てる感じがとても健やかで、いい映画、物語を見たなと
なんかとても感激して見終えたのでありました
なによりも、このラストのために、序盤の殺陣シーンの迫力を抑えていたんだなと
そう結論づけたのである、山口さんの殺陣、すごみがあってやっぱり好きだわ

なにせ楽しかった、時代劇いいなーと思う一作であったわ
まぁ、時代劇じゃないんだけども

【読書】鮫言

2024-09-30 21:03:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
鮫言  著:大沢在昌

週刊プレイボーイで連載していたものをまとめたのと
氏の小説に関するあれこれの短編コラムをまとめた一冊
時代といっていいのか、こういうジャンルの人、この時代の人、
そういう特有の空気があるなと、楽しんで読んだのである
悪いとかそういうことではなくて、それぞれ切り口が違うけど
結局、モテたかった話しと、未だにモテたい話しとに繋がってくるという
この感じ、文章というのが、嫌いじゃないなと
読んでほのぼのしてしまうのである、ほのぼのする話しじゃないんだけどもさ

学生の頃どうであったかというところや、
自身の哲学とまではいわない、色々なこだわりや、
やっていることなんていうのをまとめているだけで、
高所に立ってぶった文章というわけでないので、ともかく読みやすくてよい
それでいて、侘しさではないのだが、どことなく寂しいと思わせるところもあったりして
これはモテるために、わざとやってるのではないか
などとうがってみてしまうのだが、そうだとしても、あるいは、そうじゃなくても
どちらにせよ魅力的だと思うばかりである

結構若いころにやんちゃをしていた時もあったようだし、
なんだかんだお姉ちゃんとの振った降られた話しも数多く持っていて
それが、いい感じに熟成されていると伺わせる内容が
自慢ではなく、また、直接的には語られず
なんとなし、クラブでそこのおねーちゃんと話をしているときの会話のなかに
ちらちらと見えたり、見えなかったりするというのがいいなと思うのであった
そういうのはまるで縁がない世界なので、憧れというほどでもないというか、
自分がやりたい、なりたいかというと、そんなことはないんだが
自分にはないもので、強くよい個性というか
いいなーと思うものが光っていると思うばかりであった

夏に海で遊ぶということに対しての
徹底した遊び、仕事を持ち込まない
その姿勢のすばらしさはさることながら、そうしなくては生きていけない
オンオフであったり、色々なところに折り合いをつけるための
一種の暴言めいたものですらあるのかもと
そう思えるような感じが、氏の小説家たる部分なんだろうなと思いつつ読んで
そうかと思うと、男として、ある時ふと夏が終わったと感じるのと
まったく同じ感覚で、何かが終わったと感じた話しが
物凄く迫ってくるというか、自分にもいつかあったような気すらすると
記憶にないが、理解できてしまうそれに強く惹かれたのでありました

まぁ、そうかと思うと、ユーミンに関するあれこれが、
まさに自分が、氏に感じているそれと似ているようにも思えて
色々とつながるなぁと思って読んだわけだが
ともかく、ハードボイルド作家であること、作品のそれこれを裏切ることなく
それでいて楽しく、軽く読めるのが大変よかったとメモっておく