CLASS3103 三十三組

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【読書】グランド・フィナーレ

2021-12-01 20:56:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
グランド・フィナーレ  作:阿部 和重

結構古い小説だと思うんだが、芥川賞を受賞した作品であります
主人公がロリコンをこじらせて、妻子を失ったという過去を持つ男なんだが、
その男の一人称的に物語は進んでいくんだが
最初、妻と別れるの至った話について、嘘じゃないけど本当ではないことを語ったりして、
メタ的にも、クズ野郎だと感心させられてしまったんだが
ロリコンというか、もう、ペドフィリアに近い領域の人物のようだが、
それによって失ったものというか、
実の娘に会えないという事実の重さに耐えられない姿というのが
滑稽なような、そうでもないような
それによって、真人間になろうとしていくという感じなんだが
そういうやつの目の前に、また、餌でもないが
どうしても少女と出会う機会というのが訪れてと
そんな塩梅なんだけども、唐突に物語は終わってしまって、
え、それで終わり?グランドフィナーレなの?と
結構衝撃的で、何度か、読み飛ばしを疑って読み返してしまった

一人称の字面だけ撫でていると、致命的な性癖以外は
割と普通のというか、どちらかというとよい人のようにすら思わされる
そういうあたりの良い言葉遣いと丁寧さが、逆に不気味でもないが、
だまされそうな気分になって、そういうやつだからこそよりひどいというか、
案外、本物とはそういう感じなのかもしれないと
勝手に考えてしまったのでありました
気を付けよう、初対面と外面の良さに定評があるというのは、
暗に、何かあるということを巧妙に隠していると言っているようですらあるな

そういう話ではないんだけども、
そのクズであるということが露呈する過程、そして、
それをなじられるという現象を甘受しているというか、
さほどに嫌とも思っておらず、また罪をどう考えるかというところが
欠落しているようにも見えなくもないんだが、
まぁ、なじる人たちも薬やってたり、どうかと思うところだから
読み手としては、なんだかなーという気分になっていたわけなんだけども、
そのあとで、真打でもないが、
本当に改心を促すというか、罪をはっきりと見せることができる人物により
やっと目が開くというのが
読み応えの一番でありました

深読みすると、主人公の罪とそれを償うということについて
これは、そういうわかりやすい代償のような形なんだろうかと
考え込んでしまえるので、そういうところが文学的で面白かったと
思えたのでありました


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