CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】キネマトグラフィカ

2018-08-20 20:59:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
キネマトグラフィカ  作:古内 一絵

映画がフィルムで配給されていたころの
業界、それも配給配信の業界について
思い出語りとともに紡がれる人間ドラマでありました
バブルの頃に映画会社に入社し働いた男女の20年後ともいえる
今を描いた物語、そういう世界なんだなと
知らない商売の面白さを読みながら
青春と、それを懐かしむこと
その両方を楽しめて、中年とはそれなりに
楽しい時代なのかもなと思わされたのでありました

若い頃がなんとなく気に入らないというか、
思い出したくないという出だしから、
それでも、その頃のひとつの出来事を追っていき
それぞれの同期がちがどのように生きて
どう考えていたか、あずかり知らないまま過ぎて
最終的に、今にまた戻り
その頃の輝かしさと、それを懐かしみながらも
今まだもって生きているということ
その楽しさそれを映画とともに追っていくかのようで
なんだろう、自分のようなミーハーにもわかりやすい
映画で描かれる人生というのが
まさに詰まっている、そんな物語に読めたのであります
なんとも楽しかったといえる

様々な思いと過去をもって
男も女も就職し働いて、
それぞれのスタイルも思想もちがうなかで、
同じ仕事という義務的なかかわりのなか、
さらにたまたま同期だからというだけなんだけども、
不思議と仲間といえばいいか、連帯があり
日本の文化なのかもしれないと思える
この不思議な共同体が、それぞれにその時々を生きていたんだなと
まぁ、なんともはや、自分よりはちょっと上の世代の話なのに
随分わかるような気分になってしまって
年老いたとか、よくわからん自覚を持ってしまった

映画に関する薀蓄もそこそこ出てくるけども
それほど、映画好きじゃないと楽しめないわけでなく、
独特な懐かしさを味わいながら
そっと読み終えたのでありました
どんぴしゃの世代の人には
また違う感激があるんだろうかしらと感じるところ


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