CLASS3103 三十三組

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【読書】ニセモノ図鑑 贋作と模倣からみた日本の文化史

2017-01-21 19:34:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
ニセモノ図鑑 贋作と模倣からみた日本の文化史  著:西谷 大

読書というか、図鑑を読んだという感じであります
同名の展示会があって、そのパンフレットとも位置づけられる
なかなか面白い本でありました

若い頃から、骨董というか陶磁器に取り付かれているので、
こういうものに目がない性分でありまして、
どんな面白い本かと楽しみにしてみていたのでありますが
非常に丁寧な、真面目な本でありました

ニセモノと一口にいっても、
様々なものがあるという切り口から、
模倣や、偽造、そもそも存在しないものまで、
あらゆるニセモノを集めた展示会をやったようで
この企画楽しかっただろうなと思うものの
全部ニセモノしか飾ってないとなると、
金返せとなったかもしれんなと
思わされたりしたのであります
相当に面白かったと思われるが
通常の展示会料金だったら、しっくりこない気がしてしまう
これがニセモノたるゆえんでありますな

結構な分量が書画に費やされていまして、
各地になぜ書画のニセモノが多く存在するのか
それを文化史として読み解いているのが意欲的というか
面白いもので、なるほど、
おもてなしにどうしても必要なので、
地元の有名な絵師のそれこれを飾りたいが、手に入らない、
それっぽいのでいいから見繕おうと
わかっていて偽者を所有するという
それなりの大きな家があったようで、
それがいつしか、どこそこの家のだから大丈夫だろうと
ニセモノが出回るようになったと
まぁ、この、ニセモノがニセモノだと理解して利用された挙句
本物と間違われてしまうというのは
非常に面白いなぁと思うのであります
ニセモノに限らず、こういう、知らないうちに嘘になったというのは
たまらなく好きなジャンルのお話なので
これだけでも、読む価値、また図鑑を見る価値があったのでありました

なお、ニセモノは、明らかにニセモノとわかるものが
ある意味厳選されていたようなので、
着眼点というか、見破り方なんかもレクチュアされていて
興味深いのでありました

このほか、陶磁器における本歌取りをどう捉えるかとか、
戦国時代に偽造された文書はどっちなんだとか、
挙句、河童のミイラなんかが出てきて
非常に楽しいのでありました
特に河童のミイラは、がんばって作ってみたんだそうで
これもまた興味深いのでありました
案外簡単に作れるものなんだなぁ

というわけで、なかなか楽しい本なので
誰かに読んでもらって話でもしたいと思うんだが
同年代で見つけることはできないのである


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