【読書】少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人　　作：桜庭 一樹

なんと形容したらいいのか、
非常に読みやすく、面白かったけども
不思議なお話といっていいのか、
別段、神秘とか関係なく、ただただ狭い地域での、
ありそうな出来事を描いただけとも
いえるような現代小説でありました

誰も彼もが、兄弟姉妹なのかもしれない

そういう田舎での、下世話な話と
くくってしまえば終わりという感じなんだけども
そう、兄弟姉妹というのもまた、実のそれだったり、
穴だったり、棒だったりと、
まぁそういうのも含めてと、これまた
品のないところでありますが、
ありていにそういうお話でありました

そんな果てといえる、存在といっていいのか、
誰の子供か、そこが重要ではない
異形ともとれる美貌をもった少女七竈の物語で、
唯一心を許せる同士の雪風少年との友情、
そして、どことなく、気付いていたが口にはだせなかった秘密、
その末に別れ、自立していく、
高校生くらいの急激な成長と戸惑いなんかも
不思議な日常のように描きながら、確かに進んでいく
気付いたら、あっという間に、大人のようでもあり
子供のままでもあり、
だけど、いつかとは違うところにきていると
すくすく進んでいく様子がステキだなと思わされる作品でありました
時間の経過というか、ああ、突然にと
気付かされる成長の跡みたいなのが、本当にうまく描かれていると
感心しきりなのでありました

誰と何がという、恋情のいくつかもあったし、
醜くやくたいもない争いも発生したりするけども、
そういう表層の何かとは別に、自分がどうするべきか、どうしたいか、
どうならなくてはいけないかと、
独立していく七竈の姿が、浮世はなれしているのに、
結局は、そうではないただの少女でもあったり、
そして、色情とは別に、大人になっていくというあたりが
なんだろうかな、この年齢の人間だから思うのか
いいなぁと、眺めてみるような読書となったのでありました