たんなるエスノグラファーの日記

エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために

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2011年04月16日 00時00分00秒 | 人間と動物


ボルネオ島に広く棲息するヒゲイノシシ(Sus barbatus)。
耳から顎の辺りにかけて、ヒゲがもじゃもじゃと生えている。

プナンは、イノシシのことを、マブイ(mabui)と呼んでいる。

それはプナンが最も好み食べるために探す動物である。
狩猟には、これまでどれくらいついて行っただろうか?
途中まで数えていたが、正確な記録を付けていない。
数えきれないほど繰り返して、ハンターについて行った。
ハンターは、朝から何も獲らず、どこに行くとも言わない。
血しぶきが飛び散り、一つの命が終わることへの関心?

猟銃で射撃するとき、私は銃後でいつも気持ちが昂る。
プナンのハンターもまた気持ちが昂っているのが分かる。
その興奮を静かに自制して、獲物に狙いを定め狙撃する。
前足の付根のあたりに弾が命中すればその場で斃れる。
イノシシが斃れた場から今度は人びとの元へ運び出す。
腹を裂いて内臓を取出し、性器、胃腸の消化物を捨てる。

一人で担げない場合一頭を胴体の辺りで真っ二つにする。
木の皮をイノシシの皮に器用に通して背負えるようにする。
何度か背負ったが、膨れたダニたちが咬みついてくる。
一週間位は腫れ痒いが、彼らにとってはどうってことない。
果実の季節にはイノシシが集まり人が狙って大猟となる。
子を産んだ母イノシシは暫くの間子イノシシを連れて歩く。
母イノシシを射撃すると、子イノシシが数匹一緒に斃れる。

子イノシシのは肉質が柔らかで、この上ない絶品である。
久しぶりに獲れたイノシシの肉で人びとは俄かに華やぐ。
プナンは腸内消化物、性器と骨以外全てをむさぼり食う。
肉は、広範囲の人に分け与えられ、一気に消費される。

あればあるだけ食べて、
腹痛、下痢などが一時蔓延する。


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