落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

ブータン国王陛下・国会演説

2011年11月20日 | 政治・外交
平成23年 2011.11.17 ブ-タン国王陛下の演説 The speech of His Majesty king of Bhutan

http://www.youtube.com/watch?v=FtxuPyRNszY&feature=player_embedded


スピーチ全文(以下のURLより)
http://datefile.iza.ne.jp/blog/entry/2514653/
http://news.nicovideo.jp/watch/nw147415
天皇皇后両陛下、日本国民と皆さまに深い敬意を表しますとともにこのたび日本国国会で演説する機会を賜りましたことを謹んでお受けします。衆議院議長閣下、参議院議長閣下、内閣総理大臣閣下、国会議員の皆様、ご列席の皆様。世界史においてかくも傑出し、重要性を持つ機関である日本国国会のなかで、私は偉大なる叡智、経験および功績を持つ皆様の前に、ひとりの若者として立っております。皆様のお役に立てるようなことを私の口から多くを申しあげられるとは思いません。それどころか、この歴史的瞬間から多くを得ようとしているのは私のほうです。このことに対し、感謝いたします。

 妻ヅェチェンと私は、結婚のわずか1ヶ月後に日本にお招きいただき、ご厚情を賜りましたことに心から感謝申しあげます。ありがとうございます。これは両国間の長年の友情を支える皆さまの、寛大な精神の表れであり、特別のおもてなしであると認識しております。

 ご列席の皆様、演説を進める前に先代の国王ジグミ・シンゲ・ワンチュク陛下およびブータン政府およびブータン国民からの皆様への祈りと祝福の言葉をお伝えしなければなりません。ブータン国民は常に日本に強い愛着の心を持ち、何十年ものあいだ偉大な日本の成功を心情的に分かちあってまいりました。3月の壊滅的な地震と津波のあと、ブータンの至るところで大勢のブータン人が寺院や僧院を訪れ、日本国民になぐさめと支えを与えようと、供養のための灯明を捧げつつ、ささやかながらも心のこもった勤めを行うのを目にし、私は深く心を動かされました。

 私自身は押し寄せる津波のニュースをなすすべもなく見つめていたことをおぼえております。その時からずっと、私は愛する人々を失くした家族の痛みと苦しみ、生活基盤を失った人々、人生が完全に変わってしまった若者たち、そして大災害から復興しなければならない日本国民に対する私の深い同情を、直接お伝えできる日を待ち望んでまいりました。いかなる国の国民も決してこのような苦難を経験すべきではありません。しかし仮にこのような不幸からより強く、より大きく立ち上がれる国があるとすれば、それは日本と日本国民であります。私はそう確信しています。

 皆様が生活を再建し復興に向け歩まれるなかで、我々ブータン人は皆様とともにあります。我々の物質的支援はつましいものですが、我々の友情、連帯、思いやりは心からの真実味のあるものです。ご列席の皆様、我々ブータンに暮らす者は常に日本国民を親愛なる兄弟・姉妹であると考えてまいりました。両国民を結びつけるものは家族、誠実さ。そして名誉を守り個人の欲望よりも地域社会や国家の望みを優先し、また自己よりも公益を高く位置づける強い気持ちなどであります。2011年は両国の国交樹立25周年にあたる特別な年であります。しかしブータン国民は常に、公式な関係を超えた特別な愛着を日本に対し抱いてまいりました。私は若き父とその世代の者が何十年も前から、日本がアジアを近代化に導くのを誇らしく見ていたのを知っています。すなわち日本は当時開発途上地域であったアジアに自信とその進むべき道への自覚をもたらし、以降日本のあとについて世界経済の最先端に躍り出た数多くの国々に希望を与えてきました。日本は過去にも、そして現代もリーダーであり続けます。

 このグローバル化した世界において、日本は技術と確信の力、勤勉さと責任、強固な伝統的価値における模範であり、これまで以上にリーダーにふさわしいのです。世界は常に日本のことを大変な名誉と誇り、そして規律を重んじる国民、歴史に裏打ちされた誇り高き伝統を持つ国民、不屈の精神、断固たる決意、そして秀でることへ願望を持って何事にも取り組む国民。知行合一、兄弟愛や友人との揺るぎない強さと気丈さを併せ持つ国民であると認識してまいりました。これは神話ではなく現実であると謹んで申しあげたいと思います。それは近年の不幸な経済不況や、3月の自然災害への皆様の対応にも示されています。

 皆様、日本および日本国民は素晴らしい資質を示されました。他の国であれば国家を打ち砕き、無秩序、大混乱、そして悲嘆をもたらしたであろう事態に、日本国民の皆様は最悪の状況下でさえ静かな尊厳、自信、規律、心の強さを持って対処されました。文化、伝統および価値にしっかりと根付いたこのような卓越した資質の組み合わせは、我々の現代の世界で他に見出すことはほぼ不可能です。すべての国がそうありたいと切望しますが、これは日本人特有の特性であり、不可分の要素です。このような価値観や資質は、昨日生まれたものではなく、何世紀もの歴史から生まれてきたものなのです。それは数年数十年で失われることはありません。そうした力を備えた日本には、非常に素晴らしい未来が待っていることでしょう。この力により日本は歴史を通じてあらゆる逆境から繰り返し立ち直り、世界で最も成功した国のひとつとして地位を築いてきました。さらに注目に値すべきは、日本がためらうことなく世界中の人々と自国の成功を常に分かち合ってきたということです。

 ご列席の皆様。私はすべてのブータン人に代わり、心からいまお話をしています。私は専門家でも学者でもなく日本に深い親愛の情を抱くごく普通の人間に過ぎません。その私が申しあげたいのは、世界は日本から大きな恩恵を受けるであろうということです。卓越性や技術革新がなんたるかを体現する日本。偉大な決断と業績を成し遂げつつも、静かな尊厳と謙虚さとを兼ね備えた日本国民。そして、他の国々の模範となるこの国から、世界は大きな恩恵を受けるであろうと。日本がアジアと世界を導き、また世界情勢における日本の存在が、日本国民の偉大な業績と歴史を反映するにつけ、ブータンは皆様を応援し支持してまいります。ブータンは国連安全保障理事会の議席拡大の必要性だけでなく、日本がそのなかで主導的な役割を果たさなければならないと確認しております。日本はブータンの全面的な約束と支持を得ております。

 ご列席の皆様、ブータンは人口約70万人の小さなヒマラヤの国です。国の魅力的な外形的特徴と、豊かで人の心をとらえて離さない歴史が、ブータン人の人格や性質を形作っています。ブータンは美しい国であり、面積が小さいながらも国土全体に拡がるさまざまな異なる地形に数々の寺院、僧院、城砦が点在し、何世代ものブータン人の精神性を反映しています。手付かずの自然が残されており、我々の文化と伝統は今も強靭に活気を保っています。ブータン人は何世紀も続けてきたように人々のあいだに深い調和の精神を生む質素で謙虚な生活を続けています。

 今日のめまぐるしく変化する世界において、国民が何よりも調和を重んじる社会、若者が優れた才能、勇気や品位を持ち先祖の価値観によって導かれる社会。そうした思いやりのある社会で生きている我々のあり方を、私は最も誇りに思います。我が国は有能な若きブータン人の手のなかに委ねられています。我々は歴史ある価値観を持つ若いそして、若々しい現代的な国民です。小さな美しい国ではありますが、強い国でもあります。それゆえブータンの成長と開発における日本の役割は大変特別なものです。我々が独自の願望を満たすべく努力するなかで、日本からは貴重な援助や支援だけでなく、力強い励ましもいただいてきました。日本国民の寛大さ、両国民のあいだを結ぶより次元の高い大きな自然の絆。言葉には言い表せない非常に深い精神的な絆によってブータンは常に日本の友人であり続けます。日本はかねてよりブータンの最も重大な開発パートナーのひとつです。それゆえ、日本政府、およびブータンで暮らし、我々とともに働いてきてくれた日本人の方々の、ブータン国民へのゆるぎない支援と善意に対し、感謝の意を伝えることができて大変嬉しく思います。私はここに、両国民のあいだの絆をより強め深めるために不断の努力を行うことを誓います。

 改めてここで、ブータン国民から日本国民の皆様への祈りと祝福を改めてお伝え致します。ご列席の皆様、私簡単ではありますが、ゾンカ語、私どもの国の言葉でお話したいと思います。

ゾンカ語の祈り-17秒間-

 ご列席の皆様。いま私は祈りを捧げました。小さな祈りですけれど、日本そして日本国民が常に平和と安定、ハーモニー調和を経験し、そしてこれからも繁栄を享受されますようにという祈りです。ありがとうございました。

「ブータンでの国王夫妻の結婚式には、外国の代表を一切呼ばなかった。・・・」
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第38号(11月19日)
http://www.melma.com/backnumber_190875/

*革命は宮中から。

 ブータン国王夫妻が日本を訪問し、その若々しいお姿も相まって人気を博している。もともとブータン王家は親日的で、昭和天皇崩御の折は先代の国王が自ら訪日し葬儀に参列した。ブータン王国は長らく絶対王政であったが、2000年代に入って立憲君主制に移行している。
 従って今回の訪問の第1の目的は、アジアの立憲君主国としていち早く近代化を成し遂げ、経済的繁栄を獲得した日本を新王妃とともに見学することであろう。その意味では、天皇陛下、皇太子妃殿下がいずれも体調不良で会えなかったのは残念なことではあったが、代わって皇后陛下、皇太子殿下を始めとする皇族の方々の歓待を受けられて満足されたことであろう。
 というのも結婚したばかりの国王は民間から嫁いできた新王妃に、立憲君主国におけるロイヤル・ファミリーのあり方を見せたかったに違いなく、家族で助け合って公務を果たされる皇室のお姿を垣間見ることが出来たのはむしろ収穫であったろう。しかしその国王も宮中晩餐会に防衛相ら大臣が欠席したのを見て顔を曇らせたのではないか。
 ブータンはインドと中国に挟まれた山国であり、チベット系が8割、ネパール系が2割を占める。チベットは中国に軍事占領され、隣国ネパールは毛沢東主義者の反乱で王政が崩壊した。ブータンも中国の脅威が眼前に迫っているのだが、チベットもネパールも大臣・閣僚が中国の情報工作の対象となって政府が崩壊したのである。

 ブータンでの国王夫妻の結婚式には、外国の代表を一切呼ばなかった。呼べば中国の代表も呼ばない訳にはいかなくなる。中国の代表が来れば大臣・閣僚はもとより新王妃まで中国の情報工作の対象になりかねないのである。
 そこで外国政府の要人は一切呼ばず、中国の影響を排除した上で結婚後、第1の訪問先を日本にした訳だ。日本の支援を受けて近代化を成し遂げたいと言う意思は明白であろう。当然中国は面白かろう筈もなく、何らかの妨害工作に出るだろうと思っていたら、案の定防衛相らの晩餐会欠席ときた。

 今回、宮中晩餐会を欠席した閣僚は一川保夫防衛相、山岡賢次国家公安委員長、川端達夫総務相、細野豪志環境相だ。防衛相と国家公安委員長と総務相がブータン国王と疎遠になれば、ブータンは日本から軍事に関連した情報技術の支援を受けづらくなろう。
 一川、山岡、細野は小沢一郎に極めて近い存在である。小沢は人も知る親中派であり、140人もの国会議員を胡錦涛中国主席に握手させ、習近平副主席を天皇陛下に強引に面会させた人物だ。

 ブータン国王の胸中を察するまでもない。歴史を紐解けば分かる、革命は必ず宮中から起こるのだ。

コメント    この記事についてブログを書く
« ヒラリー・ミャンマー訪問 | トップ | 大阪都構想 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治・外交」カテゴリの最新記事