落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

ロシアの挑発

2011年09月20日 | 政治・外交
露爆撃機、日本1周 「前代未聞」露骨な挑発 2011年9月9日(金)08:00
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20110909091.html

 ロシア軍は8日、北海道北東部の日本領空に接する形で設定した訓練空域などで演習を始めた。野田佳彦首相が東京電力福島第1原発を視察する時間帯に合わせ、爆撃機が福島県沖を飛行。日本列島を完全に1周するのは極めて異例で、北方領土付近では空中給油機も合流し、露骨な挑発の意図が鮮明になった。東シナ海では中国軍のY8の情報収集機型が日中中間線を越え飛行。中露ともに野田政権の外交姿勢を試しているとみられる。

 ロシア軍は千島列島周辺とカムチャツカ半島東側の沖合で3カ所、日本海北西部で1カ所に射撃やミサイル発射の訓練海域を設定したことも新たに分かった。
 ロシア空軍の2機の長距離爆撃機TU95は8日午前6時ごろ、対馬(長崎県)の東側から日本領空に接近してきた。九州西方、沖縄本島の南を経由し、太平洋に入り北上した。
 国後島付近で2機の空中給油機IL78と合流、北海道北東部の訓練空域に入った。空中給油をした後、宗谷海峡を抜け、対馬東方まで南下し反転。再び国後島付近まで飛行後、午後8時ごろ帰投した。
 TU95は約14時間にわたり日本領空周辺を飛行しており「前代未聞で今後の動向も予測不能だ」(防衛省幹部)とされる。

 野田首相は午前10時40分ごろ福島第1原発に到着したが、そのころ2機のTU95は福島県沖を北上した。
 藤村修官房長官は「(訓練空域が領空に)ここまで近いのは異例」と述べた。


ロシア機、日本列島を周回=空自がスクランブル-防衛省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201109/2011090801007

 防衛省は8日、ロシアの爆撃機2機が同日、日本列島を周回するように飛行し、航空自衛隊が戦闘機などを緊急発進(スクランブル)させたと発表した。領空侵犯はなかったが、ロシア機が列島を周回飛行するのが明らかになったのは初めて。
 同省統合幕僚監部によると、2機はTU95爆撃機。朝鮮半島の東方から編隊で飛来し、沖縄本島付近まで進んだ後、太平洋を北上。樺太付近から再び南下し、日本列島を一周する飛行経路をたどった。
 その後、2機は日本海上空を北上し、ロシアへ向かったという。オホーツク海上空では、別の2機による空中給油も確認された。 (2011/09/09-00:10



ロシア軍、日本周辺で挑発継続 力誇示し領土問題優位に 2011.9.17 22:09
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110917/erp11091722120006-n1.htm

 今月に入りロシア軍が日本周辺で挑発を繰り返し、カムチャツカ半島では21日までの予定で大規模演習を続けている。異例の事態に緊張を強める海上自衛隊は17日も電子偵察機EP3、画像データ収集機OP3を飛ばし情報収集に当たった。防衛省は一連の行動について「強いロシア」を誇示する狙いがあると分析。海軍力を増強し北方進出ももくろむ中国を牽(けん)制(せい)しつつ、日本に中露との「二正面作戦」を強い、北方領土問題で譲歩を引き出す「外交カード」として利用する思惑も指摘されている。日露双方の動きを検証した。

 ■初物づくしの演習
 「日本領空に接している」
 6日夜、航空自衛隊幹部はロシアからの航空情報に驚いた。同日午後8時36分、成田空港(千葉県)にある「航空情報センター」に届いた通知は、8日午前10時から午後3時まで北海道沖を訓練空域として設定するとしていた。8日は空軍爆撃機が日本周辺を1周半近く飛行した。東日本大震災の被災地である仙台沖を旋回した後、設定した空域で空中給油をし、さらには竹島沖をぐるりと回った。
 翌9日には海軍艦艇24隻が太平洋への出口に当たる宗谷海峡を通過した。海自幹部は「海峡を通過するときから対潜水艦戦訓練を始めていた」と明かす。艦隊はカムチャツカ半島東部に向かい、兵員1万人、艦艇50隻、航空機・ヘリ50機を投入した演習を行った。
 ロシア軍の動きに対し、自衛隊は警戒監視を行うとともに、緊急発進(スクランブル)も行った。さらに爆撃機への空中給油の瞬間も撮影した。

 ■中国牽制の狙いも
 空自幹部は「日本の庭先に訓練空域を設け、空中給油というメーン・イベントを仕掛けた」と話す。航空戦力をより遠方に展開できるようになったことを誇示するデモンストレーションだったとの見方だ。
 空自OBは「中国を牽制する狙いもあった」と指摘する。中国は太平洋への出口として宗谷海峡の通過も視野に入れているとされる。北極圏開発への積極的な関与も目指している。北極圏に利害を持つロシアは中国の動向に神経をとがらせている。
 資源輸出をてこにした国力回復に伴い、予算が潤沢になったロシア軍は、2007年から戦略爆撃機の長距離飛行を再開させ、原子力潜水艦の展開も活発化させた。10年6~7月には択(えと)捉(ろふ)島(とう)にも1500人の兵員を動員した大規模演習を極東地域で行った。今回の演習は海・空戦力を投入した極東での大規模演習の「常態化」をうかがわせる。
 来年3月の大統領選で、再選に意欲を示すドミトリー・メドベージェフ大統領(46)が強い指導者像を国民にアピールするため、再び示威行動を指示する可能性があるという。

 ■対処と抗議不可欠
 「ロシアは伝統的に『力の信奉者』で、弱体化した国に矛先を向ける」
 防衛省幹部が語るように、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で日米同盟はきしみ民主党政権は不安定な状況が続く。「南」で中国が航空機や艦艇による威嚇を繰り返す中、「北」でロシアの挑発も続けば、自衛隊は「二正面作戦」を強いられる。
 「ロシアは日本の苦境をつくりだした上で、挑発を緩めるかわりに北方領土の返還要求などを控えさせる外交カードに使うのでは」
 空自幹部もそう予測する。ロシアの挑発に日本政府は明確な抗議はしていない。防衛省OBは「安全保障上、最大の失策」と断じる。反応がなければロシアが挑発をエスカレートさせかねない。このOBは「揺るぎない対処と断固たる抗議が不可欠だ」と強調する。(半沢尚久)

軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹氏の分析
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第26号(9月20日)
http://www.melma.com/backnumber_190875/

*ロシア軍がやって来た。
 今月8日、ロシア空軍の戦略爆撃機ツポレフTu95通称ベア、2機が日本列島を丸々一周するという異常な行動に出た。今まで日本を半周することはあったが、丸々一周するというのは初めての事で、日露史上で言えば昭和20年(1945)のソ連軍の千島侵入以来の暴挙と言っていい。ただし事件の性質としては、ソ連の日本侵攻の予兆となった張鼓峰事件(1938)に比せられるべきであろう。
 「成立したばかりの野田政権の出方をロシアが伺った」という見解が一部マスコミで示されたが、精緻に見ればそんな生易しい事態ではないことが分かる。日本はまさに周辺国によって分割される寸前と言っても過言ではない。
 奇怪な点の第1は、その侵入路だ。爆撃機は北朝鮮方面からやって来て対馬を抜け沖縄を迂回している。先月24日にメドベージェフ露大統領と北朝鮮の金正日総書記の会談がロシアの軍事基地で開かれ、天然ガス・パイプラインを北朝鮮さらには韓国まで引くことで合意している。従ってロシア機の行動は「朝鮮半島はロシアの勢力範囲に入りつつある」との示威であろう。

 奇怪な点の第2は、同日、中国の偵察機Y8が東シナ海の日中の事実上の境界線を越えて侵入している点だ。まさに日本は露中両国から袋叩きにされた格好だが、中国軍機の行動は日本を叩くというより寧ろロシア機の行動に反応したものと見た方がいい。
 と言うのも8月31日、ロシア海軍は日米と合同訓練を示唆した。日米は何も聞いておらず一方的な宣言なのだが、そのロシアの軍艦の名前がワリヤーグだと言うのである。言う迄もなく同月10日に中国が就航させた空母の旧名もワリヤーグだ。つまりこのロシアの発表は「ロシア海軍は日米と同盟して中国に当たると言っている」のも同然なのである。
 実際には露艦ワリヤーグを中心としたロシア艦隊は9月8日から北海道北東で軍事演習に参加しており、露軍機の日本周回もその演習の一環だったわけだ。つまり中国からすればこの露軍機は中国を標的に行動している事になるのである。

 奇怪な点の第3は、米国の沈黙だ。ロシア軍の極東における異常な行動に対して、在日米軍、在韓米軍を維持している米国が殆ど何も反応していない。これは黙認しているとしか考えようがない。
 ロシア軍が一方的な宣言をした8月31日、ロシアではプーチン首相臨席のもとロシア最大の国有石油企業ロスネフチと米国石油最大手エクソン・モービルの提携の調印式が行われていた。

 一説には米国は世界最大の産油国サウジアラビアの民主化を決意していると言われる。さきにリビアが民主化の名のもとに内戦となり、石油の供給が停止している。これでサウジの石油の供給が停止すれば原油価格の急騰は必然で、米国としては世界最大の資源大国ロシアとの同盟は絶対に必要となる。
 つまり米国とロシアの同盟の基本的な道筋ができており、それ故に米国はロシアの極東における軍事覇権の拡大を容認したと見るべきであろう。
 しかしながら野田総理の完黙はどういう訳か?不法占拠している北方領土を基点としたロシアの軍事演習は我が国として断じて容認出来るものではないし、米国がもし容認したとするなら許しがたい背信であろう。自衛官の息子である野田総理がこの事態を容認するとするなら、今回の事件で最も奇怪な国は他ならぬ日本だということになる。

 チャンネル桜で同様の話をした。16日放送、17日YouTubeにUPだが、18日の産経新聞一面トップは「ロシア軍 日本周辺で挑発行為継続」の記事。私の話を参考にした様にも見受けられる。それはそれで結構なことだが、もしコメントを引用しているなら、一言断りが欲しかった。
http://www.youtube.com/watch?v=mmMWiDxl5zY&feature=mfu_in_order&list=UL

訓練か偵察か知らないが、前代未聞といわれる露軍の露骨な挑発に空自はスクランブルを行った。
しかし政府及び野党の反応は鈍い。領空侵犯がなかったから?
産経は上記のように報じたが、他のメディアはどうなのか。
この国は大丈夫なのであろうか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿