落葉松亭日記

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中国後退

2018年10月28日 | 政治・外交
中国は「一帯一路」が思うように進まず、米中貿易戦争で打撃を受け、明らかに後退局面に入った。
安倍訪中で、日本は云いたいことを云えるようになったのではないか。
【日中首脳会談】日中外交の転機となるか 中国の苦境見透かし、人権・東シナ海で懸念表明2018.10.28 05:01
https://www.sankei.com/politics/news/181028/plt1810280003-n1.html

写真:北京市内の売店に並べられた日中会談について報じる中国紙=27日(共同)

 日本の首相として7年ぶりとなる安倍晋三首相の中国公式訪問はおおむね成功したといえる。中国の習近平国家主席、李克強首相らの熱烈な歓迎ムードに乗せられることなく、ウイグル族弾圧など中国の人権問題や、東シナ海・南シナ海での軍備拡張など懸念を率直にぶつけ、冷や水を浴びせたことは特筆に値する。中国の顔色ばかりをうかがってきた日中外交は転機を迎えている。(原川貴郎)

 米中貿易戦争で経済的な打撃を受けている中国にとって、安倍首相とトランプ米大統領が対中外交でも足並みをそろえることだけは何とか避けたい。安倍首相が6年前に首相に返り咲いた後、徹底的に批判を続けてきた中国側が、手のひら返しで安倍首相を歓迎したのは、日米を離反させ、経済協力を引き出したいという思惑があったからだ。

 安倍首相はそれを見透かした上で、経済協力とてんびんにかけるように、懸念を率直にぶつけた。

 李首相に対しては、ウイグル族弾圧を念頭に「中国国内の人権状況について日本を含む国際社会が注視している」と直言した。この時ばかりは李首相から笑顔が消え、渋い表情だったという。

 習主席に、スパイの疑いで拘束されている邦人について「前向きな対応」を求めたことも大きい。習主席は「中国の法令に基づいて適切に対処する」と述べただけだが、トップ会談の議題に上がったことで事態は好転する可能性が出てきた。

 安倍首相が習主席、李首相それぞれに提起し、同意を得た3つのコンセプトにも大きな意味がある。

 「競争から協調へ」「脅威ではなくパートナー」「自由で公正な貿易体制の発展」-。安倍首相は「新3原則」と名付け、「これからの日中関係の道しるべとなる」とした。今後、中国が、「脅威」となる行動を取ったり、自由・公正な貿易を阻もうとした場合、この新3原則が「錦の御旗」となりえるからだ。

 一方、安倍首相の思うように進まなかった案件もある。東シナ海でのガス田共同開発もその一つ。日中両政府は、日中の境界線画定までの措置として、平成20年に共同開発する方針で合意しながら、交渉は止まったままとなっている。

 李首相は、安倍首相との会談で交渉再開に前向きな姿勢を示したが、その後、発表された成果文書では「(共同開発の)実施に向けた交渉の早期再開を目指して意思疎通をさらに強化していくことで一致した」と後退してしまった。


河野太郎外相、中国側に尖閣周辺ブイの撤去要求 2018.10.26 23:16
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/181026/plt18102623160030-n1.html

 河野太郎外相は26日、北京で中国の王毅国務委員兼外相と会談し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で中国が設置したブイの撤去を求めた。王氏は直接回答しなかったが、東シナ海問題などを念頭に意見の対立を適切に処理していくよう強調。両者は東シナ海を「平和、協力、友好の海」にしていく決意を確認した。外務省によると、ブイは日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置された。(共同)

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル第350号(10月28日)
http://melma.com/backnumber_190875/

一帯一路の破綻

 今回の安倍総理と習近平主席の北京における会談は、1989年のマルタ島における、ブッシュ、ゴルバチョフの米ソ首脳会談に匹敵する。言う迄もなくこの米ソ会談は、米ソ冷戦の終結を宣言したものであり、米国が対ソ封じ込めから対ソ経済支援に転換した。
 そして2年後の1991年にソ連は崩壊した。つまりマルタ島での米ソ会談はソ連の破産宣告に他ならず、ソ連経済が米国の管理下に置かれたのである。同様に今回の日中会談は中国の拡大主義である一帯一路政策の破綻を宣言し、中国経済が日本の管理下に入った訳だ。

 米中貿易戦争というと、あたかも米中の貿易を巡るもめ事の様に矮小化されてしまうが、実態は米国を中心とした世界各国による対中包囲である。それは米ソ冷戦が実態としては米国を中心とした世界各国による対ソ封じ込めであったのと同様だ。
 日中通貨スワップは、人民元暴落の予防措置だが、SDR入りした筈の通貨が大暴落の予兆に怯えている。つまり世界通貨としてもはや信任されなくなり、日本円の権威にしがみつく形となった。
 日本円が何故そんなに権威があるのかといえば、在日米軍により日本の安全が完璧に保障されているからに他ならない。だからこそ、世界的な経済危機に際しては、日本円は値上がりをする。世界中が安全な通貨を求めるのである。要するに人民元は在日米軍の軍門に下ったのだ。

 日中第三国市場協力フォーラムは、日本の企業が一帯一路の破産管財人となる民事再生機構である。民事再生とは、日本でもバブル崩壊後の金融危機でお馴染となったが、破綻した企業の切り売りである。つまり日本のハゲタカが中国の死肉をついばみに行った訳だ。
 もちろん、こうした日中接近を米国が快く思う筈はないとの警戒論にも一理あるが、安倍総理がトランプの了解なしに動いているとは考えられない。むしろ日米が連携して中国の解体作業に乗り出したと見るべきであろう。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「戦争の常識」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1494517092
上記動画のテキスト本
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265

動画配信中:「地政学入門」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1475838508
上記動画のテキスト本
「領土の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089

動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
上記動画のテキスト本
文庫「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/

動画配信中:「現代戦闘機ファイル」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
上記動画のテキスト本「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html

動画配信中「よくわかる!ミサイル白書」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409
上記動画のテキスト本「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
2017年12月、韓国で韓国語訳が出版。
その他の著書:
「国防の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167 「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)



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