「石狩平和」、三度目の読了

これまで何度か記してきたが、船山馨という人のこの小説、三回読んだことになる。北海道の歴史が日本の歴史と重なって、この中で生き抜くたくさんの人たちの生き様が実に見事に感動的に描かれている。特に主人公の女性鶴代の70年余の人生が大きなテーマだ。

メモによると第1回目は1996年だった。第2回目が2016年。
下巻の後半はあの大戦。戦争に不安と不信をもち、それを口にするごとに厳しい攻撃をうけながら、必至になって関係の人たちの命を心配しながらしかしそのまわりの人たちは皆死んでいく。

最後は、札幌から東京に出て、1945年の春、猛烈な空襲を体験する鶴代の動きが、自分の母親の心と行動が重なる。

若い世代に是非読んでもらいたい大河小説だが、一巻800ページ前後ある文庫本2冊を読み切るというのは容易ではないかも知れない。世界と日本の近代史の知識が多少は必要だし、さまざまな関心が重なることへの好奇心も必要だ。まあ小説というのはオモシロイ、興味が続くということにつきるだろうから、歴史の中で苦闘し、生きながら共に成長していく女性への興味・関心があれば読み切ることができる。小さくない感動を体験するに違いない。

また80歳代が終わらない頃4回目を考えるだろう。
この作家が書いたものとしては他に「お登勢」がある。これも再度読み返したい。この作家の人生もいろいろ波瀾万丈があったようだ。
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