ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

竜の地名を歩く(4)

2012-02-08 10:10:06 | 四方山話
今回は我が家からも近い「竜」の名をもつ名所です。

奈良県生駒郡斑鳩町「龍田」



いうまでもなく紅葉の名所で、
「千早ぶる 神代も聞かず竜田川 から紅に水くくるとは」在原業平
「嵐吹く 三室の山のもみじ葉は 竜田の川の錦なりけり」 能因法師
「竜田川 もみぢ葉流る 神なびの みむろの山に 時雨降るらし」詠み人しらず
など、数々の名歌で知られるところ。



この写真では「紅葉まつり」(11月後半の連休頃)の準備が行われています。正面に見えるこんもりした丘・三室山周辺はサクラの名所でもあります。



東側高台に登っていたところ。美しい紅葉の間に信貴山が見えます。背後には山を切り開いて、すぐ近くまで新しい住宅地が迫っています。



同じ生駒郡ですが、少し離れた三郷町「立」野にある龍田大社。ここも紅葉の名所です。
崇神天皇の時代に凶作が続き疫病が流行したので、天皇が祈願したところ、「天御柱命・国御柱命の二柱の神を龍田山に祀れ」という夢のお告げによって創建されたといわれます。
なお斑鳩町にもここと同じ崇神天皇創建の龍田神社があり、法隆寺の鎮守社とされていました。しかし、明治の廃仏毀釈で、この本宮の摂社となっています。(大正以降は独立して現在は県社の格)



モミジやカエデの樹に囲まれた広い境内のを拝殿に向かいます。玉砂利を踏んで進むと左手に手水舎、右手には社務所があります。(写真は社務所横のカエデ)



拝殿から本殿を拝みます。龍田大社は「風神様」とされていて、日本書紀天武天皇紀に「4年(675年)4月10日に勅使を遣わして風神を龍田に祀らせた」の記事があります。この辺りはかって、風の通り道だったのでしょうか?



拝殿の吊り灯籠。珍しい木製でモミジの葉が彫られています。



なお、この龍田大社近くから河内(国分・柏原)に抜ける街道は古来「龍田越え」と言われました。現在、国道25号線が通る大和側南岸沿いの「亀の瀬」越えの他、北岸の山地「龍田山」越えの道も使われていました。
この河内古市郡の嶽山から竜田山にかけては、古代に製鉄・鍛冶が盛んであった地域と言われています。

製鉄と龍(蛇)との関わりを示す伝説は、わが国でも出雲、三輪などに見られます。この「龍田」の地名も、製鉄と何らかのつながりを示しているのではないかと想像しています。