ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

2月23日は富士山の日

2012-02-22 15:56:11 | 読書日記
昨2011年12月、静岡県と山梨県が毎年2月23日を「富士山の日」とすることを条例で制定しました。世界遺産への登録を目指して、単なる語呂合わせから本格的なイベントへと動き出したようです。昨年は私たちの登った「ふるさと富士」を見て頂きました。
今年はわが家にある「富士山をテーマにした本」の一部を、発行年の古いものからご紹介します。



泉 晶彦著 「富士霊異記」-湖・山頂・樹海の神秘  昭和49(1974)年 白金書房 B5判
「富士山は天孫降臨の聖地であった」にはじまり「河口湖の小島には古代人がいた」(第1章 富士山を巡る人と伝説)、「富士山のクマは葬式をする」「フジギツネは尻尾から火を出して人を騙す」(第2章 富士山に棲む生物たち)「UFOは富士に集中して飛来している」「富士五湖には河童がいるという噂がある」「富士山麓にはウロコ人間がいる」(第3章 富士山の超科学現象)と目次のごく一部を列挙すると、興味本位のいい加減な本のように見えます。
 しかし、著書の本当に書きたかったのは、第4章の「富士山の地質と気象」だったのは明らかです。過去の富士山噴火の歴史から近い将来の大噴火を警告し、大沢崩れや砂走りに富士山崩壊の予兆を見、「富士山の自然破壊は東海の水産資源を壊滅させる」が最後の節になっています。すでにプロローグで「富士山信仰の衰退は日本を滅ぼす」と語った筆者の「(これまで)必要以上に富士山から奪うことをせずに自然を保全してきた」畏敬の対象・富士山への思い、「富士山に慈悲を」の悲痛な自然保護の訴えとして、この本読みました。



朝日新聞社編 「富士山全案内」All About Mt.Fuji 昭和60(1985)年 A4変形
山麓一周のウォーキングに始まり、サイクリング、ドライブ、各登山口からの登頂コースなどのガイドから、植物・動物・気象・地質の自然、文学・芸術・宗教の文化面など様々な角度から富士山を紹介しています。
富士山周辺のビューポイントも参考になりますが、私には特に「富士山の好展望台50山」が興味深かったです。この本のお蔭で青笹、浜石岳、竜爪岳、パノラマ台、足和田山、大菩薩嶺、石割山…など、いくつかの山の名を知り、登頂することができました。



大貫金吾著「限りなきオマージュ『富士山』400回までの登頂記録」 2001年 ごま書房 B5判
1930年生まれの著者は25歳の時、初めて富士山に登ります。65歳のお母さんが「生きているうちに富士山に登りたい」と言われたことがきっかけでした。その後400回を数えるまで47年間の登頂の様子を毎日克明に記録。本書には、そのうちの約4割が掲載されています。気象条件によって同じ季節でも異なった顔を見せる富士山に、バリエーションルートを含む様々なコースから登頂することで、「ひとつとして同じ顔のない感動のドラマ(帯の推薦文より)」が展開します。11回に及ぶ元旦登山、田子の浦から剣ヶ峰往復…とにかく凄い記録の連続です。
大貫さんには2004年10月、富士宮口登山道の七合目で立ち話をして以来お目にかかっていませんが、今も元気で登り続けられていることと思います。



NATIONAL GEOGRAPHIC  特集「日本のシンボル」富士山 平成14(2002)年8月号 雑誌
表紙写真の元となった特集最初のページの写真には、上部の富士山に「日本を象徴する神聖なる山」、下部の人形に「-そしてその世俗的な面」の文字が入っています。娯楽施設(これは前年既に閉園になっていたテーマパークのガリバー)が神聖な山の周辺にあることを揶揄しているような写真です。
 しかし全体の内容は、富士を愛する日本人の心を見事に伝えています。世俗的というのは、富士ゼロックスや富士フィルムのような大企業を始め数百の会社、商品のロゴに使われていることの他、富士急ハイランドや富士サファリパークなどの商業施設が周辺にあること…などですが、これも「地元の雇用維持に欠かせない役割」と好意的です。写真もこの一枚を除けば、「富士山御神火まつり」「積雪期の上空からの火口」「午前2時山頂を目指す人の列」などみな美しいものでした。
筆者は二度目の富士登山を果たし、ご来光を見る人たちの万歳を聞き、小児ガンの人々の富士登山イベントを取材して、記事の最後をこう締めくくっています。「『富士に二度登るバカ』という言葉を改めるべき時ではないか。私は富士に登る機会を再び与えられたおかげで、気がついたのだ。多くの人々が日本の象徴である富士と対峙して自分を見つめ直すことで、精神的にひとまわり大きくなるということを」。
それだけに、この表紙は返す返すも残念です。



畠堀操八著 「富士山村山古道を歩く」 平成18(2006)年 風濤社刊 B5判
「村山道」は1000年前の平安末期に開かれた最古の富士山登山道です。海抜0メートルの田子の浦から村山浅間神社、さらに旧三合石室を経て新六合目・現在の富士宮登山道まで。かって村山修験と呼ばれた人だけでなく、江戸時代には英国公使・オールコックを始め、多くの人がこのルートを辿っています。100年前に廃道になっていたこの古道を、地元・村山の人とともに復活させたのが畠堀さんです。
この本が出版された年の9月、いつもお世話になる富士宮新六合目の宝永山荘でたまたま隣り合わせに寝ることになり、そのとき売店に置いてあったこの本にサインして貰いました。彼は多くを語りませんが、後で本を読んでみて、生い茂るスズタケやブッシュ、倒木と戦いながら道を切り開いていく様子に大きな感動を覚えました。
昨(2011)年9月、仲秋の明月の夜に数人のパーティで古道を登ってきた畠堀さんと山荘で再会。月光の下で「村山古道」に対する行政の動きへの不満など、いろいろな話を聞かせて頂きました。
*「村山古道」に対する行政の動き=1.静岡森林管理署は「国有林への立ち入り禁止」を主張し、地元民の立てた道標の撤去を求めている。 2.世界文化遺産の登録を前に。「修験道遺跡」の保護と調査を理由に、地元住民を含めた村山古道への立ち入り禁止を求めている。など…詳しくはこちらをご覧ください。




小林朝夫著 「富士山99の謎」   平成20(2008)年  彩図社  文庫
副題に「知れば知るほど魅力が増す富士山の秘密」とありますが、「謎」というには大げさなほど常識的な話題が多い、いわゆる雑学本です。たとえば「富士山にはゴミが溢れている!」「ブーム必至?富士山ナンバー!?」「富士山がよく見えるのはいつ?」「富士登山に必要なものは?」「山頂お鉢巡りとは?」。!や?は付いていますが、謎でもなんでもないでしょう。1~2ページのコラムの集積で、最後の99番目の謎は「山頂ラーメンのお値段は?」でした。
BOOK OFFで105円で買った本ではありますが、拾い読みしてみると新しい発見もあります。「富士山の日」を最初に制定したのが、富士河口湖町であることを始めて知りました。



実川欣伸著「富士山に千回登りました」 平成23(2011)年 日本経済新聞出版社 日経プレミアシリーズ

この本については昨年9月4日に、このBLOGでご紹介しました

その最後に「今年も宝永山荘で、この素晴らしい笑顔に出会えることを楽しみにしています。」と書いたのですが、その通りに昨年の富士山登山で偶然、別のルートから下りてきた実川さんにバッタリ出会い、一緒に宝永山荘に入りました。奇しくも彼の「1111回目」の記念すべき登山の後でした。(この時の様子はこちらで…)。その後も、着々と記録を更新中と思います。またエベレストへの挑戦も楽しみにエールを送ります。

古民家でひな祭り(2012.02.21)

2012-02-22 07:00:00 | 今日の大和民俗公園


今年も大和民俗公園の旧臼井家で「古民家でひな祭り」が開かれています。



ウォーキングの途中に見せて頂きました。



今年のウエルカム・ボードはタイサンボクの実で作られた「鶴とウリ坊」



これは木にあった頃の実(2011.11月)



そして芳香を放っていた花です。(2011.6月)



竹のお雛様はお顔を隠しているよう…(写し方が下手なだけですが)



お雛様を見たあと公園内を一周。旧松井家では屋根の葺き替え中でした。