ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

斑鳩の里から松尾山へ

2012-09-28 11:30:03 | 矢田だより

 

素晴らしい秋晴れの朝、斑鳩町営駐車場に車を置いて、いったん山とは逆の南方に向かいます。
道の左側にずっとコスモスが並んでいます。石垣の上でお爺さんとお婆さんが仲良く腰を下して畑を見守っていますが、これは案山子です。

斑鳩神社の前を通って広い道に出て、初めて山に向かいます。ゴルフ場を抜けると松尾寺へ十三丁の参道、ようやく山道らしくなります。歩き始めて40分、松尾寺の南門をくぐります。この門の板彫は風神雷神。これは左の風の神です。
 

毎日歩いている人たちは殆ど松尾寺に参拝すると下山するようですが、私たちはここの三重塔横から旧峰入り修行道を松尾山三角点(315m)へ登ります。
 
 
下りは舗装の林道を下って、北側山門をくぐったところで霊水「松尾の水」を頂きます。
 

同じ道を下ります。四丁近くの♀ペンが大好きな露岩の急坂。

 
法輪寺三重塔の見えるところまで帰ってきました。
 

幸田露伴の著作で知られる塔は戦時中に落雷で焼失しましたが、昭和50年に昔の姿に再建されました。

ちょうど二時間歩いて、帰り道に法起寺近くのコスモス畑に行きました。
日本最古(706年)の国宝三重塔をバックにしたコスモス畑には、最盛期には大勢のカメラマンが押し寄せるのですが、今日はまだ時期が早いようで二、三人の人影が見えるだけでした。
 

秋分の矢田丘陵(2012.09.25)

2012-09-25 12:12:03 | 矢田だより

 

今朝はゆっくり起きて、朝食も済ませてから矢田丘陵を歩きました。コスモスの花が青空に向かって、矢田山と背比べしています。
 

いつもの「お地蔵さんの辻」に車を置かせて貰います(6時50分)。稲穂も次第に黄金色に色付いてきました。
 

東明寺の近くで、ギンリョウソウもどきが頭をもたげていました。
 

「こどもの森」分岐から矢田山最高所へ。矢田山の気温20℃。ちょうど快適な温度です(7時50分~8時)。
 

縦走路を南へ。南僧坊池近くで、こんなキノコが顔を出していました。
 

国見台近くの分岐(8時45分~8時50分)。今日は松尾山は割愛して、ここから急坂を下ります。
 

丘陵のあちこちで色んなキノコを見ました。こんな色鮮やかなキノコも…。
 
 
矢田寺近くのヒガンバナは、名前の通り今が花盛りです。
 

矢田寺(9時20分)。本堂の朱色が青空と緑の山肌に映えています。右は鐘楼です。
9時35分、駐車場所に帰り、爽やかな朝の散歩を終えました。

ホームページ更新しました(2012.09.24)

2012-09-24 10:06:06 | パソコン日記

 

 「ペンギン夫婦お山歩日記」の「奈良百遊山」に関連するページとして、「奈良百遊山プラス10」

 http://mountainpenguin.web.fc2.com/nara100N/nara100plus10.html

を追加しました。
 
まだ工事中ですがまずは「山上ヶ岳」http://mountainpenguin.web.fc2.com/nara100N/101sanjyo/101sanjyo.html
をご覧ください。山上の行場修行、奥駆道の様子なども写真と文章でご紹介しています。

小さな庭の小さな秋(2012.09.24)

2012-09-24 09:04:53 | 我が家の歳時記

 昨夜、おそらく今年最後になると思われる月下美人がひっそりと咲きました。


 
今朝は爽やかな秋晴れです。庭の隅でワラベノカンザシが咲いています。
 

毎年この時期に咲きますがなんという名前でしょう?野草ではノギランに似ていますが…
「丹波のたぬきさん」から「斑入りのヤブラン」と教えて頂きました。ありがとうございました。
 

ホトトギスの葉っぱが坊主になっていると思ったら、こんな綺麗な毛虫が何匹も…
 

シュウカイドウは次々に咲き続けています。

今日は秋分(2012.09.22)

2012-09-22 11:30:13 | 今日の大和民俗公園

いつものように朝5時から1万ウォーキングに行きました。公園を一周し終える頃から、ようやく陽が昇ってきます。二周目は写真を撮りながら寄り道したりして、いつもより少し長く歩きました。

 
秋分というのにサクラが咲いています。四季桜というのでしょうか、十月桜でしょうか?
 
 
素晴らしい香りを放つエリカも、一年に何度か花を咲かせます。
 
 
 
ハギの花は盛りを過ぎて散り始めました。それでも、こんなに鮮やかな色の花も…
 

花菖蒲園のゲートを飾る時計草です。
 

近くで見ると、こんな複雑な形をしています。
 

スイフヨウ(酔芙蓉) お酒に酔った人の顔の色のように…
 

朝には白い花が次第に赤い色に変わっていきます。他にもコスモスやケイトウなど秋の花がたくさん咲いていました。
しっかり歩いても、それほど汗もかかず、羽虫も少なくなって本当にいい季節になりました。
 

今年も秋の富士へ(3)

2012-09-19 15:28:06 | 山日記

 

実際の日本最高地点(3776m)は碑の右手の二等三角点(3775.63m)から10メートルほど離れた絶壁の上にある。赤いペンキのマークがあり、なぜか溶岩の上や隙間に硬貨が散らばっている。前後して登ってきた若い夫婦も5円玉を置いていた。
 その前の旧測候所横で腰を下す。富士での昼食は日持ちがいい「柿の葉寿司」に決めている。身体をずらして二人分のスペースを作ってくれた人はJAC埼玉支部の方で、東チベットの山へいくための高度順化で来たと話された。関西の山の話などして、お鉢巡りに行かれるこの人とお別れする。 
 
 
 
 次々と登ってくる人と行き交いながら山頂を後にする。埼玉支部の人の姿が、はるか遠くに小さく見える。凄いスピードだ。私たちは今年はお鉢巡りも御殿場道下りもせず、まっすぐ同じ富士宮道を下る。再び浅間神社に拝礼して、ちょうど正午に鳥居を潜り下山にかかる。
 

左目を悪くしてから遠近感が悪くなり段差が気になる。要らぬ力が入って浮石に足を滑らせたりする。さらに次々と登ってくる人に道を譲るために立ち止まることが多く、なかなか捗らない。♀ペンに介護して貰うように下り、九合目でしばらく休む。ここでM夫妻から無事に宝永山荘に帰着していると連絡があり、ひと安心する。
 

下りでも何人もの人に追い抜かれたが、もう当然のことと道を譲るようになった。八合目では、小屋の石垣に沿ってイワツメグサがいくつも群落を作って咲いていて、目を慰めてくれた。
 傾斜の緩いブル道に入るグループもいたが、一度その長さに懲りているので、溶岩が転がるガラガラだが短い登山道を下る。七合目の下で本日二度目の登頂を目指す実川さんが登ってきた。確かに真似のできぬ凄い人だ。
 

赤い溶岩とオンタデの緑の間にヒバリのような鳥が歩いている。Mさんの話によると、富士山ガイドの人からカヤクグリという名と聞いたそうだ。
 宝永山荘に帰り着いたのは午後4時。この夜は外国人も含め十数人の宿泊客に加えて、星を見に上がってきた地元の若い学生グループもあり、山荘は大忙しだった。そのなかで弘子オカミや娘のタマ(環)ちゃんが何かと気を配ってくれて、生ビールで乾杯していると鴨肉のローストまでサービスしてくれた。M夫妻もすっかり元気回復して、楽しく語り合いながら山の夜を過ごした。
 

9月16日 快晴で明けた。5時45分、宝永山の肩から太陽が昇る。山荘の前を続々と人が通る。山荘とバイオトイレの間にある登山禁止標識の付いた柵に戸惑う人が多い。柵を攀じ登って越えようとする人も多く、炊事場の窓からオカミが声を枯らして迂回するように伝えている。朝食までしばらくの間、前のベンチに座って交通整理の真似事をして迂回路を教える。睨みつける人もいたが殆どの人が感謝してくれた。小屋の人と間違えてトイレ代200円を渡す女性もいた。
 

殆どの人が山荘を出たあと、いつまでも手を振る山荘の人達に来年も来ることを約束して下山する。
 五合目標識の上でもう一度山頂部を振り返って、駐車場に帰る。広い駐車場はびっしりと車で埋まり、私たちが車を出すのをじっと待っている車がある。「靴を履きかえたり時間がかかりますよ」というと「いつまででも待ってます」という返事が返ってきた。それもその筈、駐車スペースはずっと下まで車で埋まり、その先、「駐車場まで1キロ」の標識まで路側に車の列ができている。こんな光景は初めて見たので驚いたが、一番ひどい時は9キロ先まで並んだことがあるそうだ。スカイラインを下る間にも次々と車が上がってくる。
 
 
フジアザミ
 
 
メイゲツソウ 高山性のイタドリ。
 
 
ノコンギク
 
 
ミヤマアキノキリンソウ。低地のアキノキリンソウの高山種
 
 
テンニンソウ
 
今日は見事に晴れ渡り、車窓からは遠くの山並みまでがくっきりと見通せる。スカイラインの両側にはオミナエシやアキノキリンソウを始め、秋の花々が咲き誇っている。車を止めて貰って、しばらくは可憐な花の姿をカメラに収めた。
 

高鉢の駐車場でもう一度車を降りて、真っ青な空を背にした富士をふり仰ぐ。六合目から頂上に向けて点在する小屋の屋根が光っている。あんなに高い所にいたとは信じられぬほどの高さである。
 

スカイラインを下りて市街地に入っても、富士は何時までも見送ってくれていた。「富士登山口」交差点に近い温泉施設「花の湯」へ寄る。ところが着いたのが、一日23時間営業が終わり掃除タイムの始まる9時だったので、待つ間に浅間大社へ参拝する。下界は焼けるような暑さで、参道脇のハギの花が冷たい堀の水に体を冷やしているように思えた。

「花の湯」で山の汗を流し、帰りは新清水から新東名道を走る。先週、御殿場へ来ておられるMさんお勧めの静岡SAで名物の「桜エビ」を賞味して、三ヶ日からは往路と同じ経路でMさん宅へ帰った。
 Mさんには長時間の運転をお願いして、さぞ疲れられたことでしょう。四人揃って登頂できなかったのは残念でしたが、お二人には富士山の雰囲気をゆっくり味わって頂けたと思います。お嫌でなければ、また来年ご一緒しますのでリベンジしましょう。

今年も秋の富士へ(2)

2012-09-18 20:16:57 | 山日記

 

9月15日 ご来光を目当に登っていく何人もの人声が、夜の間ずっと山荘の外から聞こえていた。
 4時前に起き出して身支度を済ませ、山荘の渡井夫人の見送りを受けて外にでる。もう一人の宿泊客は、一足早く挨拶して出て行った。眼下に町の灯りがほの明るく、空には星が見え隠れしている。夜半の強い風は収まったが、上空には薄雲がかかり少し風もあるらしい。4時35分、ヘッドライトの灯りをたよりにスタート。宝永山の方へお中道(遊歩道)を少し下り、左手の山腹への踏み跡に入る。すぐに正規の登山道と合流して、ごつごつした赤い溶岩の道を登る。
 5時を過ぎて東の空が明るんでくると、金時山、箱根連山の姿が黒く浮かび上がってきた。
 

元六合の小屋が撤去されてから、七合目への道程はより長く感じるようになった。起き抜けで身体が目覚めないうちの最初の急登は、いつも少しこたえる。今回は初めてのM夫妻も一緒なので、できるだけ時間をかけてゆっくり歩く。
 すっかり明るくなってヘッドライトを消す。見上げていた右手の宝永山(2693m)が次第に目の高さになり、やがて見下すようになった。その肩からご来光が見える筈だが、今日は雲が厚く望めない。その代り眩しくなくて助かる。と思っていたら雲の上に昇った太陽が、真横から強烈な光線を送りつけてきた。帽子を阿弥陀に被ったり、右手を目にかざしたりしながら登る。道が曲がって陽射しが消えると、ほっとする。
 

新七合目、5時45分着。ほぼ標準のコースタイム通りで来た。ここには御来光山荘があるが、この時期は他の小屋同様、固く戸を閉ざしている。
 小屋前から見る愛鷹山にかかった雲の形が、まるで海の波が山腹を洗っているようで面白い。カメラを取り出して構えると、もう次第に厚みを増して太い綱の形に変わっていた。少し寒いので陽の当たる小屋の前で朝食をとる。
 6時出発。来た道を振り返ると続々と人が登ってくる。さすが3連休で凄い賑わいだ。はや下ってくる人がいて驚いて訊ねると「上は風があって寒さでじっとしておれず、ご来光は見ずに降りてきた。」という返事だった。後から登ってきた若い人たちに、次々追い抜かれるようになった。彼らは少し登っては休んでいるが、私たちはスロー&ステディで登り続ける。しかしM夫人の体調が思わしくなく、軽い高山病の兆候か吐き気がするようだ。それでも、ほぼ予定通りに元祖七合目の山口山荘前に着いた。ここで高度3010mである。
 
 

ここから上はさらに勾配が強まる。眼下に駿河湾が拡がってくる。今度はMさんが時々、立ち止まるようになった。大きく深呼吸するように勧めるが息苦しそうで、やはり高度の影響が出てきたようだ。一緒に歩くより後から休み休み登る方が楽なようで「先に行って…」と言われ、八合目で待つことにする。
 
 
 
八合目には先ほどの若者のグループのうち数名が休んでいた。ランニング姿の青年が登ってきて、私が「元気だね」と声をかけると「ハイ」と笑顔で返事するなり、仰向けにひっくり返って寝そべってしまった。リーダーらしい人に聞くと「愛知県の会社のグループで男女あわせて15人、あいつはベトナムの研修生です。何を間違ったか缶酎ハイを山ほど持ってきて、みんなに持たせてます」ということだった。一番早く登っていた人は英語教室の先生のアメリカ人で、私たちの年齢を知ると「Amazing!」「Looks young !」と大げさに驚いてくれて、一緒に写真に納まるように頼まれた。
 
 
しばらく話していると「富士山に1000回登りました」の実川欣伸さんが姿を見せた。1年ぶりの再会に固い握手を交わす。去年会ったときは「1111回目」だったが今日で「1343回目」だそうだ。♀ペンが彼を青年たちに紹介すると、実川さんは自民党谷垣総裁や三浦雄一郎(どちらも同じJAC会員)や、AKB48の大島優子などと一緒の写真を取り出したので、たちまち人垣ができる。やはり有名人には敵わない。
 そのうちM夫妻も登ってきて一緒に写真を撮った。少し長居をしたので、M夫妻を九合目で待つことにして、実川さんの後を追うように出発する。
 

ここから九合目までは距離が短く、十分休んだので割合楽に登れた。それでも何人かに追い抜かれ、先ほどのグループとも前後しながら登る。九合目でもう一人の富士山の有名人、「まいにち富士山」の佐々木茂良さんと出会った。この人とも富士山で旧知の間柄である。TV出演を「見てくれましたか」と聞かれて「NHKの放送だけ」と答える。
 ずっと気になっていM夫妻の体調だが、奥さんから「八合目の少し上まで来たが、時間がかかりそうなので今回はここまでにする」と♀ペンのケイタイに連絡が入った。4人で登頂できないのが残念だが致し方がない。
 
 
万年雪山荘の横にある雪渓を見ながら登る。早くも登頂を済ませた実川さんが下ってきて、笑顔ですれ違っていった。九合五勺の小屋を過ぎて、最後の胸突き八丁に差しかかる。崩落があったようで去年とはまた道が変わっている。
 
 
ゆっくり登り詰めて鳥居を潜り、富士宮口頂上の広場に着く。薄い霧が辺りを包み、少し風もあり薄寒い。若者グループはまだ全員が揃わないようだが、先着の英語の先生らが丁寧に挨拶をしてくれた。
 富士館、浅間大社奥宮、山頂郵便局の建物にはどこにも、もたれ掛るようにして座り込む人がいる。奥宮正面扉前の三人は年配者だが、一人は神殿に顔を向けて横に寝転がっている。どうも神社ということをご存じないらしい。仕方なく、その背中に向かって柏手を打って拝礼をすます。
 ヘルメットの佐々木さんが降りてきて少し長い立ち話になる。以前、私が海外トレッキングの話をしたのを覚えておられて、高所登山のことを訊ねられた。「これまで富士山しか知らないが、1000回という目標を達成したので、そろそろより高い山へも登ってみたい」ということだった。♀ペンはその間、寒いので早く出発したくて、じりじりしていたようだ。
 

ヤッケを被って、富士館の横を通り剣ヶ峰に向かう。「このしろ池」の水が土色に濁っている。青空が覗き始めて、霧に隠れていた剣ヶ峰が池に影を写すようになった。
 

次第に青空が拡がってくる。三島岳の下を回り込むようにして山頂に向かう。年々、山肌が崩れて火口の形がまた変わったように思う。
 

真っ青な空と白い雲の下、最後の急斜面を上る。ここは「三歩登って二歩下る」状態の今迄より、ずっと歩き良くなったようだ。旧測候所の建物が次第に近づいてくる。
 

11時15分、山頂。
例年の9月よりは、かなり多い人で賑わっている。お鉢めぐりで白山岳の方から登った来た子供連れもある。
「日本最高峰富士山剣ヶ峰三七七六米」碑で居合わせた人に記念撮影のシャッターを押してもらう。歳を重ねるごとに時間がかかるようになったが、今年も二人でここに立つことができた。私には12度目の登頂になる。
 今年は各ポイント毎にゆっくり休息をとったのでそれほど疲れもなく、思ったより楽に登ってこられた。お互いに「よかったね」と笑顔を交わした。

今年も秋の富士へ

2012-09-17 21:21:06 | 山日記

毎年恒例となった秋の富士登山。今年はMさんご夫婦とご一緒に登ることになった。
「二台で走るのは不経済だから…」というお言葉に甘えて、新名神・草津田上IC近くのMさん宅へ車を置かせて頂く。お家のすぐ横にある牟礼山(221m)はMさんの毎日の散歩コース、広いリビングルームからは金勝アルプスが箱庭のように見える絶好のロケーションである。

9月14日11時前、Mさんの愛車に乗せて頂いて初めて新名神道路を南へ。鈴鹿山脈を越える頃、心配していた黒い雲から激しい雨が落ちてきた。鈴鹿で東名阪と合流すると晴れて伊勢湾岸道、東名道と順調に走る。しかし浜名湖SAでウナギの昼食を食べていると、また激しい雨になり走って車に帰る。      しばらくで雨は止んだが、静岡を過ぎても由比でも富士の姿は見えず、富士川SAでも雲の中に隠れていた。西富士道路で再びゲリラ的に短い雨があり、スカイラインに入ると霧が視界を遮り、時々雨滴が落ちてくる。しかし霧は上に流れているので、必ず晴れると祈りながら登る。

期待通り四合目を過ぎると青空が覗いてきた。五合目駐車場は雪崩による災害復旧作業中で売店周辺は駐車できない。ただでさえ500台のスペースしかなく、夏の最盛期には数キロ下まで路肩駐車すると聞いていたのに、今日は3連休の初日で置場所があるか心配だったが、幸い登山口近くのスペースに停めることができた。登山靴に履き替えオールコック碑前で写真を撮って出発する。
 

環境省自慢のハイテクトイレを過ぎると、ゴロゴロした火山礫の登りになる。草紅葉の始まった山肌が美しく、山頂部は夕陽を浴びて輝いている。どうせ今夜は六合目泊まり。ゆっくりしたペースで歩く。
 

細かい砂礫の道に変わり山腹を横切るように登る。大きな岩が転がり落ちていた。新六合目には二軒の山小屋があるが、私たちの定宿は奥の宝永山荘。経営者の渡井夫妻の暖かい出迎えを受ける。夕食の時間まで宝永遊歩道をしばらく散歩する。ミヤマオトコヨモギやオンタデの花が咲いてたが、コケモモの実はまだ色が薄かった。
 
 
ミヤマオトコヨモギ。葉はヨモギに似ている。美しい淡黄色の花をつける。

 
オンタデ。富士山でもっともよく見かける花である。乾燥した荒れ地に強いので、森林限界付近はもちろん、かなり上でも見ることができる。
 
 
去年、お月見の夕方にブロッケンを見た宝永火口を見下ろす分岐まで行って引き返す。宝永山が夕陽を浴びて赤く燃えていた。
 
 

小屋に帰ってまずは生ビールで乾杯。お皿には名物の富士宮焼きソバ。富士山には小屋は多いが、「生」が飲めるのはここだけ。ヤキソバもいろんな雑誌に紹介されて有名で、わざわざ食べに登ってくるファンもいるほどの美味しさだ。
 

外が暗くなると眼下に美しい夜景が拡がった。左手の三島から御殿場、右の富士宮、静岡にかけて宝石箱をぶちまけたようにキラキラ輝いている。空には星がまたたいている。明日はきっと晴れるだろう。
 今夜は私たちの他には東京からの若い男性ひとりだけの泊り客で、広々した部屋を貸切状態で占領した。しかし夜半に風の音が凄く、おまけに変愚院が二度もトイレに立つので、他の3人もほとんど寝られなかった。