ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

アンコールの旅 (3) アンコールワット

2009-03-31 10:36:47 | 旅日記
15時、午後の観光・世界遺産のアンコールワットに出発。
今日の気温は36℃と聞いたが、午後もこの時間になると少し下がり、
身体も慣れてきたのか汗をかくのが少なくなった。
トムもそうだが、ワットも環濠に囲まれいてその中に回廊とピラミッド型の寺院が建つ構成である。
これはヒンドゥー経の宇宙観でメール山(須弥山)を表している。


中央祠堂には五つの塔があるが、塔門を入るまでは山の字型に三つの塔しか見えない。


濠を渡る橋の欄干には七つの首を持つ蛇神・ナーガの石像がある。


500m以上ある参道を進み、両側にある池の手前に来て、


はじめてすべての塔が水面にも美しくその影を映しているのが見える。

西塔門を潜って十字回廊に入る。江戸時代初期の森本右近大夫という人の墨書の落書きが残っている。
第二回廊を通り過ぎて内部に入る。
中央祠堂は現在補修中で足場が組まれ、第三回廊に入れないので外をぐるりと巡る。


第二回廊外部には美しい女神像が多い。
寺院全体では2000体近いが、一体ごとに装身具や髪型、表情が異なるそうだ。

第二回廊内に並ぶ後世の仏像は盗掘で頭部を失われたものが多く痛々しい。
逆順になるが最後に第一回廊の壁画を見る。


西日を浴びるこの時間帯が一番、壁画の鑑賞に適しているという。


スールヤヴァルマンⅡ世の業績を描く「歴史回廊」、
ヒンドゥー神話の「天国と地獄」などを見て南面から東面側に回る。

天地創造神話「乳海攪拌」がある回廊の外の段に腰を下ろし、ガイドから説明を聞く。


中央がヴィシュヌ神で、大海に棲む大亀の背に乗せた須弥山に大蛇を捲きつけ、
阿修羅と神々に綱引きさせている。
一千年で海は乳となり不死の薬・甘露が生まれ、その化身・天女アプサラがヴィシュヌ神の頭上を舞う図柄である。

アンコールワット見学を終え、夕日鑑賞で名高いプレループ遺跡へ。
急な石段を登って中央の祠堂に詣でる。赤い線香1本を渡され、お布施に1ドル。


西側に回ると、すでに落日を待つ大勢の人が基壇に腰を下ろしていた。
30分も待ったのに結局、雲が多くきれいな夕日は見られず、がっかり。


途中のレストランでクメールの古典舞踊・アプサラダンスを見ながら夕食(バイキング)をして、ホテルに帰る。

アンコールの旅 (2) タ・プロム

2009-03-29 17:48:33 | 旅日記

三つ首のゾウの神「エラワン」が鼻で蓮の花をつかむ「象のテラス」を見て、
ふたたび電気自動車に乗る。
ここまでダラダラ流れる汗を首のタオルで拭いながらきたので、顔に当たる微風が心地よい。


タ・プロム寺院前で下車してトイレを済ませると、すぐ前で見慣れた缶ビールを水に浸して売っていた。
アサヒ・スーパー・ドライで1ドル。
ちょっと非衛生かと思ったが、簡単に誘惑に負けてしまった。


タ・プロムは12世紀の仏教寺院で、


アンコール遺跡発見当時の様子を伝えるため、あえて修復の手を最小限より加えていない。




巨大なガジュマルの木の根が回廊を押しつぶしているのを見ると、自然の力の偉大さに圧倒される。


ここにも精緻な仏像やレリーフが残されているが、西塔門壁面の垂直に並んだ円形浮き彫りには


不思議なことに恐竜が描かれている。

これで午前中の観光を終わりレストランで昼食(もちろん、飲み物はアンコール・ビール)。
ホテルに帰りシャワーを浴びて着替えをしてさっぱりする。

アンコールの旅 (1) アンコールトム

2009-03-28 09:42:23 | 旅日記
2009年 03月 22日(日)
真っ青な空からギラギラと太陽が照りつけ、レストランで朝食をとる間にも額に汗が浮かぶ。
今回の旅で二人が一番楽しみにしていたアンコール遺跡を訪れる。
検問所のようなところでバスを降りて写真を撮られ、通行証を渡される。
3日間有効で400ドルだそうだ。
このパスを首にかけ、耳には音声ガイド(現地ガイドは「耳太郎サマ」と呼んでいた)、さらにタオルを首に巻いて歩く。


最初にアンコールトムへ。
環濠を渡る石橋には、左にヒンドゥーの神・テーヴァ、右に阿修羅が54体づつ並んでいる。


南大門は高さ25m、東西南北を向いた3mの観音菩薩の顔が乗っている。


ここから中心寺院のバイヨンまでの1.5キロをゾウに乗っていく人も見たが、私たちは電気自動車2台に分乗していく。


バイヨンは「クメールの微笑」をたたえた美しい観音の四面像が数多くあり、


またクメールの歴史や人々の日常生活を描いたレリーフでも有名である。


中央神殿近くで、色鮮やかな古式舞踊の衣装をつけたモデルと一緒に写真を撮った(1ドルで3ポーズ)。
アンコールトム建都以前の王宮中心にあった寺院・ピミカナヤスへ徒歩で移動。
幼い子供たちが1~3ドルほどの扇子、絵葉書などの土産物を手にしっこく付きまとう。


日本語がたくみで「暑かろう」と扇子であおいでくれたりする。
可憐で同情を誘うが、少しでも興味を見せると何キロも付いてくるので無視する他ない。


ピミカナヤスには三輪山のものと似た神婚伝説がある。ただし男女が逆で、王の相手が蛇の化身美女である。

ベトナムの旅 (2) ハノイ

2009-03-27 19:54:13 | 旅日記
2009年 03月 21日(土)

曇のち晴れ。8時半、ホテルを出てハノイ市内観光に。
まず、ホーチミン博物館の前を通って一柱寺に行く。
蓮の花を模して、本堂が一本の柱で支えられている珍しい建築形式の仏教寺院である。


1049年建立だが戦争で破損し、現在は柱は丸い覆いに隠れている。


内部を拝観してバスの停まっているところまで歩く間に、ホーチミン廟の前を通る。


土曜日とあって小学生の団体をはじめ見学者が長蛇の列を作っていた。
南北統一に全生涯を捧げた国民的英雄が、あらゆる世代の民衆から敬慕されていることが分る。
ちょうど9時になり、バーディン広場越しに毎時ちょうどの衛兵交代を見ることができた。

ホアンキエム湖には、13世紀に明の侵略からベトナムを守ったレイ・ロイの伝説がある。
湖から引き揚げた剣で明軍を破り、剣を返しに湖に行くと大亀が現れて剣を咥えて帰ったという。
ホアン(還)キエム(剣)の名の由来である。


「福」「録」の門柱を潜り,


真っ赤な棲旭橋を渡ってゴックソン島に渡り、玉山祠に詣でる。


ここには元軍を撃退した英雄などを祀っている。
1968年に捕獲された体長2mの大亀のはく製を見た。そのうちに対岸が騒がしくなり、池の面に波紋が広がり大きな亀が首をだした。どうも作り物らしい。


短い時間ながらオールドシティを散歩して、昼飯を食ってハノイ空港へ行く。


離陸すると2時間足らずでカンボジア・シェムリアップ空港に着いた。

ベトナムの旅 (1)  ハロン湾

2009-03-26 21:52:59 | 旅日記
3月20日8時20分、小雨模様の中をバスで出発。
車内はギンギンに冷房が効いているが一歩外に出ると蒸し暑い。
ハノイ市街を抜けて郊外に出る。
広い道の両側は延々と田園が続く。菅(シュロ)笠を冠って田の草取りをする人、草をはむ牛など昔の日本の農村風景に似ている。
水溜りに水牛が浸かっているところだけは、やはりベトナムらしい。
料金所のようなところを過ぎて町に入る。


道の両側に並ぶ家は白、緑、赤茶色に塗られた主に3階建てで、道に面した側だけが各階とも立派なテラスを設けているが、隣家に向いた方は窓がなくのっぺりしたコンクリート壁である。
四角いコンクリート箱の箱を作って前だけ窓を開けて色を塗った感じ。
町並みを抜けるとまた田圃、を何度か繰り返してちょっと大きな町ハロンに入る。


船着き場には驚くほどの数の観光船が、びっしり並んでいる。
ぐらぐら揺れる板を渡って船に入り、まずはベトナム風海鮮料理の昼食。


ハマグリの酒蒸し、海老唐揚げ、春巻、イカのテンプラ、カニ、キャベツなど野菜炒め、珍しいゾフィという魚も出た。ガイドは海のフナと説明したが鯉に似ている。
オコワはゴマ粒状の豆が入って黄色だが、これが結構うまい。
ローカルビール「BBB」(バババと読む)一缶3ドル。






食事中に雨は止んで、デッキに出ると海の桂林の名に恥じない美しい光景が次々と展開した。



無人島に上陸して大きな鍾乳洞に入る。
内部は色とりどりに美しくライトアップされていた。


ハノイに帰りベトナム料理の夕食のあと、水上人形劇を見る。
水をテーマにした3分ほどの劇が17題目演じられたが、スピーディな動きにユーモアが加わり見応えがあった。
ホテルに帰ると空には大きな三日月と星が明るく輝いていた。

世界遺産の旅 - イギリス

2009-03-16 16:27:33 | 旅の想い出

フランスの大規模なデモで空港が機能せず、帰国の航空機が飛べなくなりました。
急遽、ドーバー海峡を渡り、ロンドンはヒースロー空港からアンカレッジ経由で帰国することになりました。
カレー~ドーバー間は泳いで渡れるくらいの距離で、深日から淡路島ぐらいの感覚です。
それでもフェリーの中には両替所があり、通貨はフランからポンドに変わります。


船着き場の通関は実に簡単で、立派な髭のおじさんがパスポートをパラパラとめくると、ポンとスタンプを押して「ハイ、カイチローサン」とウィンクして渡してくれました。
飛行機に乗るまで3時間ほど余裕ができたので、大急ぎで市内を見れるだけ見て回りました。
初冬のロンドンの第一印象は、寒々しくて暗い感じ。
交通はこの二階建バスが主で、タクシーは黒のベンツでした。


ただ当時は、北海油田が発見されて英国が経済的な活気にあふれていた頃です。
ウォール街では恰幅のいいジョンブルがソフト帽をかぶり、ステッキを手に闊歩していました。
映画でしか見たことのないクラシックな光景に驚きました。写真は国会議事堂です。


ウエストミンスター寺院
歴代の国王や貴族が眠る寺院で、また戴冠式など重要な王室行事が行われる場所でもあります。
荘重なゴシック建築に圧倒されます。


ロンドン塔
11世紀初めイングランドを征服したウィリアム1世が、テームズ川のほとりに築いた城塞で「女王陛下の宮殿にして要塞」。
監獄でもあったので、ヘンリー6世やトーマス・モア、クロムウエルなど多くの著名人が処刑されています。
その幽霊や、死体を啄ばむカラスや、夏目漱石の「倫敦塔」など話題の多いところですが、時間がないので…


タワーブリッジ
テームズ川にかかる高さ40mの跳開橋で、タワー内部は展望通路・歴史博物館になっています。
近くのロンドン塔と景観が調和するように作られているそうです。


パッキンガム宮殿
エリザベス二世のお住居。女王が宮殿内にいる時は王室旗が、不在の時は国旗が正面に飾られます。この日は王室旗が掲げられていました。

ともあれ、ロンドンのほんの一部だけですが、駆け足で(もちろん言葉の綾で本当はクルマです)見ることができました。



初めての訪欧の旅はこれで終わりです。
次に海外に出かけたのは、これからン十年後のことでした。

高取「町家のひな巡り」(3.15)

2009-03-15 21:15:46 | Weblog

今年も高取町の「町屋の雛めぐり」をしました。
土佐町の旧街道沿いの約80軒のおうちが、それぞれ愛着の籠ったお雛様をお部屋や店先、出窓などに飾って見せてくださいます。
この餅花が「お雛様展示中」の目印です。


メイン会場の「ひなの里親館」
今年は企画展で、この十六段の雛段にずらりとお雛様が並んでいます。
名づけて「天段のひな」


第二の企画展は「曲水の宴」
古式豊かな宮中の句会の様子が、優雅に表現されています。


観光案内所「夢創館」の二階には、手作りのお雛様がたくさん展示されています。
これはミニチュアのお家に飾られた豆粒のようなお雛様。
細部まで実に丁寧に作られているのに驚きます。


これは更に小さな、本当に米粒のようなお雛様。
ルーペを通して写真を撮ろうとすると、スタッフの方が丁寧にレンズを拭いてかざして下さいました。


夢創館お座敷のお雛様のうち、一番古い「江戸末期」のものです。


珍しい竹のお雛様


どのお家も「どうぞ見て行って下さい」と笑顔で招き入れて、大事なお雛様を快く見せてくださいました。
今日のお天気のように晴れ渡った和やかな気持ちで、ゆっくりと古い町並みを散策して家路に着きました。