風もなく暖かな朝。今年はまだスノータイヤに履き替えていないので、道路事情も考えていつもよりゆっくり家を出て、郵便道を登ることにする。御所近くまできても山麓から見る金剛、葛城にはまったく雪がない。室から名柄へでて山麓線を南下。高天から高天彦神社に登る道にも雪の気配がない。神社の駐車場にはいつもは見られない「参拝者用」の張り紙があったので、外の道路脇に置かせてもらい登山靴に履き替える。杉並木の参道を通って…
登山口の高天彦神社に参拝。神殿はお正月らしく飾られ、狛犬の首にも注連縄がつけられていた。
9時35分スタート。
それでもちょっぴり名残雪の残る畑地を抜け、10分ほど舗装路を登って高天滝の前の橋を渡る。ここから山道が始まる。
上の標識の横に、こんな表示があった。高天村の人たちが歴史のある自分たちの山を大事に守っておられる様子がうかがえる。
山頂の社務所へ郵便物を運んだという道だけに、距離は短いが勾配はきつい。32Lのザックで完全な冬山装備できたのに、青空からさんさんと陽が降り注ぎ汗ばんでくる。ちょっと拍子抜けするほどだ。
標高800mを過ぎると雪が出てきた。しばらく登ったが、日陰の斜面が続き滑りやすくなってきたのでアイゼンを装着する。去年使ったX形は鉄製で結構歩き難かったので、今日は久しぶりに軽金属製10本爪。ところが左後部の金具が壊れていた。昨日の点検がいい加減だった報いだが後の祭り。適当に何とか括り付けて歩き出す。
最後の急登り、500段の階段。足元がぐらぐらして捗らず、よちよちとペンギン歩き。雪の好きな♀ペンは颯爽と歩き、もどかしげに見守っている。ようやく登り切ってダイアモンドトレール出合に来ると、「左の靴の踵もおかしいんと違う?」。見ると外れてずり落ちそうなのが、なんとかアイゼンの靴台で引っかかっている。この登山靴も久しぶりに引っ張り出したので点検不足、それ以上に手入れ不足だった。しかし、郵便道は人が少ない(登りでは二人に出会っただけ)ので、格好悪いところは見られずにすんだ。
一の鳥居にくると湧出岳の方からくる人で急に賑やかになる。
急坂を上って仁王杉を過ぎ、正面の石段を登って山頂葛木神社に参拝。12時15分。
新しくなった本殿の千木が金色に輝いていた。
夫婦杉前の急坂を下る。冬用の捲き道が作ってあるが、曲りなりにもアイゼンを利かせてロープ駅への近道分岐から転法輪寺寺務所前へ。錬成会押印所の前には今年もカマクラが作られていた。
国見城址。居合わせた青年に記念写真のシャッターを押してもらった。ライブカメラに写っているかなあ。
広場には、いつもより人が少ない。おかげで、河内平野を見下ろすベンチが一つ空いていた。腰を下ろしてガスコンロで湯を沸かし昼食。風もなく青空から陽が降り注いで、ジャケットを着ていると暖かすぎるほどだ。 その代り、下界は靄がかかったように霞んで展望は今一つ。
広場は雪だるまの展示会場のよう。この人もイヌが好きなんだなあ。
他にも雪ウサギなど、たくさん作ってあった。1時間遊んで腰を上げる。
同じ道を下ったが、アイゼンはますますグラついて歩きづらく時間がかかる。雪が少なくなっても靴の踵が外れているので、そのまま歩き続ける。いよいよ外そうかと思ったとたん、木の根に爪をひっかけて大きく前に倒れる。幸い服を汚しただけで打った所も怪我もなかった。しかし、アイゼンを外すと登山靴の右の踵裏も剥がれているのに気づく。途中で落ちていた紐で片方は縛ったが、ペッタンペッタンさせながらゆっくり下る。昔、合宿の時は、必ず装備係が靴の修繕用にペンチや釘、針金を持っていたもので、人の靴を修繕したことはあるが自分の靴が壊れたのは覚えがない。15時05分、なんとか高天に下って、神社に無事下山のお礼を言って車に帰る。
天気が良過ぎて樹氷は見られなかったが、青空と雪のコントラストが美しかった。ちょっとしたトラブルも、いい思い出になるだろう。